女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2024年度

株式会社プロテリアル (製造業)

社内ネットワーク構築の場を提供し、相互理解を深めることで、多様な人材が働きやすい環境へ

認定マーク

企業プロフィール

設立
1956年
本社所在地
東京都江東区
事業内容
特殊鋼、ロール、自動車鋳物、磁性材料、パワーエレクトロニクス、電線、自動車部品の製造・販売
従業員数
5759人 (単独・うち女性 828人)
企業認定・表彰等
えるぼし(認定段階3)

取組内容

女性活躍推進 女性採用拡大

特徴的な制度・取組など

  • 新卒採用における女性採用比率のKPI設定
  • 社内における「女性フォーラム」の開催
  • 女性の健康に関するオンラインセミナーの実施

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インタビュー

  • 人事総務本部 D&I推進部
    部長
    丹羽 映理子さん(右)
    主任
    関原 早希さん(左)

取組のきっかけ・経緯
女性従業員のキャリアに対する不安解消を目指して

 プロテリアル(以下、当社)は業界の特性上、会社全体での女性の従業員は少ない状況にあり、2015年度の総合職における女性従業員の比率は2.7%でした。当時社内では、人材育成・開発プロジェクトが立ち上がっており、多様な人材の活躍を推進するための実態把握として、総合職の女性従業員に対してヒアリングを実施しました。その結果、事業所によっては総合職の女性従業員が身近にいないという状況、いわゆるロールモデルが不在であり、長く働くことに不安を感じている従業員が多いことが分かりました。当社は男性の応募者の割合が多いという実態を踏まえ、会社として何らかのアクションを取る必要があるとの認識から、2017年頃から女性活躍推進の取組の充実強化を図りました。

具体的な取組の内容

社内の女性従業員比率向上に向けて、女性採用比率のKPIを設定

 当社は、配属職場と採用面接担当者に意識付けをし、継続して女性を採用していくために、新卒採用においてKPIを定めました。KPIの設定においては、当社の業種に関連する複数の大学の学部や学科における在籍者の男女比を踏まえて、技術職は10%以上、事務職は40%以上女性を採用することを明確にしました。これらのKPIを達成するために、採用活動では、女性の学生が何に不安を抱いているのかに焦点を当てることを意識しています。例えば、女性の学生が選考に来た際には、できる限り女性従業員と面談する機会を設定するなど、入社前からキャリアの不安を解消できるように取り組んでいます。


女性従業員の将来に対する不安解消のために「女性フォーラム」を開催

 当社では2017年から「女性フォーラム」を開催しています。「女性フォーラム」とは、毎年、半日から一日、当社における総合職の女性従業員が一堂に会する機会です。働き続けていく上での課題の共有と女性従業員同士のネットワーキングの場をつくり、将来に対する漠然とした不安を解消することを目的としています。フォーラムでは、ワーク・ライフ・バランスやスキルアップ、男性の生きづらさ等、毎年テーマを変えてディスカッション等を実施しています。フォーラム開催後のアンケートでは、「会社全体では多くの女性がいることを実感した」や「いろいろな先輩の話が聞けて良かった」等の声がありました。

 当初は総合職の全女性従業員を参加対象としていましたが、女性従業員の増加に伴い、全員が参加するとその間の通常業務に支障をきたす可能性があるため、現在は、キャリア形成に焦点を当てる観点から若手の女性従業員に対象を絞って開催しています。2024年度は初の試みとして、女性のネットワーキングの場としての機能は維持しつつ、男性従業員やさまざまな年齢層の従業員も含めて世代間ギャップやコミュニケーションをテーマに実施しました。若手の女性従業員からは「上司とのコミュニケーションの取り方の参考になった」「誰にとっても働きやすい環境になるよう今日学んだことを実践していきたい」という前向きな意見が寄せられました。今後も、女性従業員同士のネットワーキングづくりと共に、会社の活力となるフォーラムを開催していきたいと考えています。


女性の健康に対する理解促進セミナーの実施

 2022年度から外部から講師を招き、仕事を続けていく上で重要な女性の健康に関するオンラインセミナーを実施しています。セミナーは、任意ではありますが全員が参加することが可能であり、後で録画を視聴することもできます。また、不妊治療等、特に管理職の理解が必要と考えられるテーマについては、セミナー実施前に管理職に対して個別にメールを送る等して、積極的な参加を呼びかけています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
数値や社内の反応等から取組の効果を実感

 総合職における女性従業員比率は、2015年度時点では2.7%でしたが、2023年度時点では5.7%であり、数値が徐々に上がってきていることが取組の成果と考えています。これまでの取組の結果、当社は「えるぼし認定(三段階目)」等の社外評価を得ることができました。管理職を中心に女性のキャリアに対する理解も深化していると感じています。総合職における女性従業員比率は着実に高くなっており、さらなる改善のために今後も積極的に採用を進めていきたいと考えています。

今後の課題・展望
よりグローバルな視点から、女性活躍の取組を促進

 今後は、海外拠点とも連携し、よりグローバルな視点から多様な人材が活躍できる会社を目指していく必要があると考えていますが、引き続き女性活躍の推進もその重要な要素であると考えています。

 女性活躍推進については、意思決定を行う役員、管理職における女性の比率を引き上げるための取組を行っていきたいと考えています。また、国内における女性採用比率のKPIについても、本来のあるべき姿を見据えたKPIへの見直しが必要という意識を持っています。よりスピード感をもってKPIを達成していくためには、新卒採用だけでなく、キャリア採用も視野に会社全体として取組を加速していく必要があると考えています。

従業員の声 制度利用者の声画像

キャリアアップをしていく中で、職場における女性従業員に対する理解促進を実感

電線事業部 医療営業部 医療グループ グループ長
陶 鴬さん

「女性フォーラム」への参加で、当社の女性活躍に対する取組推進を実感

 私は2005年に入社し、営業職に配属されました。2009年に産前産後休業及び育児休業を取得し、2010年に復帰後、2016年から中国へ赴任しました。2024年からは再度本社にて営業職を務めています。「女性フォーラム」へは中国から参加しました。違う職種の女性従業員と交流することができた点がとても良い経験になったと考えます。入社当時は女性の営業職はとても少なく、若手の女性従業員にとって働きやすい環境とは言いにくい部分もありました。キャリアアップについて悩みを抱えている女性従業員も多かったのではと感じています。フォーラムに参加することで、当社が女性の活躍に着目しているということを感じることができました。

環境が改善されつつある中で、自身も意見を述べ、相互理解を深めることが重要

 当社は女性のキャリアアップにとても積極的であると感じています。育児に対しては、出張について配慮してもらう等、周りからさまざまなサポートを得ることができました。中国への赴任も、もともと私が海外勤務を希望していたことがきっかけの一つと考えます。特に近年は世界中の多様な人材が活躍しており、以前と比べると女性従業員に対する理解も得やすい環境になってきていると感じています。一方で、私は、環境の改善に加えて、女性従業員自身が自分の考えていることやキャリアについて、周りに相談し意見を述べることが重要であると考えています。主張を伝えることはお互いの理解への第一歩です。私は今後、現在携わっているプローブケーブルなど医療向けのビジネスを成功させ、再度海外で働きたいと考えています。

(データの取材時点:2024年12月)

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