女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2021年度

株式会社北海道銀行 (金融業、保険業)

制度や取組の拡充により継続的なキャリア形成をサポート

認定マーク

企業プロフィール

設立
1951年
本社所在地
北海道札幌市
事業内容
金融業、保険業
従業員数
3,130名(うち女性1,821名)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定、えるぼし(認定段階3)、均等・両立推進企業表彰

取組内容

女性活躍推進女性採用拡大女性職域拡大女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 企業内託児所の設置、「再雇用制度」や「夫婦同一地勤務制度」の導入により、キャリア継続を支援
  • 女性職員を対象とした階級別研修を実施し、キャリア形成意識を醸成
  • 産前産後休業や育児休業前後に手厚いサポートを提供
  • 経営トップが仕事と家庭の両立に関するメッセージを発信

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インタビュー

  • 人事部
    能力開発・育成室長
    兼 ダイバーシティ推進室長
    山内 えり奈さん

取組のきっかけ・経緯
北海道の皆さまのお役に立つために

 北海道銀行は、「北海道に本店を置く銀行を設立してほしい」という、道民の皆さまの声で設立した「どさんこバンク」です。地域に根差し、北海道の皆さまのお役に立つことを使命として2021年3月に創立70周年を迎えました。当行職員の半数を占める女性職員が安心して長く働ける環境を整備するため、2012年に企業内託児所「どさんこKids’Room」を設立、2013年からは女性の経営職・管理職の育成プログラム「Women’s Do研修会」を開始、女性活躍推進に大きく乗り出しました。2019年には「職員の個性を尊重し、職員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる風土の醸成」や「職員のライフスタイルに合わせ、やりがいを持って働くことができる職場環境の整備」を目的に人事部内にダイバーシティ推進室を新設、行内外に向けてダイバーシティや女性活躍に重点を置く姿勢を示しました。

具体的な取組の内容
女性が長く働き、キャリアアップするための支援が充実

 制度面では、定時退行日や定時退行月間を設定、年次有給休暇の取得を進めるなど、職員のワーク・ライフ・バランスの向上を図っています。出産・育児等により、一度銀行を退職した職員が退職前の条件にて復職可能な「再雇用制度」や、ライフスタイルに応じ多様な選択肢を提供しキャリア継続をサポートするため、配偶者の勤務地に合わせ同居可能な通勤圏内の勤務地への異動を可能とする「夫婦同一地勤務制度」を導入しています。また、育児休業期間は子どもが3歳になるまで、育児短時間勤務も子どもが小学4年生になる前まで、と充実させています。産前産後休業・育児休業前および復職前には所属長との面談を行うほか、復職前に人事部による復職サポートセミナーを開催しています。セミナーは、同時期に復職する職員同士が情報交換できる場とし、先輩ママからの復職に向けての心構えや育児休業期間中に変更のあった行内規程、復職後に必要な手続などについて案内しています。産前産後休業・育児休業中でも自宅で閲覧できる学習ツールを通じて行内の情報を得ることができますので、復職に向けた準備をスムーズに進めることができる仕組も整えています。
 人材育成面では、一定職層の女性職員を対象とした「キャリアデザイン研修会」を実施、職場における自分の立ち位置や役割を振り返り、今後の働き方や人生設計を展望する機会を設けています。また、女性経営職・管理職の育成を目的とした「Women’s Do研修会」では、グループワークを通じ意見交換をしながら、マネジメント力向上に向けた課題の捉え方、解決手法について学ぶ機会を提供しています。受講者は、職場におけるマネジメント上の改善目標を設定し、グループメンバーに進捗を報告しながら、課題を本質から捉える力と周囲を巻き込んで解決する手法を身につけます。これらの研修会には、先輩女性職員を招き、受講者と同じ立場だった当時を振り返りながら後輩へのメッセージを伝えてもらうことで、女性職員のモチベーションアップにつなげています。こういった取組により、2021年3月末の女性管理職比率は16.8%と順調に増加しています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
制度利用者や女性管理職の増加による職員の意識の変化

 男女ともに育児休業取得者数や女性管理職の登用人数などは着実に増加しています。育児短時間勤務などを利用し、制約を抱えながらも成果を出す職員に刺激を受け、業務効率化や職場の活性化にもつながっていると感じています。また、女性管理職が増えたことで、男女問わず女性上司を持つ職員が増え、努力次第で誰もが評価されるという考えが浸透したと思います。ロールモデルが身近に存在するようになったことで、女性職員の上位職を目指す意識も大きく変わりました。
 現在、新卒の採用は女性職員が担当していますが、その職員に憧れて入行を決めてくれる学生もおり、女性の活躍による成果の一つと考えています。採用活動では当行の女性活躍推進の取組や制度について説明しているほか、さまざまな職種の女性職員との座談会なども行っており、職種や立場にかかわらず女性が生き生きと働いていることを感じてもらえていると思います。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
誰もが気兼ねなく制度利用できる風土の醸成

 女性はもちろん、男性も当たり前に育児休業を取得できる風土をつくるには時間がかかりました。当初は、対象の男性職員に育児休業の利用を促しても、なかなか取得が進みませんでしたが、誰もが気兼ねなく利用できる環境を整えるため、対象者とその直属の上司および所属長に対して育児休業取得に向けた声掛けを行っています。未取得者に対しては、取得できるまで定期的に上司を含め案内します。その結果、2018年度60%だった男性の育児休業取得率は、2021年度に100%を達成しました。
 経営トップによるメッセージ発信の影響も大きいと思います。各種研修会において頭取や副頭取などが、性別にかかわらず仕事も家庭も充実させる重要性を講話していますので、トップがダイバーシティや女性活躍の推進を重視している方針が職員にも伝わっています。

今後の課題・展望
男性目線でのダイバーシティ推進にも取り組む

 制度や仕組の整備はかなり進んできましたが、ダイバーシティ推進は女性中心のもの、という考え方はまだ根強いとも感じています。当行は、「地域共栄」・「公正堅実」・「進取創造」を経営理念に掲げています。育児や介護をはじめとした制約がある働き方は誰にでも起こり得るものです。多様な人財の活躍が「地域共栄」へ、ダイバーシティ分野での新しい取組や価値観の創造が「進取創造」へ繋がるものと考えています。北海道に貢献するために、男性目線のダイバーシティ推進にも取り組みながら、全ての職員が活躍できる環境づくりを目指しています。

従業員の声 制度利用者の声画像

「女性だからこそ」を強みに変えて活躍したいと考えています

リテール推進部 ローンプラザ
主任
岩崎 かずささん

女性管理職を上司に持ったことをきっかけに

 2004年に入行し、営業店で窓口業務や店頭相談業務に従事しました。入行7年目に本部に異動、預かり資産推進にかかる店頭指導業務を経験しました。その後、入行14年目で主任に昇格、現在は、「保険プラザ」という専門部署で住宅ローンを組んだお客様をはじめ、結婚や出産などライフステージが変わったお客様に対する保険の見直し相談を担当しています。その間、2回の産前産後休業・育児休業を経験しました。入行当時は育児休業の取得者が少なく、自分も結婚や出産をきっかけに退職するだろうと考えていました。その考えは本部に異動し、子育てをしながら活躍する女性管理職を上司に持ったことを機に大きく変わりました。活躍する先輩女性と一緒に仕事をすることで、私も仕事を続け、キャリアアップをしたいと思うようになりました。最初の育児休業取得時は、制度利用者もまだ少なく不安でしたが、女性上司が親身に相談に乗ってくださり、とても心強かったです。1人目も2人目も企業内託児所を利用しましたが、託児所を利用すれば職場復帰できるという安心感があり、「子育てを応援する」銀行の姿勢を感じました。2回目の育児休業取得時には制度利用も珍しくなくなり、子どもの急な体調不良時にも休暇が取得しやすいなど、当行全体で理解が深まっていることを実感し、とても感謝しています。

自身の経験を業務に活かすことができています

 女性上司の活躍を目の当たりにしたことで自身も管理職を目指すイメージを持つことができ、主任への昇格を目標としてきました。主任昇格を打診された際は、自分にできるだろうかという不安はあったものの、挑戦してみたいという思いや嬉しい気持ちの方が大きかったです。主任になり「Women’s Do研修会」に参加し、同じ立場で働いている他の参加者との交流を通じ自分にもまだまだできることがたくさんあると思えるようになりました。
 保険を専門分野とする現在の業務では、結婚や出産、育児など自身の経験を踏まえて、お客様への提案ができることにやりがいを強く感じています。私が女性上司に憧れたように私自身も後輩からそう思ってもらえるような存在になるため、スキルアップを図り、さらなる昇格を目指したいです。指導を通じて後輩から学ぶことも多く、後輩と一緒に自身も成長していきたいです。「女性だからこそ」を強みに変え、活躍していきたいと考えています。

(データの取材時点:2022年1月)

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