女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2021年度

王子グループ (製造業)

地道で丁寧な情報発信を継続することが重要と考えています

認定マーク

企業プロフィール

設立
1873年
本社所在地
東京都中央区
事業内容
製造業(産業資材、生活消費財、機能材、資源環境ビジネス、印刷情報メディア等)
従業員数
38,141名(連結)(うち女性7,161名)
企業認定・表彰等
えるぼし(認定段階3)

取組内容

仕事と介護の両立支援男性育児参画仕事と育児の両立支援

特徴的な制度・取組など

  • 全従業員に介護に関する情報を届けるため地道で丁寧な情報発信を継続。
  • オンラインによる介護セミナーを開催。

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インタビュー

  • 王子マネジメントオフィス
    グループ人事本部 人事部
    山本 宏美さん

取組のきっかけ・経緯
アンケートの結果から漠然とした介護への不安を把握

 当グループは「企業の力の源泉は人材」の考え方に基づき、従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる環境整備に取り組んでいます。2015年にダイバーシティ推進室を設立し、従業員のワークライフマネジメントを向上する取組を開始しました。その取組の一つとして、両立支援制度の活用を促進するため、制度に関する社内ポータルサイトの開設やハンドブックの作成等、情報提供の充実を図っています。
 仕事と介護の両立支援に関しては、2018年に全グループの従業員を対象とした介護に関するアンケートを実施しました。その結果、5年以内に介護に直面する可能性がある従業員のうち、93%が介護に対して漠然とした不安を持っていることが分かりました。また、当グループは40代以上が半数以上を占め、将来的に介護は重要課題になるという想定のもと早期に準備をしておく必要があると考え、仕事と介護の両立支援の取組を開始しました。

具体的な取組の内容
情報提供と従業員の状況の把握で万一に備える

 2018年に実施した介護に関する従業員アンケートから、介護に関する不安の原因は「介護についてよく分からない」「介護に関する情報が不足している」「先が見えない」等が多いことが分かりました。そこで、社内イントラネットに両立支援に関するポータルサイトを設け、仕事と介護の両立のための社内制度等について、従業員が必要な時にすぐに閲覧できるよう情報をまとめました。また、「仕事と介護の両立ハンドブック」を作成し、介護に直面した時の心構えや、社内の介護を支援する制度、公的なサービスなどをまとめています。介護は一人で抱え込まず、地域包括センターやケアマネジャーとの連携が重要だと考えますが、介護の経験がない人には地域包括センターの認知度は低く、まずこちらに相談することを強調して伝えています。
 当グループの介護休業制度は通算1年間を上限とし、最大12回まで分割して利用可能としています。また、介護や育児を理由とした場合に積立保存年休を時間単位で利用できる制度や、コアタイムなしのフレックスタイム制を設けています。そのほか、外部のセキュリティ会社と高齢者見守りサービスを優待価格で利用できる制度も準備しています。
 また、2016年から毎年、従業員向けの介護セミナーを開催しています。介護セミナーでは、「仕事と介護の両立ハンドブック」を使った制度等の説明のほか、その時々のタイムリーなテーマを盛り込んでいます。2021年に開催したセミナーでは、コロナ禍で外出を控える高齢者が増えたことを鑑み、フレイル※に関する内容を盛り込みました。
 さらに、毎年管理職との面談を実施し、直近一年の評価と今後一年の目標設定をはじめ、業務の満足度や異動希望を含めたキャリアについて話し合う場を設けています。その中で、従業員とその配偶者の両親の年齢、居住地、介護の可能性について申告してもらうようにしています。管理職の裁量に委ねるのではなく、会社の方針としてこれらの事項を把握することで、介護について話しやすい雰囲気の醸成に努めています。
 ※加齢による心身の衰えのこと。
仕事と介護の両立ハンドブック

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
介護セミナーのオンライン開催で参加しやすくなりました

 介護の取組の成果として、介護セミナーへの参加者が年々増加していることが挙げられます。2021年はオンラインで開催したところ、例年の3倍の約150人が参加し、その半数以上が関東以外の従業員でした。2020年以前に集合型で行っていた時には本社からの参加がほとんどでしたが、それまで参加しづらかった遠方の職場からも介護セミナーに参加できるようになりました。今後もオンラインを活用して、社内イントラネット上でいつでも誰でも介護に関する動画を閲覧できるよう準備を進めており、情報を得やすくする工夫をしていきたいと考えています。
オンラインによる介護セミナーの様子

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
全従業員に情報が届くように地道に伝え続ける

 仕事と介護の両立支援の取組で大切なことは、「伝え続けること」だと考え、従業員に見てもらえるよう、情報発信の手法を工夫しています。例えば、法改正や制度の改定があった場合にはポータルサイトの新着情報に掲載し目立つようにする等、閲覧数を増やす工夫を地道に続けています。また、業務でパソコンをあまり使わない職場では、休憩室に印刷した「仕事と介護の両立ハンドブック」を置き、全従業員に情報が届くようにしています。
 そのほか、職場の実態に合わせて制度を柔軟に運用することも大切と考えています。

そのほかの両立支援制度(男性の育児参画促進)

 男性の育児参画促進の取組は2016年頃から注力しています。女性活躍を進めるためにも、男性が主体的に家事や育児に取り組むことが必要だと考えていますし、育児との両立によって本人や職場の業務効率化が進む等、働き方改革の一環としても重要視しています。男性従業員を対象とした育児支援制度として、出産直後に3日間有給で取得できる配偶者出産休暇のほか、子が1歳になるまでに5日間を有給で取得できる育児支援休暇を設けています。育児支援休暇の取得率100%を目指し、子が生まれた従業員の上司には取得を促すメールを送信するほか、社内報で育児支援休暇を取得した男性従業員の体験談を紹介したり、オリジナルのポスターを作成し、浸透を図っています。

今後の課題・展望
管理職のマネジメントスキルの向上が不可欠

 全グループの従業員を対象とした「ダイバーシティ意識調査」から、両立支援制度のより一層の利用促進のためには、管理職のマネジメントが重要ということが分かっています。当グループでは、介護や育児による制度利用がキャリアのマイナスにならない評価制度となっていますが、管理職を対象とした研修では公正な評価制度の運用や部下の成長を促すフィードバックの方法について伝えるなど、職場の管理職が適切に両立支援を行えるようにすることも重要と考えています。

(データの取材時点:2021年11月)

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