女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2016年度

シスメックス株式会社 (製造業)

事業所内託児所やスマートワーク制度を導入し、全従業員が安心して働き続けられる環境が整っています。

認定マーク

企業プロフィール

設立
1968年
本社所在地
兵庫県神戸市
事業内容
製造業(医療機器等の開発・製造・販売等)
従業員数
2,783人(うち女性1,162人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、えるぼし(認定段階3)、ダイバーシティ経営企業100選 / 新・ダイバーシティ経営企業100選

取組内容

仕事と育児の両立支援フレックスタイム制事業所内保育施設女性活躍推進女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 法定を上回る育児・介護休業制度や充実のカフェテリアプラン等により、育児と仕事の両立を積極的に支援。
  • 事業所内託児所(キッズパーク)では、延長保育や一時的な預かりにも対応し、育児中の従業員をサポート。
  • 従来のフレックスタイム制度及び在宅勤務制度に加え、2021年度に「働く時間・場所・働き方」を自身で選べるスマートワーク制度を全社員対象に開始。

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インタビュー

  • 人事部 ダイバーシティ推進課
    シニアプランナー
    中島 幸季さん(左)

    人事部 ダイバーシティ推進課
    鳥井 貴子さん(右)

取組のきっかけ・経緯

 当社はもともと積極的な女性採用を行い、製造業としては比較的女性比率の高い会社でしたが、女性の勤続年数が短いという課題がありました。2000年当時の男女退職率比較では男性が3%程度であるのに対し、女性は10%とやや高く、結婚、妊娠、出産を機に退職する実態もあり、女性にも長く働き続けてもらうために両立支援制度の拡充を図ってきました。

 2009年には事業所内託児所を整備し、法定を上回る育児・介護休業制度、カフェテリアプラン(育児施設利用補助、介護支援補助、自己啓発補助、在宅・テレワーク環境整備補助)等に加え、つわり及び不妊治療時にそれぞれ14日間取得できる「めばえ休暇」、子が1歳までの育児については連続3日まで取得できる有給の「育み休暇」、子が中学校就学前まで10日間、時間単位で取得できる「子の看護休暇」を設けています。さらに育児時短制度を拡充し、2019年より1日2時間30分まで勤務時間を短縮可能とし、15分単位で時間設定できるようにしています。

 2010年までは女性が継続就業できるような取り組みを主体として行ってきましたが、労使一体となってさらに制度の見直しや拡充を図ってきたことで今ではそれが当たり前となり、育児休業を取ることは働く上で障壁とならないところまで完備されました。離職率も男女の差は年々縮まり、2021年時点では男女とも3%台になり、男女差は解消されました。

 一方で、正社員の女性比率約30%に比較して、管理職比率が8%と低いのが現状です。管理的な立場でのポジションにチャレンジしたいという意向がある女性従業員はいますが、アンコンシャスバイアスが男女ともに内在しており、従業員の意識改革を促す全社的取り組みが継続して必要です。男女が均等な機会を確保できる会社制度を整備することが、女性のキャリア支援と女性活躍実現に必要であると考え、様々な施策を展開しています。

制度導入による効果等

 コロナ禍を経験してテレワーク(Work from Home)が進み、さらに踏み込んでスマートワーク(Work from Anywhere)というコンセプトで、男女問わず、全社員が時間や場所にとらわれず仕事を進めることができる制度を2021年度にスタートしました。通勤にかかる時間を削減し、またチーム内でお互いの仕事を把握しつつ円滑に業務を遂行するといった働き方に対する意識が変わりました。

 2020年に導入したジョブ型人事制度も大きな変化を生みました。経験年数に比例するのではなく職務に応じた人事は、出産や育児を経ても中断することなく継続してキャリア形成できる制度であるということで社内外から期待を寄せられています。

 また、男性の育児も進んでいます。仕事と育児の両立支援の各種制度の周知や職場における働き方への意識変容により男性の育休取得率が大幅に上昇し、2021年度は5割を超えました。引き続き利用促進のための周知活動を行なっています。

 空きポジションと希望がマッチすれば社内の新たな職務にチャレンジすることができる社内公募制度や、スキルや職務の可視化(職務記述書の公開)を行い、個々人の価値観に沿った最適なキャリアの実現を目指しています。

今後の課題・展望等

 当社では、従業員が育児や介護をしながら働き続けられる環境や制度を継続的に改善してきましたが、これからは多様な従業員に対し働き方の選択肢をさらに充実させる必要性が高まっています。付加価値労働生産性指標を取り入れ、労働時間や個々のスキルアップを定期的にチェックし、また、定年延長によるシニア層の人材の活用、外国籍の積極的な採用など、多様な人材が働きやすい職場環境を推進していきます。

 多様な人材が働きやすい職場環境づくりのためには、従業員同士の価値観の相違や、アンコンシャスバイアスなどの解消を図ることが重要と考えています。様々なライフイベントを迎えても安心して働き続けることができるような、多様性を理解し合える風土を醸成していく必要があると考えています。

キッズパーク外観

制度利用者の声 制度利用者の声画像

ビジネスインキュベーション室所属 開発担当
山下 沙弥さん

 2015年4月に新卒で入社後、第1子出産のため2020年8月から産前産後休業、育児休業を取得し、2021年10月に復職しました。事業所内託児所(キッズパーク)を利用しながらフルタイム勤務をしています。

 キッズパークの広い園庭や、託児所内で食事を調理しているところなど環境の良さに惹かれ利用を決めました。会社の敷地内にあるため病気の時すぐに駆け付けられ、安心して預けられるところも魅力に感じています。社内での評判もよく上司からも勧められました。

 スマートワーク制度も活用しています。子どもが体調不良の時は、夫と交代でテレワークし「中抜け」制度を活用するなど協力して仕事をしています。通院、行政手続きなど短時間の用事がある時も終日・半日休みではなく、状況に応じて様々な働き方ができるので効率よく働くことができています。

 育児休業から復帰した直後は、育児と仕事を両立できるのか不安に感じていました。夕方頃の業務は担当できないなど時間的な制約があり、周囲に頼らなければ両立は不可能です。いつも支えてくださっている上司・メンバーには本当に感謝しています。

 また、コロナ禍の影響でオンライン会議やテレワークが浸透してきたことが両立支援の後押しになっていると感じています。

制度利用者の声 制度利用者の声画像

ヘマトロジー事業推進部所属
前川 侑司さん

 2010年に入社、2021年5月に異動で大阪から神戸に転居。2021年3月に第一子が誕生し、他社勤務の妻が育児休業を取得していました。勤務地の関係で、妻の復職は難しいと考えていましたが、自分が神戸で赴任することになり、認可保育園の申込み時期は過ぎていたうえ、保育園の空きがない状況の中、幸いキッズパークを利用することができました。もしキッズパークがなかったら妻の復職が遅れる、もしくは復職出来ない可能性もあったため、非常にありがたかったです。

 キッズパークでは先生が丁寧に対応してくれ、子供も先生に懐いて、毎日楽しそうに遊んだり食べたり学んだりしていしています。食育やイベントも多く、毎月の予定を楽しみにしており、育児休業を延長し家で見ているよりも良い刺激になり、非常に嬉しく思っています。写真も毎日壁に貼ってくれていて、楽しみに見させてもらっています。

掲載年度:2016年度(2023年2月更新)

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