女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2018年度

平成30年度 均等・両立推進企業表彰
厚生労働大臣優良賞 均等推進企業部門

株式会社丸井グループ (卸売業、小売業)

女性活躍の取組の進捗状況を測る「女性イキイキ指数」を設定し、「見える化」を推進。
取組の結果、女性の職域が拡大し、女性管理職も増加。

認定マーク

企業プロフィール

設立
1937年
本社所在地
東京都中野区
事業内容
小売業
従業員数
8,085人(うち女性4,575人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定、えるぼし(認定段階3)、プラチナえるぼし、均等・両立推進企業表彰、イクメン企業アワード、令和4年度なでしこ銘柄、ダイバーシティ経営企業100選 / 新・ダイバーシティ経営企業100選、100選プライム

取組内容

女性活躍推進女性職域拡大女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 女性活躍の取組の進捗状況を測る「女性イキイキ指数」を設定し、「見える化」を推進。取組の結果、女性の職域が拡大し、女性管理職も増加

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取組の背景と経緯

 株式会社丸井グループは、 「マルイ」を中心とした小売事業と、 「エポスカード」を中心としたフィンテック事業が一体化した独自のビジネスモデルを展開している企業です。同社では、以前から店舗勤務の女性社員が多数いましたが、 店舗勤務は勤務時間帯が遅めで、さらに遅番勤務もあることから、ライフイベントを迎えた女性社員の働き方が課題となっていました。また、社員の約半数が女性社員にもかかわらず、女性管理職比率は高くなく、意思決定の場に女性の参画が少ないことも課題となっていました。このため、平成 26 年度からの中期経営計画において、経営戦略として女性をはじめとした「多様性推進」を掲げ、多様な視点や価値観を意思決定の場に活かすことを目指して取組を開始しました。また、独自の KPI (重点指標)「女性イキイキ指数」 (女性活躍浸透度、女性の上位職志向、男性社員育休取得率、育児フルタイム復帰率、女性リーダー数、女性管理職数、女性管理職比率について、 2021 年 3 月までに達成すべき数値目標を設定)を掲げ、取組状況を可視化しています。
 同社では、公募により選抜したメンバーによる「多様性推進プロジェクト」 (全体プロジェクト・事業所プロジェクト)が中心となって、各事業所における課題を抽出し、取組を推進していきました。

女性の活躍推進(ポジティブ・アクション)のための具体的な取組内容

採用拡大

 同社では、男性と比較して女性からの応募が多いことから、女性の採用拡大について特段の取組は行っていません。近年の女性の採用比率は、概ね 6 割前後となっています。

職域拡大

 同社では、店舗勤務の女性が多い一方、空間デザイン部門や物流部門等において女性が少ない傾向にありました。このため、半年ごとに自身の今後のキャリアや成長を考える機会となるよう「お仕事フォーラム」を開催し、 グループ各社の仕事内容や活躍する社員の紹介、仕事と家庭を両立して活躍する女性管理職等との座談会を行っています。その後、半年に1度の自己申告制度等により、これまで女性が少なかった部門に異動して活躍する女性が増加しました。これらの取組により、物流部門における女性比率は 27.0 %(平成 28 年度)から 36.6 %(平成 30 年度)、情報システム部門における女性比率は 27.1 %(平成 28 年度)から37.6 %(平成 30 年度)、空間デザイン部門における女性比率は 21.2 %(平成 28 年度)から 27.5 %(平成 30 年度)に上昇し、さまざまな部門で女性が活躍するようになっています。

管理職登用

 同社では、女性の管理職登用を進めるにあたり、管理職一歩手前の女性リーダーの数を増やす取組を進めました。平成 26 年から、女性社員を対象に「階層別共有会」を開催し、自身の意識改革やグループ横断のネットワーク作りの機会を提供しました。また、これからライフイベントを多く迎えるであろう年代である28 歳の全女性社員を対象に、 自らのキャリアを振り返り、今後の成長につなげるための「キャリアデザイン・プログラム」研修を実施しています。このほか、女性社員のキャリア意識醸成や社外ネットワーク拡大を目的として、社外研修に管理職・リーダー層の女性社員を積極的に派遣しています。こうした取組を進めた結果、係長クラスに占める女性割合が 10.7 %(平成28 年度)から 16.7 %(平成 30 年度)、課長クラスに占める女性割合が 9.6 %(平成 28 年度)から 12.1 %(平成30 年度)、部長クラスに占める女性割合が 5.6 %(平成28 年度)から 8.4 %(平成 30 年度)まで増加しました。

職場風土の改善

 働き方改革に向け、平成 20 年に「業務改善プロジェクト」と管理職による「働くプロジェクト」を立ち上げ、所定外労働削減の取組や年次有給休暇の取得促進、多様なシフトの整備、柔軟な勤務制度の導入や、テレワークのトライアル等、 さまざまな取組を展開しました。この結果、月平均残業時間は 10.9 時間(平成 19 年)から 3.5 時間(平成 29 年)まで減少し、年次有給休暇の取得率も 61 %(平成 29 年)となっています。 多様性が活きる組織とするため、役員を含む全管理職を対象に「アンコンシャス・バイアス研修」 (無意識の偏見への気付きを促す研修)を実施しました。現在は、責任者やマネージャー層にも拡大しています。

取組にあたって苦労した点・課題

 もともと同社では、社員の約半数が女性ですが、係長クラスにあたる管理職一歩手前のポジションの女性が少なく、さらにその下の職位である主任クラスから係長クラスに昇進する女性も少ないことが課題でした。
 取組を開始するにあたって、 社員の意識を把握するためにアンケートを実施したところ、管理職を志向する女性が少ないことがわかりました。そこで女性の上位職志向を高めるために、女性社員自身の意識改革に注力しました。 「階層別共有会」を開催し、現在の職場以外にも活躍の場があり、また、マネジメントも自分の可能性を広げるために重要な経験であることを認識してもらえるよう、意識改革に努めました。取組を進めた結果、女性の上位職志向は 41 %(平成 25 年)から 67 %(平成 29 年)まで上昇しました。女性の意識が変わってきたことで、全社の意識も変わり、男女問わず多くの社員がより自発的に行動するようになってきました。

今後の展望

 これまで取組を進めてきた内容については、一定の成果が表れていますが、女性の上位職志向については、まだ取組の余地があることから、今後も引き続き取組を進めていきます。また、同社では、女性活躍推進をダイバーシティ経営の一環で進めていますが、 「インクルージョン」の考え方が重要であると考えています。女性だけではなく、男性、女性を問わずさまざまな多様性を受け入れる、 「インクルージョン」を推進することで、より社会から求められる企業として企業価値を高めていきたいと考えています。

受賞企業のコメント

取締役 専務執行役員
石井 友夫

 この度は、このような素晴らしい賞を受賞することができ、大変光栄に存じます。
 弊社では、違う個性を持つ社員一人ひとりが互いを認め合い、さまざまな価値観を融合させることが、革新を起こす企業文化を醸成すると考えております。 2015 年 3 月期から中期経営計画において、女性活躍をはじめとする「多様性推進」を経営戦略として掲げ、 「男女」 「年代」 「個人の中」の3つの多様性を中心に、意思決定の場への女性・若手の参画や、意識の変容をはかる「職種変更」などの取組を進めて参りました。
 今後とも、社員一人ひとりが自発的に行動し、イキイキと活躍できる組織づくりに向けて、積極的な取組を継続して進め、企業価値向上に邁進して参ります。

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