女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

女性の活躍推進・両立支援総合サイトトップ > 女性活躍・両立支援事例集トップ(事例検索) > 企業事例

2018年度

中外製薬株式会社 (製造業)

従業員の多様な働き方をサポートし、全社で生産性を高める方策を考えています

認定マーク

企業プロフィール

設立
1925年
本社所在地
東京都中央区
事業内容
製造業(医療用医薬品の製造販売)
従業員数
4,981人(うち女性1,335人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定、えるぼし(認定段階3)、均等・両立推進企業表彰、令和4年度なでしこ銘柄、ダイバーシティ経営企業100選 / 新・ダイバーシティ経営企業100選

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援テレワークフレックスタイム制男性育児参画女性活躍推進女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 育児・介護・私傷病等により月10日まで終日又は半日の在宅勤務が可能。
  • 育児・介護短時間勤務制度利用者にフレックスタイム制度を適用し、コアタイムを通常より短く設定することで、より柔軟な働き方をサポート。
  • 多様な働き方をする部下を抱えるマネージャーに向けて「部下の多様な働き方を考えるマネジメントハンドブック」を配布。

データベース・両立支援のひろばを見る

取組事例ダウンロード 

インタビュー

  • 人事部 ダイバーシティ推進室
    室長
    佐藤 華英子さん(右)

    人事部 ダイバーシティ推進室
    課長
    安岐 智行さん(左)

取組のきっかけ・経緯
制度利用者への支援からマネージャーのサポートまで

 当社では、2005年の次世代育成支援対策推進法の施行に伴い、一般事業主行動計画の策定を契機に、両立支援の取組に本格的に着手しました。労使で「次世代育成ワーキングチーム」を組成して意見を交わしながら、必要となる施策を検討し、行動計画を立て、実行してきました。
  2005年4月~2008年3月にかけては、仕事と育児の両立に向けたインフラの整備を行うこととし、妊娠・出産から復職にかけて利用可能な制度とその手続きを一元化するとともに、育児関連情報も合わせて情報提供するための専用サイトをイントラ上に開設しました。また、育児短時間勤務制度利用者にもフレックスタイム制度を適用する等の制度の拡充を行いました。続いて、2008年4月~2011年3月にかけては、両立をしている当事者に向けた施策から、マネージャーに対するサポートに取組を広げました。仕事と育児や介護を両立する部下を持つマネージャーが、部下をマネジメントする上でのポイントをまとめたハンドブックを全てのマネージャーに対して配付しています。2011年4月~2015年3月には、仕事と育児・介護等を両立している従業員を含むすべての従業員が活躍できるように、在宅勤務制度やフレックスタイムのコアタイムを短縮するなど、より柔軟性の高い働き方を可能とするための制度の導入・改定を行いました。これらの取組が評価され、2014年度に、均等・両立推進企業表彰 均等推進企業部門 厚生労働大臣優良賞、及びファミリー・フレンドリー企業部門 東京労働局長優良賞を同時受賞しました。そして直近の2015年4月~2017年3月には、男性の育児参画促進に取り組み、関連制度の見直しを行うとともに、育児休業取得に関する情報をまとめた「イクメン特設ページ」をイントラ上に立ち上げて情報提供を行いました。また、子どもが生まれた男性従業員とその上司に、育児休業取得を促すとともに、特設ページを案内するメールを発信しています。これらの取組の結果、取組開始前の2014年には4.1%だった男性の育児休業取得率は、2016年には28.8%まで上昇し、2017年には52%となりました。そして、2018年にプラチナくるみん認定を取得することができました。

具体的な制度の内容
仕事と家庭を両立する従業員がより柔軟に勤務できるよう制度を整備

 当社の育児休職制度は、休業期間は法定通りとしていますが、最初の連続した14日間を有給としています。また、産後休暇や育児休職からの職場復帰時に認可外保育施設等への預け入れが必要な場合、月額5万円を上限として補助金を支給し、早期の復職を支援しています。
  MRは全国転勤のある職種ですが、現勤務地では配偶者と同居できない社員が同居を希望する場合、一定の条件を満たせば、同居可能な勤務地への異動を行う「M R配偶者同居サポートプラン」を導入しています。また、子の保育園等送迎時に営業車両の利用を認めており、利用者からは、通勤時のタイムロスを大幅に削減することができるようになったと、大変好評を得ています。
 当社では、仕事と家庭を両立する従業員が、より柔軟に勤務できる環境を整備することにより、活躍を支援しています。2011年に育児・介護短時間勤務制度の利用者にもフレックスタイム制度を適用するとともに、通常10:00~15:00のコアタイムを11:30~13:30と短縮することで、より柔軟な勤務を可能としています。在宅勤務制度は、2012年の導入当初は、対象者を育児、介護事由と深夜早朝に海外との電話会議等に出席する社員に限定していましたが、利用対象者や条件を徐々に緩和しており、現在では育児、介護等だけでなく生産性向上を目的とした利用も対象としています。利用回数は、出社せず利用する場合は月10日、スポット利用(出社前または帰宅後に一時的に在宅勤務をする場合)は無制限としています。また、年次有給休暇も時間単位での利用を認める等、個人のワーク・ライフスタイルに対応したより柔軟な勤務が可能となるよう、制度面からのサポートを図っています。
 育児休職からの復職者に対しては、中長期的なキャリアの考え方や自身のキャリア形成に向け、上司やパートナーとどのように協力関係を築いていくか、というようなテーマでワークやディスカッションを行う「復職セミナー」を開催しています。毎年、2事業所程度を対象に開催しており、当初は復職者のみを対象としていましたが、近年は、上司や同僚も対象に、限りある時間で成果と成長を実現するためのタスクマネジメントをテーマにする等、職場全体で生産性を高める方向へシフトしてきています。事業所や職種により要員構成が異なるため、セミナーの内容はそれらの特性や課題をふまえ、都度アレンジしています。

制度導入による効果等
管理職として活躍する女性が増加傾向

 両立支援関連制度を整備するとともに、仕事と家庭を両立している従業員がより柔軟に働ける環境を整備することにより、結婚・出産後の継続就業は珍しくなくなり、さらに時間の制約にとらわれることなく、自身のキャリアを構築できる環境が整いつつあると感じています。 管理職として活躍する女性も増加傾向にあり、2018年の女性管理職比率は13.3%と、2015年と比較して約2.5ポイント増加しました。
 近年、就職活動中の学生は、女性のみならず男性も仕事と育児が両立できる環境であるか、ということに関心が高まってきていると感じており、実際にそのような質問を受けることも多くあります。当社がプラチナくるみん認定を取得し、均等・両立推進企業表彰を受賞していることは、そのような学生にとって安心材料になっていると感じています。

今後の課題・展望
働く人の多様性を受け入れるためマネージャーをサポート

 両立支援制度については、社会の環境変化等も鑑みながら、必要に応じ見直しを図っていきますが、誰もが育児・介護・私傷病等を抱える可能性を有していることから、誰がそのような状況になっても組織として支えることができるよう、仕事のプロセスやコミュニケーションの質の向上も重要なテーマになります。 また、時間の制約の有無にかかわらずすべての従業員が活躍できる環境の整備は、まだ緒についたばかりです。当社には多様な職種があり、業務によって働き方も大きく異なるため、それらを考慮しながら、成果を上げる上で最も適した制度や仕組みを検討していきたいと考えています。ただし、制度や仕組みはあくまで環境整備であり、それを社員一人ひとりがいかに上手に活用し、個人のワークライフバランスと組織の生産性向上に寄与するかが重要です。今後は、社員の働き方に対する意識や仕事のプロセスの改革にも手を打っていく必要があります。
 多様な働き方が広がるにつれて、マネージャーには、部下の多様性をふまえ、それぞれに応じたマネジメントをしながら組織として成果を出すことが求められています。マネージャーに配布している「部下の多様な働き方を考えるマネジメントハンドブック」を、より効果的に活用してもらえるよう、今後必要な施策を考えていきたいと思います。

制度利用者の声制度利用者の声画像

柔軟な働き方と働き方の工夫により、仕事と育児を両立しています

臨床開発推進部 プライマリー開発
干場 真里子さん

在宅勤務により海外との夕方からの電話会議にも参加

 私は、第1子出産により、2017年6月から産前産後休暇、育児休職を取得し、2018年5月に復職しました。復職時には、1日1時間、保育時間を取得して勤務していましたが、子どもが1歳になった時点から、フルタイム勤務をしています。また、終日の在宅勤務を月に4、5日程度利用しています。
  在宅勤務をすることにより、往復の通勤時間の分、業務も育児も少しゆとりを持って行えます。また、時差の関係で夕方に開催しているヨーロッパとの電話会議も、出社していると保育園の迎えに間に合わないため参加できないのですが、在宅勤務であれば会議に参加してからでも間に合うため、在宅勤務で参加しています。また、年次有給休暇を時間単位で取得できるようになったため、保育園からの急な呼び出しの時や、夕方に予防接種がある時などに活用しています。
 フルタイム勤務をしていますが、保育園の迎えのため残業することはほとんどできないので、日々の業務は就業時間内で終わらせることを意識し、業務の締切りや優先順位を考えて計画的に取り組んでいます。また、子どもの体調不良等により、急に休まざるを得ないこともあるため、チームのメンバーには、自分の作業内容や進捗を共有し、業務に支障がないように留意しています。

できるだけ産前と変わらないレベルの仕事をきちんと行いたい

 私は、育児と仕事をうまく両立し、仕事についてもできるだけ産前と変わらず取り組みたいと考えています。上司も、私の考えを理解してくれ、以前と変わらず業務を任せてくれています。それでも、以前と同じ環境ではないことも確かです。 例えば出張については、以前は自分の予定だけで調整できましたが、今は夫との調整が必要であり,調整できない場合は他の方にお願いすることもあります。夫は朝の保育園への送りや家事を分担してくれており、夫婦で育児と家事を協力して行っています。
 2019年4月には、在宅勤務のスポット利用の時間が5時~22時に拡大されるため、子どもの就寝後に少し業務をすることもできるようになるので、必要に応じて活用したいと思っています。

PAGE TOP