女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2017年度

積水ハウス株式会社 (建設業)

男性の育児休業取得は従業員とその家族が幸せになるための要素 取組の原点は“「わが家」を世界一幸せな場所にする”ため

認定マーク

企業プロフィール

設立
1960年
本社所在地
大阪府大阪市
事業内容
建築工事の請負及び施工、不動産の売買、都市再開発ほか
従業員数
22,994人(うち女性6,454人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定、えるぼし(認定段階2)、イクメン企業アワード、ダイバーシティ経営企業100選 / 新・ダイバーシティ経営企業100選

取組内容

仕事と育児の両立支援テレワーク男性育児参画女性活躍推進

特徴的な制度・取組など

  • 男性社員が育児休業を1カ月以上の期間で取得する100%
  • 「男性育休プロジェクト」において男性の育児休業に前向きに取組む賛同企業・団体を募り表明

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インタビュー

  • ダイバーシティ推進部
    シニア・スペシャリスト
    森本 泰弘さん

取組のきっかけ・経緯

 男性社員の育児休業取得を推進するきっかけは、2018年5月に当社社長が海外IRでスウェーデンのストックホルムを訪れた際、多くの男性が街や公園でベビーカーを押すという光景に衝撃を受けたことでした。

 当社では“「わが家」を世界一幸せな場所にする”というビジョンを掲げています。そのビジョンを実現するためには、まず従業員とその家族が幸せであること。そしてストックホルムで実際に見た光景が重なったこともあって、強力なトップマネジメントのもとに、帰国後4カ月という短期間で男性の育児休業取得促進の取組を開始するに至りました。

 女性の育児休業取得や、保活コンシェルジュ、ベビーシッター費用の補助といった女性支援に関する取組は社内に根付いており、仕事と育児、介護、傷病の両立という観点からも、会社の財産である人財が長く働き続けるための両立制度のプラスアルファとして、男性の育児休業の取得は、全従業員がキャリアビジョンを実現するために必要な1要素であるとも考えています。

具体的な取組の内容

 2018年9月より特別育児休業制度の運用を開始しました。主な特徴として、3歳未満の子を持つ当社グループ従業員を取得対象者とし、対象者は全員1カ月以上の育休を取得できるよう経営戦略として推進しています。最初の休業日から通算で31日までを有給休暇扱いとし、家庭の事情等に合わせて最大4回までの分割取得が可能です。

 さらに2021年4月には、出産後の妻の身体的精神的不安を解消し、子育てを夫婦のものにしてもらため、産後8週の期間内に1日単位で柔軟に休業取得ができる「男性産後8週休(現在は「出生時育児休業」に改称)」を運用開始しました。

 従前にも、3歳までの子を持つ男女社員とその上司が参加する「仕事を育児の両立いきいきフォーラム」や「積水ハウスのパパたち写真展」の開催など、マインドを変えるための取組を行っていました。そこからさらに、休業取得時期や目的、家庭内での役割分担を可視化する「家族ミーティングシート」や、上司・同僚の経験を「男性育休ガイドブック」としてまとめ、イントラネット上にアップするなど、サポートツールを充実させて男性の育児休業完全取得を図っています。そして、休業取得対象者からの申請や管理者による確認・承認といった手続き上のミス等を減らすためのシステムを開発し、取りこぼしをなくすアラート機能を充実させました。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等

 当社が重視しているのは「社員の幸せ」であり、子どもが生まれる家庭では、家族のきずなを深めてほしいと思っています。男性の育児休業取得はのちの家族形成にいい影響を与えるでしょうし、育児や家事の時間を含めた効率化や時間の使い方を家庭で話し合うことが、働き方の質や生産効率向上にもつながると考えています。

 本格運用を開始した2019年2月以降2022年8月末時点において、取得対象男性社員累計2,534名のうち、取得期限を迎えた1,423名全員が1カ月以上の休業を取得し、1カ月以上の育児休業取得率100%を維持しています。

今後の課題・展望

 今後は、男性社員の育児休業を1カ月以上取得するという点において、社員の負担を解消するための実務的な課題も出てくるでしょうが、実際に男性社員が育児休業を取得した結果、チーム力が上がる、部下が成長するなどの副次的効果が見えてきています。この取組をきっかけにして、育児に限らず介護休暇やリフレッシュ休暇を取得したい社員が、誰でも休みを気軽に取れる社内風土を醸成しいきたいと考えています。そして、“お互いさま”の精神、助け合いによるチーム力が向上し、仲間の先にいる大切な家族にもいたわりの気持ちを抱くような輪が広がっていくことを願っています。

 「男性の育児休業取得100%を実現する」というベクトルをグループ全体で推進することで、社内だけではなく、社会全体のいろいろな課題が解決に向かうよう働きかけていきます。現在、当社のこの取組に多くの企業から賛同をいただいていますし、男性の育児休業取得が唯一の手段ではありませんが、事業を通じて社会課題を解決するという大きなミッションの目的はやはり、お客様の幸せや社会の幸せであると思います。目前の取組を他方様々な改革やイノベーションを起こす起爆にし、「チャレンジしていく」という姿勢を社員に伝えていきたいと考えています。

制度利用者の声 制度利用者の声画像

子どもたちとの時間を大切にしながら
家族が幸せに

東京北支店 マネージャー
シニア・スペシャリスト
杉山 優さん(営業)

子どもの成長を実感する瞬間はかけがえのない大切な思い出になる

 我が家には長男、長女、次女の3人の子どもがいます。長男のときには現在のような男性育児休業制度がありませんでしたが、長女が1歳半を過ぎたタイミングで育児休業を分割で取得し、次女が生まれた直後にも、まずは1週間分を取得しました。休業取得経験者として、子どもと接する時間が多ければ多いほど仕事へのモチベーションは上がると感じましたし、特に休業期間中は子どもたちの成長に感動させられる場面が何度となくありました。例えば次女の出産時。長女は母親と一緒に寝ることが当たり前でしたが、母のいない寂しさを表に出さず、平然と過ごしていました。幼いながらも姉になるという自覚が芽生えた瞬間に立ち会えたことは、これからもずっと記憶に残り続ける、かけがえのない大切な家族の思い出です。

我が家を大切にする。そんな人にこそ住まいを任せたい

 男性の育児休業の取得は、お客様からも好意的に受け止められることが多く、従来とは違う新しい価値観を積極的に取り入れる組織としての姿勢は、むしろ評価につながっていると実感しています。家族を大切にする人間だからこそ、家づくりを任せる信頼に値する。休業の取得をお伝えした際のお客様の反応は、大きな安心材料になっています。取得にあたって不安がなかったわけではありません。ですが、チーム運営に支障が出ないようにマネジメントし、部下の成長にもつなげていくのがマネージャーの責務であり会社も私にそれを求めてくれています。

 不在中の突発的なトラブル対応策を様々にシミュレートし、チームで話合いを重ねて、お互いに助け合いながら仕事を円滑に進められるような体制を整え、職責者や職場の仲間に前もって情報共有など準備を行った仲間一人ひとりが、自分の役割を考えながら私のいない分をしっかりカバーしてくれたことに感謝しています。

 ちなみに今の一番の楽しみは、少しでもはやく家に帰って子どもたちとその日の出来事を話し合うことです。そのために業務の効率化も強く意識するようになりました。「子どもたちが寝なくなる」と妻から苦情を受けることもありますが、これからも子どもたちとの時間を大切にしながら、成長を見守り続けたいと思います。

掲載年度:2017年度(2023年2月更新)

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