女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2017年度

平成29年度 均等・両立推進企業表彰
厚生労働大臣優良賞 均等推進企業部門

株式会社竹中工務店 (建設業)

トップの明確な方針と全社を巻き込んだダイアログにより、職場の意識醸成に注力。
技術系の女性従業員の採用、職域拡大に成功し、女性の管理職登用も積極的に推進

認定マーク

企業プロフィール

設立
1899年
本社所在地
大阪府大阪市
事業内容
建築工事及び土木工事に関する請負、設計及び監理等
従業員数
7,706人(うち女性1,311人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、均等・両立推進企業表彰、ダイバーシティ経営企業100選 / 新・ダイバーシティ経営企業100選

取組内容

女性活躍推進女性採用拡大女性職域拡大女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • トップの明確な方針と全社を巻き込んだダイアログにより、職場の意識醸成に注力。技術系の女性従業員の採用、職域拡大に成功し、女性の管理職登用も積極的に推進

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取組の背景と経緯

 株式会社 竹中工務店は、創立100年を超える歴史を持つ総合建設企業です。同社では、CSRビジョンとして『ステークホルダーとの対話を深め、その思いを「まちづくり」を通してかたちにし、未来のサステナブル社会へつないでいきます。』を掲げ、建築というもの作りを通じた新たな価値の提供に向けて、多様な視点からの発想で進化し続けることが重要であると考えています。そのため、性別や国籍を問わず継続的に優秀かつ多様な人材の確保と活用を推進すべく、 同社では、全従業員がその能力を遺憾なく発揮できる職場環境の整備と従業員の能力伸長を支援しています。
 昭和63年に3名の女性総合職を採用して以来、毎年継続して女性総合職を採用しています。平成26年1月に「女性社員の活躍推進の視点から」というテーマで実施したステークホルダーダイアログで明らかとなった課題の解決に向けて、さまざまな施策の検討を開始しました。その後、平成26年4月に人事室内にダイバーシティ女性活躍推進グループ(現、ダイバーシティ推進グループ)を設置し、全国7か所にある本店・支店の人事・総務担当者の中からダイバーシティ推進担当を任命し、全国で各種施策を展開しています。

女性の活躍推進(ポジティブ・アクション)のための具体的な取組内容

採用拡大

 同社では、『新卒採用者に占める技術系従業員のうち、女性従業員の採用を15%以上』という目標を設定し、積極的に女性技術者の採用を進めています。女子学生向けの採用パンフレットを作成するとともに、採用ホームページ内においても社内の各分野で活躍し、ロールモデルとなる女性従業員を積極的に紹介しています。その結果、技術系総合職に占める女性割合は12.4%(平成27年度)から22.7%(平成29年度)にまで増加しており、技術系の女性を多く採用することに成功しています。

職域拡大

 平成22年度に、女性従業員のボリュームゾーンであった「専任職(職務の限定あり)」を管理職に登用できる「地域限定管理職制度」を導入し、女性従業員の活躍の場を拡大する取組を実施しました。 また、女性の技術者が現場で働きやすいように職場環境を整備し、施工分野等へ女性従業員を積極的に配置しています。
r この取組の結果、建築技術に従事する女性割合が3.4%(平成27年度)から3.7%(平成29年度)、設計に従事する女性割合が11.0%(平成27年度)から12.2%(平成29年度)、設備に従事する女性割合が4.2%(平成27年度)から5.0%(平成29年度)に上昇し、女性の活躍の場が着実に広がっています。

管理職登用

 同社では、女性割合の低い課長職以上の候補者の母集団を確保するため、平成25年度から主任級の女性を対象に、選抜型育成研修である「女性リーダー育成研修(W-LEAP)」を開催しています。この研修は2か年で実施し、 同期の受講生のネットワークを構築するだけでなく、過年度の受講生がメンターとして受講生をフォローすることで、タテのネットワークも構築できます。このことが、女性従業員が将来のキャリアを考える上で、現状の課題点を整理する助けとなっています。これまでに、研修受講者50名のうち、16名が管理職へ昇格しました。その結果、課長クラスに占める女性割合が3.2%(平成27年度)から4.2%(平成29年度)まで増加しました。また、同社では、管理職に昇格した後も、社外の能力開発研修に積極的に派遣し、女性のキャリアアップを支援しています。

職場風土の改善

 女性活躍推進に関するトップメッセージや、ダイバーシティをテーマとした役員・従業員の対話の様子を、社内報を通じて全社に発信しています。また、全従業員を対象にeラーニング「ダイバーシティ講座」を展開し、部下を育成する立場にあるライン長には 「ダイバーシティライン長研修」を実施しています。この研修では、現場で実際に女性部下を持つライン長への取材をもとに作成したオリジナルの研修教材を用いることで、現場に即した内容でダイバーシティ推進に対する理解を深めるとともに、部下のキャリア形成をサポートするポイントを学ぶことができます。 さらに、若手女性従業員による疲労軽減ウェア「職人DARWING小町」の開発や(一社)日本建設業連合会の「けんせつ小町工事チーム」への登録等、女性従業員が作業所(建設現場)で活躍できるような環境づくりを積極的に進めています。

取組にあたって苦労した点・課題

 近年、建築を学ぶ女子学生の比率が高まっており、同社でも前述の通り、女性の技術系従業員を積極的に採用してきました。一方、特に建設作業所においては、取引先も含めて一般的に男性が多く、働き方をはじめ、更衣室や休憩室等も男性仕様になって いることから、女性が働き続けることへの理解や、働きやすい環境の整備は十分ではありませんでした。このため、女性従業員が仕事と家庭の両立を図りながらキャリアを形成することに対して、取引先にも理解を促すとともに、女性にも配慮した作業所環境を構築することが課題となっています。
 これらの課題に対して、全社的な生産性向上、働き方の見直しを通じた時間外労働の削減を図るとともに、女性が働きやすい作業所環境の整備のために、女性従業員の声を反映して作成した「女性が働きやすい作業所環境整備マニュアル」を、今後本格運用する予定です。

今後の展望

 同社では、平成29年4月に社長を委員長として設置された「抜本的全社生産性向上によるWLB向上委員会」にて、長時間労働体質の改善をはじめとする働き方の見直しを進めており、今後全従業員のワーク・ライフ・バランスの実現を図るための具体的な 施策を順次展開していく予定です。また、平成30年4月より、新しい従業員体系として、地域限定の総合職を導入することにより、家庭の事情等で全国転勤ができないため総合職になれなかった従業員にも、総合職への転換の道を拓いていきます。これらをはじめとして、女性従業員が継続就業しながら、キャリアを形成できるように、両立支援制度の拡充等の一つひとつの課題に取り組むことで、「性別にかかわらず、誰もが働きやすい職場」に向けた全社的な意識改革等の取組をより一層進めていきます。

受賞企業のコメント

人事室の皆様

 この度は、「均等・両立推進企業表彰」厚生労働大臣優良賞均等推進企業部門を頂きましたこと、厚く御礼申し上げます。また、男性中心の働き方であるというイメージが根強く残る建設業としては、初の同賞の受賞という事であり大変光栄に 存じます。
 弊社は、平成26年4月に専任部署として「ダイバーシティ女性活躍推進グループ(現:ダイバーシティ推進グループ)」を設置しました。女性活躍推進を中心に多様な人材の成長と活躍に向けて「対話」と「自分事化」を合言葉に、男女問わずプロとして社会と接し、誰もが自分の能力を遺憾なく発揮でき、笑顔でいきいき活躍できる職場環境の醸成を目指し取り組んでおります。先進性とアイディアに溢れた独自のまちづくりを社会に提案していけるよう、今後も更なる職域拡大、成長に向けて取り組んで参ります。

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