女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2017年度

平成29年度 均等・両立推進企業表彰
厚生労働大臣優良賞 ファミリー・フレンドリー企業部門

伊藤忠商事株式会社 (卸売業、小売業)

「厳しくとも働き甲斐のある会社」を目指して、一律支援から個別支援へと転換。
朝型勤務により、従業員の意識改革、業務改革にも成果

認定マーク

企業プロフィール

設立
1949年
本社所在地
東京都港区
事業内容
総合商社
従業員数
4,381人(うち女性1,032人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定、えるぼし(認定段階2)、均等・両立推進企業表彰、令和4年度なでしこ銘柄、ダイバーシティ経営企業100選 / 新・ダイバーシティ経営企業100選

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援男性育児参画事業所内保育施設女性活躍推進

特徴的な制度・取組など

  • 「厳しくとも働き甲斐のある会社」を目指して、一律支援から個別支援へと転換。
  • 朝型勤務により、従業員の意識改革、業務改革にも成果

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取組の背景と経緯

 伊藤忠商事株式会社は、世界63か国に約120の拠点を持ち、幅広いビジネスを展開する総合商社です。同社では、平成15年に人材多様化に向けた取組を開始し、魅力ある会社・企業風土を醸成すべく、「性別、国籍、年齢を意識せず、各社員が特性を活かして活躍できる環境が整い、そのことが、個の力・組織力強化、収益力拡大に結びついている状態」を作り上げることを目指しています。初期の取組として、多様な人材の拡大、定着に向けて、両立支援制度を拡充し、初期の5か年でほぼ現在に近い形で各種制度を整備しました。 平成26年からは、「げん(現場)・こ(個別)・つ(繋がり)改革」として、現場に根差した血の通った個別支援と、会社と常に繋がりを持つという意識醸成を通じて、個人のライフステージやキャリアに応じて個別に支援する施策へと移行しました。また、活躍する女性ロールモデルの着実な創出や、働きがいを持ちながら、会社に貢献し続けられる環境づくりを進めています。特に注力する分野として、個別のキャリアプランの作成を通じた女性の積極登用、各種の支援策の整備による海外駐在支援、育児と仕事の両立支援の3分野について、各種施策を展開しています。

育児・介護関連制度

育児関連制度

 育児休業制度は、子が満2歳に達する日まで取得可能であり、育児休業取得後5日間は有給となっています。取得期間の変更及び中断は、各々1回のみ可能です。男性の育児参画のため、「男性の育児休業取得率13%超」を目標とし、年に1度、2歳未満の子を持つ男性従業員とその上司に育児休業取得促進メールを送る等の取組を実施した結果、 平成28年度の男性の育児休業取得率は57.4%となりました。
 育児短時間勤務制度は1日の標準勤務時間から90分まで短縮可能で、子が小学校卒業まで利用可能です。子が満3歳に到達する日の前日までは、固定給は通常勤務として支給されます。また、週の勤務日を予め3、3.5、4、4.5日の中から選択できる勤務日選択制度も、子が満3歳に到達する日まで、1か月単位で通算1年間利用可能です。
 0〜3歳までの子を持つ従業員が本人の望むタイミングで復職できるように、平成22年に事業所内託児所「I-Kids」を開設しました。一時保育としての利用は、小学校就学前まで可能となっています。

介護関連制度

 介護休業制度は、対象家族1名につき通算2年間取得可能であり、分割取得や中断も可能です。過去3年間で2名が取得しており、復職率は100%となっています。介護短時間勤務制度は1日の標準勤務時間から90分まで短縮可能で、通算5年間利用可能であり、通算3年までは固定給は通常勤務として支給されます。育児と同様の勤務日選択制度は通算3年間利用可能であり、中断も可能です。

その他の取組等

 同社では、海外駐在が重要なキャリアパスとなっています。女性総合職がライフイベントを経ても、キャリアアップの機会を逃すことなく働き続けることができるように、海外駐在支援策として、高校生以下の子女のみ帯同を認める制度を導入し、 必要に応じて①従業員の親の駐在地帯同(中学生以下の子女帯同の場合)、②赴任当初の親の短期帯同(①に同じ)、③残留子女の育児補助を行う場合の子女の国内転居費用の補助を行っています。
 生産性の向上、多様な人材の活躍支援に向けた環境整備等を目的として平成25年10月から朝型勤務制度を導入しています。20時以降の勤務を原則禁止、22時以降を禁止とし、5時〜8時の早朝勤務に対して、深夜勤務と同等の割増賃金を支給するとともに、軽食を無料配布しています。この取組により、月平均時間外勤務時間は約15%削減しました。
 平成29年から、かねてより取り組んでいた健康経営の一環として、がんと仕事の両立支援施策を推進しています。「予防」「治療」「共生」の3つの観点から、国立がん研究センターとの提携による予防・早期発見のための検診・治療体制の整備、がんと仕事の両立支援体制の構築、がん先進医療費の補助、亡くなった社員の子女の教育資金補助拡充及び就労支援を導入しています。

取組上の課題等

 当初は、女性の継続就業を目的として、両立支援施策を手厚く整備した結果、女性の継続就業につながったものの、キャリア形成、モチベーションの向上、という点で課題が残っていました。 そこで、平成22年からは定着だけでなく、活躍支援にも重点をおいた施策へと移行し、両立支援制度の運用を厳格化しました。また、若手従業員のキャリア意識醸成を支援するため、入社4年目、8年目にはキャリアに関するワークショップを男女合同で開催しています。さらに、本人だけでなく組織長に向けても多様性への理解と活躍推進に関する研修を実施することで、組織長が多様な人材を積極的に活躍支援する環境づくりに取り組んでいます。

今後の展望

 同社では、「厳しくとも働き甲斐のある会社。日本一強く良い会社。」を目指し、「生産性の向上」、「社員の能力開発」、「健康経営」、「社員のモチベーション向上」について、各種の施策を進めています。特に、働く時間や場所等に制約のある 従業員にとっても、「働き甲斐」のある職場環境を提供することによって、職場全体の生産性向上につなげていきたいと考えています。このため、朝型勤務や健康経営等の取組を継続して実施し、ITツールの活用等を通じた業務効率化によって生産性向上をするとともに、トップ・マネジメントからのメッセージや教育研修等による従業員への啓発活動も継続して実施します。今後も、従業員が「やる気」と「やりがい」を持ち、安心して働き続けることのできる職場環境づくりを進めていきます。

受賞企業のコメント

代表取締役
専務執行役員CAO
小林 文彦

 この度は厚生労働大臣優良賞を頂きましたこと、誠に光栄に存じます。選考頂きましたご関係者の皆々様に心より御礼申し上げます。総合商社である当社にとって、「人」は最大の財産です。この考えのもと、平成15年より10年間の人材多様化推 進計画を策定し、現在は「げん・こ・つ」改革という名の個別支援策を打ち立て、すべての社員が安心して仕事に集中できる「魅力ある会社・企業風土」づくりを推進しています。これまで法定を上回る育児・介護制度を始め、朝型勤務制度、社員の健康力向上、がんと仕事の両立支援など、時代に合わせた様々な取組を行って来ました。今後も、少数精鋭での高効率経営をめざし、お客様目線、先見性と独創性の発揮、社員個々人の力、組織の力の強化につながる施策を実行し、企業価値の向上に努めて参りたいと思います。

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