女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2018年度

平成30年度 均等・両立推進企業表彰
厚生労働大臣優良賞 ファミリー・フレンドリー企業部門

株式会社デンソー (製造業)

両立支援制度の拡充による育児支援からキャリア形成支援に取組をシフト。
介護支援はさまざまなシーンを想定し、情報提供。柔軟な働き方に対する取組にも注力

認定マーク

企業プロフィール

設立
1949年
本社所在地
愛知県刈谷市
事業内容
自動車関連部品・生活関連機器・産業機器等の開発・製造・販売
従業員数
51,475人(うち女性8,439人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、均等・両立推進企業表彰、ダイバーシティ経営企業100選 / 新・ダイバーシティ経営企業100選

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援テレワークフレックスタイム制男性育児参画事業所内保育施設

特徴的な制度・取組など

  • 両立支援制度の拡充による育児支援からキャリア形成支援に取組をシフト。介護支援はさまざまなシーンを想定し、情報提供。
  • 柔軟な働き方に対する取組にも注力

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取組の背景と経緯

 株式会社デンソーは、自動用システム製品の開発・製造・販売を行っている、グローバル企業です。同社では、出産・育児を理由とする女性従業員の離職を減らすことを目的として、平成 16 年から両立支援制度の拡充に注力してきました。 その後、出産・育児を理由とする離職者はほぼゼロになりましたが、女性だけが育児も仕事も抱えてしまう傾向が見られたため、平成 26 年からは、取組の方向性を育児支援から仕事と家庭の『両立』支援・キャリア形成支援にシフトしました。両立支援制度も育児を支援する内容から、全従業員が「働きやすい」制度を目指し、一人ひとりの時間創出と「働きがいの革新」へと向けて改善を重ねてきました。あわせて、男性の育児参画促進の取組も開始しました。
 同社の両立支援推進体制は、人事部人事戦略室内の人材活躍推進課が中心となっており、勤務制度や福利厚生については、労務室と連携して活動しています。

育児・介護関連制度

育児関連制度

 育児休業制度は、子が小学校を卒業するまでの間で通算 3 年間、 5 回まで、暦月単位で分割して取得可能です。産後すぐの育児休職を「産後育児休業」、同一の子に対する 2 回目以降の休職を「あんしん育児休職」としており、あんしん育児休職を取得する際は、前回のあんしん育児休職から復職後 1 年以上経過していることを要件としています。育児短時間勤務制度は、子が小学校卒業前まで、通算 4 年、暦月単位で分割して利用可能であり、 取得回数に上限はありません。また、月 5 日間を上限にフルタイム勤務をすることが可能です。いずれも、仕事と育児の両立をする従業員の声を踏まえ、子どもの小学校入学や長期休暇等を考慮した制度設計としています。
 男性の育児参画を目的として、配偶者出産休暇制度を導入しており、配偶者出産前 15 日~出産後 3 か月以内で 5 日間まで取得可能としています。配偶者出産休暇制度は有給で分割取得可能としており、平成29 年度は 555 名が利用しました。また、育児休業中の従業員とその配偶者を対象に夫婦で参加する復職支援セミナーを開催しています。近年は約 8 割が夫婦又はパートナーと参加しています。このセミナーと、育休前後に上司と本人で実施する育休前後面談により、上司や男性従業員の仕事と育児の両立に対する理解を深め、職場・上司を巻き込んで、女性従業員が仕事も育児もあきらめない取組をしています。 また、平成 19 年からトヨタグループ会社協賛 5 社で事業所内託児所 6 施設を運営しています。生後 8週間~小学校入学前までの児童を受け入れており、勤務に合わせて 7 時~ 20 時半まで開所しており、祝日の一時保育も行っています。
 同社は全従業員が「安心して働き 安心して出産・子育て」できる会社を目指しています。

介護関連制度

 介護休業制度は、対象家族 1 人かつ傷病ごとに最大 1 年間、何回でも分割取得可能としており、過去 3年間に男性 75 人、女性 48 人が取得しています。復職率は男性が 100 %、女性が 98 %となっています。 介護のための勤務時間短縮制度は、 1 日の勤務時間を 6時間又は4時間 30 分から選択可能であり、通算 3 年間、 2 回まで、暦月単位で利用可能です(フレックスタイム制度非適用者)。今後、介護に直面する従業員の増加が見込まれることから、積極的に情報提供を行っており、 「家族で考える介護ハンドブック」を作成・配布したほか、毎年、遠距離・親の介護・介護事情の 3 つのシーン別に介護セミナーを実施しています。

その他の取組等

 柔軟な働き方を推進するため、平成 2 年度にフレックス勤務、平成 23 年度に裁量労働制度(平成 29年度に拡充)を導入しています。平成 30 年 10 月からは、コアタイム(出社義務)がない在宅勤務制度(上限 5 日 / 月)と、コアタイム(出社義務)があるがコアタイム以外の勤務時間・場所を柔軟に選択可能なテレワーク制度を、フレックスタイム制度が適用されている全従業員を対象に導入 しました。また、夏期( 6 月~ 8 月)に本社と先端技術研究所において、コアタイムを 1 時間短縮し、通常勤務( 8 : 40 ~ 17 : 40 )を 1 時間前倒しで勤務する朝型勤務「 Morning Shift 」を推奨しています。さらに、従業員一人ひとりが創出できた時間を有効に使うことを応援する取組として、平成29 年から「 Start-up !応援金」を導入しています。 「学び」 (ビジネススキルセミナー、オンライン学習、趣味や一般教養等)、 「健康増進」から選択して取組を進め、支給要件を満たした場合、一人当たり最大18,000 円を支給しています。

取組上の課題等

 女性活躍推進では、両立支援制度を拡充しただけでは育児と仕事の両立は一筋縄ではいかないと考えています。女性従業員に見られる傾向としては、ライフイベントを迎えると生活に時間を取られてしまうことも多くなり、仕事では昇格意欲がないと周囲に映ってしまうことが活躍を阻んでいる一因です。 こういった時期に女性従業員のキャリアアップをうまくサポートし、彼女たちが昇格をし、キャリアのステージが上がれば、周囲の期待値や業務の範囲も広がり、さらなる活躍が期待できます。それには女性自身の強い気持ちも必要であり、大多数を占める男性管理職のさらなる意識改革も必須だと考えています。そして女性の会社での活躍推進と男性の家庭での活躍推進は両輪ととらえ、男性の家庭参画も促進していきます。
 介護については、全従業員が介護という乗り越えるべきライフステージがあるということを理解し、今まさに直面している従業員を自分事として温かく支える会社風土を築くことだと考え、取組を進めています。

今後の展望

 同社は、現在の取組を風土醸成にまでつなげることが重要であると考えています。現状は制度や仕組みで、育児・介護をしている従業員を支援しているという状況ですが、会社の風土として自然にできるようになることが本質であり、 これには全従業員の意識改革が必要だと考えています。新入社員や階層ごとに行う教育や、組織を束ねるマネジメントを対象とした意識改革研修などを通じて、行動を変えることに粘り強く取り組んでいきます。
 その結果として、多様な人材が力を発揮することで、新たな価値を創造し続ける企業、ダイバーシティが活かせる企業を目指していきます。

受賞企業のコメント

常務役員
下方 敬子

 この度は、栄えある賞を賜り、誠にありがとうございます。 当社では、 「モノづくりはヒトづくり」という考えのもと、社員一丸となりこれまで多数の革新的な製品を生み出してきました。社員が安心して働き続けられるよう、 1990 年代より法定基準を上回る育児や介護との両立支援制度を整備し、ライフイベントを理由にした退職者はほぼゼロになりました。今後は、さらなる企業成長のため、多様な人材が仕事と生活を両立しながら最大限に力を発揮できる環境・組織風土の実現に向け、キャリア形成支援と、働き方の選択を柔軟にできる環境整備をさらに加速してまいります。 より良い未来を次世代に届けるために、社員一人ひとりが情熱をもって挑戦し続けることができる風土づくりを今後も進めてまいります。

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