女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2016年度

東京海上日動システムズ株式会社 (情報通信業)

自由度の高い勤務制度と充実した育児支援制度により、誰もが働きがいのある職場環境を整備しています

認定マーク

企業プロフィール

設立
1983年
本社所在地
東京都多摩市
事業内容
情報通信業(情報システムの企画・提案・設計・開発・保守・運用等)
従業員数
1,559人(うち女性530人 2023年4月時点)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定

取組内容

仕事と育児の両立支援テレワーク妊娠中の労働者支援

特徴的な制度・取組など

  • 子どもが小学校3年生終了時まで利用できる育児のための勤務時間短縮制度と、時間制約があるために裁量労働を申請できない従業員を対象とした小学校6年生終了時まで利用できるフレックスタイム制度により、子育て中の従業員をサポート
  • 勤務時間を10パターンから選択可能な「勤務時間自由選択制度(マイチョイス制度)」により、従業員が働く時間を自由度高く選択可能
  • 自律した働き方の実現、業務効率化・生産性向上、ワーク・ライフ・バランスの実現を目指し、働く場所の柔軟性を高めるテレワーク勤務制度を導入

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インタビュー

  • (2023年インタビュー時点)
    人事部 課長
    山本 修平さん

取組のきっかけ・経緯

 当社は2004年に東京海上システム開発、日動火災システム開発、東京海上コンピュータサービスの3社が合併したのを機に、従業員数も1,000名を超え、大幅に規模拡大しました。以前は、妊娠や出産を機に退職する女性従業員も少なからずいたことから、このタイミングで、出産後にも職場復帰し、仕事と育児を両立できるよう、両立支援制度の整備・拡充に取り組むことにしました。また、2007年に女性従業員がより働きやすい環境を整備するための従業員による有志の活動として、Happy Work & Life Style Project(通称:ハピプロ)委員会が社長直下のプロジェクトとして立ち上がりました(2010年に取締役会委員会となる)。この活動において、女性が働き続けられる環境を整備するための「10個の提言」がまとめられ、その中に育児中の従業員のための在宅勤務制度の導入等も盛り込まれていました。それらの提案も踏まえ、従業員が必要とする制度の導入へとつながりました。

子育て中の従業員を支援するための取組・制度等

 当社では、従業員のワーク・ライフ・バランスを重視し、多様な働き方や育児支援制度を導入しています。妊娠中の従業員のための制度として、始業時を9:30に、終業時を16:30(定時は9:00~17:00)に、それぞれ30分ずつ短縮可能としています。産前・産後休業、育児休業制度は法定通りですが、育児のための勤務時間短縮制度は子どもが小学校3年終了時まで、1日2時間までの短時間勤務が可能です。このほか、配偶者の出産休暇(配偶者の出産日の前後を通じた7日間の特別休暇(有給))や、時間単位で取得可能な子どもの看護休暇(有給、子ども一人あたり5日間/年)、福利厚生のカフェテリアプラン等、育児中の従業員を支援するための多様な制度が整備されています。

 また、当社では経営方針の1つとして、子育て中の従業員に限らず多様な働き方を推奨することを掲げており、働く時間等を各自が決められるような制度を整備しています。具体的には、勤務時間自由選択制度(マイチョイス制度)として、始業時間を7時~13時の間、30分単位で設定している中から、計10パターンの勤務時間を選択可能です(所定労働時間はいずれも7時間)。また、主任クラス以上の従業員は、裁量労働制として、5時~22時の間で自律的に勤務することができます。これらの制度により、従業員は自由度高く自分のライフスタイルに合った勤務を選択することが可能となっています。

 その他、全ての従業員に働きやすい環境を提供するため、年間に1回、連続して10日間の休暇が取得できる特別連続有給休暇や、従業員が自由に特別な日を設定して取得できる記念日休暇等を導入しており、特別連続有給休暇の取得率はほぼ100%となっています。

制度導入による効果等

 両立支援制度を整備・拡充した結果、出産・育児を事由とする退職が大幅に減少しました。ここ数年では育児休業取得後の復職率はほぼ100%を維持しています。また、当社の各種の取組が外部からも評価され、プラチナくるみん認定(2015年)、Great Place to Workが実施する「働きがいのある会社ランキング」ベストカンパニーへの選出(選出回数12回(2023年時点))等を受けています。これらの外部評価は、就職活動中の学生やキャリア入社を目指す方に、男女問わず高い関心を持っていただき、大きなアピールになっていると感じています。「働きがいのある会社ランキング」では、従業員へのアンケート結果が大きな比重を占めていますが、当社は働きやすさを支援する制度や環境に関する部分の評価が高く、少なからず従業員の「働きがい」の向上に貢献していると感じています。今後も外部評価等を参考にしながら、より働きがいのある会社を目指していきたいと考えています。

今後の課題・展望等

 女性従業員が仕事と育児を両立させて働き続けるための環境は整備されてきています。一方で、男性従業員についても仕事と育児を両立できる風土を築くことが必要だと考えています。風土醸成の取り組みの一つとして、ハピプロ委員会では、育児休業を取得した男性従業員の座談会を開催し、座談会の内容を記事にして、社内報で発信する取り組みを実施しました。

 ハピプロ委員会は、2019年にこれまでの活動目標を見直して、新たに再定義し、「組織を超えたコミュニケーションやつながりを通して、多様な価値に気づき・受け入れ、一人ひとりが自らの個性を活かしながらキャリアアップできる風土を醸成することを目指す」こととしました。これを実現するために会社として、ジェンダーギャップを解消し、女性従業員とその所属組織が協力して成長を促進する階層別研修、ハンディキャップのある従業員の人材活用、外国籍新卒学生の積極採用やグローバルIT人材の育成等に力を入れています。

 従業員がよりやりがいを持って働ける環境づくりのために、今後も法改正や社会の変化に柔軟に対応し、制度や環境を見直し、さらなる取り組みを行っていきたいと考えています。

制度利用者の声

多様な両立支援制度と福利厚生を活用することで
心に余裕をもって働くことができています

(2023年インタビュー時点)
人事部 課長代理
駒井 秀子さん

 私は新卒で入社し、システム開発業務を経験後、人事業務に従事しながら2人の子供を育てています。当社は仕事と子育てを両立するための支援制度が充実しているだけでなく、利用しやすいのが魅力です。例えば妊娠・出産・子育てをする場合、必要な手続きやスケジュールが網羅された当社オリジナルのガイドブックがあり、これを読めば迷うことなく準備を進めていくことができます。出産前に、育児をしながら働くことを想定してキャリアプランを考える機会もあります。

 育児休業からの復職前には、復職後の働き方を考える社内セミナーで、役員からのメッセージや、これまでとガラリと変わる生活を具体的にイメージするワーク、パートナーと話し合う時間があります。他社に勤務しているパートナーも参加でき、起床時刻や子供の送迎の分担等、新しい生活をイメージしながら具体的に考えていきます。私の場合、一人目の復職時にはこのセミナーがまだありませんでしたが、二人目の時には夫と一緒にセミナーを受けてから復職できたため、セミナーの重要性を感じました。また、休業期間中の会社の動きや復職後の仕事と家庭の両立に関するe-ラーニングもあります。復職時には、仕事に対して不安に思ってしまうこともありましたが、休業前に自分が考えていたキャリアプランを振り返ることで前向きな気持ちを取り戻すことができました。

 復職後は、全社員が利用できるテレワーク勤務制度をさらに活用して、在宅勤務の日は早く仕事に取りかかり、昼休みの休憩時間を利用して家事を済ませ、夕方保育園に迎えに行った後はゆったりとした気持ちで子供に向き合えるようにしています。テレワーク勤務制度と同じくらい活用しているのが、小学校3年生まで(法律では3歳までですが、当社は必要に応じて最長で小学校3年生の年度末まで)利用可能な時短勤務制度と、小学校6年生まで利用可能なコアタイムなしのフレックス制度です。この2つは併用可能で、仕事の繁忙度等に応じて日によって働く時間帯や長さを変えることができます。子育てや家庭に重点を置きたい時、仕事のギアを入れたい時、それぞれに合った働き方を自分で選べるのはありがたく、モチベーション維持につながっています。特別連続有給休暇は、社員個々に取得時期を選べるので、子供の長期休みに合わせて活用しています。

 また、いくら準備をしていても、子供の病気等自分ではコントロールしきれない事態が続いたり、子供の成長と共に就学や学童保育が終わるタイミング等で悩みが出てきます。そんな時には、社内の有志で活動しているハピプロ委員会が実施している子育てパパママの座談会に参加したり、両立している社員を紹介する社内報を読んだりしています。同じ会社の社員なので、制度の活用や周りへの配慮等参考になることが多く、子育てしている他部門の先輩後輩と知り合う機会にもなります。当社は役職にかかわらず、誰に対しても“さん”付けで呼び合っているため、役職の垣根なく子育て中のパパママとしてフラットに話すことができます。

 これらの制度は、家庭・育児との両立だけでなく、介護や治療等個々の社員の事情に寄り添う制度でもあると感じています。制度を利用するのはそれが必要な一時期です。育児は周りに見えやすい事情ですが、それぞれ事情はあるものです。周りのメンバーに感謝して、自分ができる時はできることを進んで取り組む気持ちを心がけています。

掲載年度:2016年度(2024年2月更新)

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