有識者インタビュー
「企業選択において大切なこと」
株式会社morich 代表取締役 兼 All Rounder Agent 森本千賀子氏
企業選択や就職活動において大切なことについて、転職エージェントとして豊富な経験をお持ちで、昨今の就活事情に詳しい株式会社morich 代表取締役 兼 All Rounder Agent 森本千賀子氏にうかがいました。
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企業選択や就職活動において大切なことについて、転職エージェントとして豊富な経験をお持ちで、昨今の就活事情に詳しい株式会社morich 代表取締役 兼 All Rounder Agent 森本千賀子氏にうかがいました。
森本 千賀子
株式会社morich 代表取締役 兼 All Rounder Agent
リクルート人材センター(現リクルート)に入社。
転職エージェントとして、大手からベンチャー・スタートアップまで幅広い企業に対する人材戦略コンサルティング、採用支援サポート全般を手がけ、主に経営幹部・CxO等ハイクラスを求めるさまざまな企業ニーズに応じて人材コーディネートに携わる。4万名超の転職希望者と接点を持ち、2,500名超の転職に携わる。1,000名を超える経営者のよき相談役として公私を通じてリレーションを深める。
累計売上実績は歴代トップ。入社1年目にして営業成績1位、全社MVPを受賞以来、全社MVP/グッドプラクティス賞/新規事業提案優秀賞など受賞歴は30回超。営業の第一線でトップを走り続けてきた。
2017年3月に株式会社morich設立。ハイクラス層の採用支援を中心に、転職・NPO理事や社外取締役・顧問等スタートアップ支援を推進、パラレルキャリアを体現した多様な働き方を実践。
NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」「ガイアの夜明け」等多数メディアにも出演、オンラインメディア等のWeb連載の他、「リミットレス時代の転職術『選ばれる人』の新常識」日経BP日本経済新聞出版2024年、「後悔しない社会人1年目の働き方」西東社2014年、監修として「女性リーダーたちのMY LIFE Story」リスナーズ株式会社2024年、「マンガでわかる成功する転職」池田書店2019年等、多数出版。文科省「アントレプレナーシップ推進大使」に任命。
-就職活動における基本的な心構えを教えてください。
森本氏:
森本氏:
就職活動では自己分析が重要と言われますが、「さあ、自己分析しよう」と思ってもなかなか難しいものです。自分がどんなことに関心・興味があるか、どんな時にワクワクするか、どんな時にやりがいを感じるかといったことを日常的にメモしておきましょう。また、定期的に自分と向き合う時間を作ることも大切です。ただ、客観的に自分を見ることは難しいので、普段の自分のことを知る方々、例えば家族や学校、アルバイト先の友人などに、「自分は周囲の人からどう見えているか」「どんなところが強みだと思うか」などを聞いてみる機会を作ってみてください。
過去を振り返ることで自分を知る方法もあります。例えば生まれてから今までの「モチベーショングラフ」を作ってみます。そこで、どんな場面で自分のモチベーションが上がったか、下がったかを記入していきます。
-モチベーショングラフが上がった時は成功体験や興味があることだと思いますが、モチベーションが下がった経験や場面はどのように考えればよいでしょうか。
森本氏:
森本氏:
モチベーションが下がった時にどのように乗り越えたか、そこから何を学んだかという点がとても重要です。まさに、そこが成長の機会になっていて、「自分の強み」になっているはずです。採用の場面では、企業は応募者を知るために、成功体験と失敗の経験の両方を聞きます。大きな失敗や挫折をどう乗り越えて、どのように学びに変えたかということが、その人を知る上で大きなヒントになるからだと思います。失敗をしたということは何らかチャレンジしたということですから、どれだけその経験を積んでいるかというところに企業は関心があります。
-「自分に合った企業」を探すために意識すべきことはどんなことでしょうか。
森本氏:
森本氏:
視野を広く持ってほしいと思います。多くの学生さんは、普段目にする企業や、家族や身近な人の職業や勤めている会社といった狭い範囲で就職活動をしてしまう傾向にあります。就職活動の基本として業界地図は見ておくと良いですが、その時に大切なのは、視野を広げて見ることです。興味のある業界だけではなく、関連した業界にも視野を広げてみてください。ゼロの状態から考えるのは難しいですが、自分の興味のあることや日常生活の延長にあるものに関わっている業界はどんなものがあるかという見方をしてみましょう。例えば食べることが好きだったら、飲食などのサービス業、小売業などがぱっと浮かびますが、食品製造業や、もっと広げれば農業や食品を運ぶ運輸業も関連する業界です。視野を広げることで、選択肢はぐっと広がります。
-働き方や社風といった観点からはいかがでしょうか。
森本氏:
森本氏:
自分の志向性を知っておきましょう。志向性というのは、自分が大切にしている考え方のことで「自分らしさ」と言っても良いかもしれません。安定志向なのか、チャレンジングな環境を望んでいるのかなど、無料のアセスメントツールもたくさんありますので、一度試してみると良いと思います。 また、3年先、5年先、10年先に自分がどうなっていたいかを想像して、そこからのバックキャスティング1で、最初の仕事や就職先を決めていく考え方もあります。
入社後のギャップを減らすためにも、自分に合った企業を探すことは大切なことです。一方で、実際に就職先を決める際には「人」が決め手になることが多いのです。「人」というのは、人事や面接官の印象が良かったとか、社長が魅力的な人だったというようなことです。そのため、入社してみたら、仕事の本質にぶつかって「こんな仕事がやりたかったわけではない」と思う人もいるのですが、ギャップはどこにでもあるので、どう適応していくかということも大切だと思います。
1 未来の目標を起点にして、そこから逆算して解決策を考える思考法。
-就職活動における情報収集や情報選択で大切なことを教えてください。
森本氏:
森本氏:
フラットで正しい情報かどうかを見極めるということですね。厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」や大手のポータルサイトは押さえておいて、あとは大学のキャリアセンターを活用すると良いと思います。キャリアセンターには良い情報が集まっていますよ。口コミサイトを見る方も多いと思いますが、特にネガティブな情報についてはその確からしさを自分で判断しつつ、ポジティブな情報を上手く活用することを心掛けると良いと思います。
-最後に、就職活動中の学生さんへのメッセージをお願いします。
森本氏:
森本氏:
就職活動を何から始めて良いかわからないという方がいたら、まずは会社との接点を作るような行動から始めてみてください。オンラインで参加できる無料の合同企業研究会や就職セミナーもたくさんあります。そこで出会った会社が結果としてご縁につながることもありますので、まずは会社との接点を作ってみてください。もし上手くいかない時があっても、そのタイミングではご縁がなかっただけで、あなたを待っている会社はきっとあります。就職活動というのは、どの企業とも接点を持てる絶好の機会。この時期に与えられた特権だと思ってぜひ行動してみてください。
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