女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2021年度

T&Dアセットマネジメント株式会社 (金融業、保険業)

多様な人材が能力発揮できる企業風土づくりを通じて男性の仕事と育児の両立・育休取得を推進

認定マーク

企業プロフィール

設立
1980年
本社所在地
東京都港区
事業内容
金融業(金融商品取引業、投資運用業、投資助言・代理業)
従業員数
150名(うち女性67名)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定

取組内容

仕事と育児の両立支援フレックスタイム制男性育児参画

特徴的な制度・取組など

  • コアタイムのないフレックスタイム制度などで柔軟な働き方を推進。
  • 自己申告制度で人事部門が従業員の情報を直接収集。
  • ハラスメント防止研修で良好な職場環境を構築。

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インタビュー

  • 経営企画部 人事グループ
    (左から)
    岡上真紀さん、
    井出真帆子さん、
    中澤太和さん、
    高橋朋子さん

取組のきっかけ・経緯
多様な人材が活躍できる企業風土を目指して

 当社は、T&D保険グループの一員として「多様な人材が働きがいを感じながら能力発揮できる企業風土づくり」に取り組んでいます。その中で、男性の仕事と育児の両立を含む、子育て支援についても各種制度を整えています。
 グループの方針に従って取組を進める一方、当社は子育てサポート企業としてより高い水準の取組を行い、一定要件を満たした場合に与えられる「プラチナくるみん認定」を取得し、個社としても積極的な取組を進めています。

職場の様子

具体的な取組の内容
男性の育児休業取得を推進

 当社には、子の出生後8週以内に有給で3日間の育児休業を取得できる制度があります。短い期間ではありますが、この3日間は休みを取るように従業員に声掛けをしており、結果として、男性従業員の育児休業取得率の向上にも寄与しており、男性従業員の育児休業取得率は100%となっています。1か月以上の比較的長期間の取得者も複数人おり、当社の男性の育児休業取得は進んでいるものと考えています。

仕事と育児の両立のために

 新型コロナ感染症対策の観点もありますが、仕事と育児・家庭の両立、長時間労働の抑制等を目的として、当社では以下の制度を設けるとともに、各種活動を行っています。
・フレックスタイム制度
 2021年4月から全従業員を対象として導入。コアタイムなし。1日あたりの最低労働時間は3時間と設定(7:00~22:00の間)。総労働時間は1か月単位で集計し、労働時間に応じた賃金を支払います(管理職以外の者が所定労働時間に満たない場合には、基本給から減額、所定労働時間を超過している場合には時間外手当を支給)。
・在宅勤務制度
 2020年7月から導入。1日の中でオフィス勤務と在宅勤務を併用できるようにしており、中抜けすることも可能です。
・時間休制度
 従来の半日休暇をバージョンアップする形で導入しました。1時間単位で有給休暇の取得が可能です。
・22時前のリマインドメールの発信
 長時間労働を抑制する目的も含めて、17:00、18:00、21:00、21:50に終業を促すメールを自動発信しています。特に、22:00に強制的にパソコンがシャットダウンされるため、21:50に最後通告も兼ねてデータを保存して終業するよう通知があります。フレックスタイム制度導入時に、何時まででも仕事ができてしまうことを懸念し、設定されました。

自己申告制度で従業員の情報を収集・把握

 当社では、男性の育児休業の取得も進めています。配偶者が妊娠したことを把握するには、男性従業員自ら報告する必要があります。上司又は人事に報告する必要があるのですが、個人情報の把握は決して容易ではありませんので、2003年度から「自己申告制度」を設け、毎年1回、個人的な情報を提供してもらう機会を設けています。この制度では、上司や同僚との関係といった人間関係や職場環境、自身の資格取得状況、さらにプライベートな結婚や妊娠・出産などの情報を申告してもらうことになっており、従業員の情報を適切に把握するのに非常に有用です。特に対応が必要と考えられるケースや配偶者が妊娠したという申告があった場合には、人事が面談の実施を打診し、個別に話をする機会を設けています。
 この制度の良いところは、2012年度より申告ルートを変更し、上長を通じて申告するのではなく、人事に直接申告できる点です。資格や家族の異動などの基本項目は、人事から上長に情報提供する前提で申告を受け、上長との面談が行われますが、一方で、職場環境に関する悩みやプライベートな情報を身近な人に知られたくない従業員もいるため、それらの情報は人事が直接把握し、必要に応じて調整を行うことで、適切な対応につなげられていると考えています。

ハラスメント防止のために

 当社では年1回、人権啓発研修を実施しています。その時々でテーマはいろいろありますが、従業員の仕事と育児の両立などを推進するため、パワハラ・マタハラをテーマに研修を行うこともあります。
 女性の育児休業や短時間勤務などは一般的になってきましたが、男性の長期間の育児休業や仕事と育児の両立のための制度利用はまだまだ多くありません。そのため、制度利用を希望する従業員が言い出しにくくならないようにしなければならないと考えています。法律上当たり前のことですが、新任部長研修では、「育児・介護休業の取得を希望する従業員がいれば、必ずその申し出を受けるように」と伝え、また「制度利用をしたことによって不利益な取扱いを行わないように」と指導しています。
 せっかく申し出たのに、上司に嫌な態度をされたり、制度利用後に不利益な取扱いを受けたとなれば、それに続く制度利用者が出なくなってしまいます。そのため、職場の上司、同僚には、当社グループの理念である多様な人材が活躍できることの重要性と、その実現には従業員全員の意識が必要であることを説明しています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
使いやすい制度は従業員からの評価も上々

 在宅勤務制度において、オフィス勤務と在宅勤務を併用できるようにした点や、中抜けを可能にした点については、従業員から好評を得ています。子どもの体調不良による通院や私用での短時間の外出など、休暇を取得するまでもない用事や時間休の取得を希望しない場合でも、会社が認める範囲内で対応できるため、良い制度を設けることができたと考えています。
 仕事と育児の両立のための制度は、新型コロナ感染症を機に導入したものが少なくないため、それ以前の働き方と比較することは難しいですが、制約のある従業員も働きやすくなったと感じています。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
心配するより産むが易し

 フレックスタイム制度について、当社は資産運用会社であり、ファンドマネジメント、トレーディング、投資信託の基準価額算出業務等に従事する従業員が利用できない可能性があったことから、これまで導入してきませんでした。しかし、新型コロナ感染症対策もあり、より柔軟な働き方を導入すべきとの判断から、フレックスタイム制度を導入しました。
 業務に応じて利用度合いは異なりますが、当初に心配したほどの問題もなく、制度の運用が定着しているように思います。今後、現在の制度の問題点を精査し、より良い制度となるよう、検討していきたいと考えています。

今後の課題・展望
話しやすい雰囲気づくりを

 人事に申告内容が直接に届く自己申告制度などにより、人事と従業員との接点が増えたと感じていますが、男性の仕事と育児の両立や育児休業に関して言えば、男性従業員の配偶者が妊娠したという情報を入手することが難しいと感じています。人事から従業員に積極的に声をかけるようにするなど、もっと話しやすい雰囲気を作り、従業員からの声が聴けるようにしていきたいと考えています。

従業員の声 制度利用者の声画像

在宅勤務・フレックスタイム制度で仕事と家庭を両立

債券運用部
林 祐誠さん

制度を有効に活用!

 在宅勤務制度が導入され、これまでの往復の通勤時間を育児や家事に充てることができるようになったことで平日でも家族との時間を十分に確保でき、とてもありがたいと感じています。朝は余裕を持って娘に離乳食をあげたり保育園まで送ったりできますし、お昼休憩時には必要に応じて洗濯や晩ご飯の下準備といった家事ができ、夕方には娘と一緒に晩御飯をとったりお風呂に入れたりすることも無理なくできます。また、コアタイム無しのフレックス制度が導入されたため、娘が急遽体調を崩して保育園から帰ってきた場合でも、3時間以上働いていれば有休を使わずにその日の業務を終了し、娘の看病に集中することができます。仮にこれらの制度がなかったら仕事と子育てを両立するための負担が段違いだったと思いますし、こうした柔軟な制度を設けてくれた会社に感謝しています。

仕事と育児の両立にはコミュニケーションが重要

 私は娘の生後すぐに約1か月の育児休業を取得しました。初めての育児で夫婦ともに不安が強い中、一度仕事から完全に離れて妻と一緒に育児に専念する形でスタートできましたし、何より娘の生後間もない貴重な時間を家族一緒に過ごせて本当に良かったです。また、ここで家事と育児の全体像を妻と共有した上で、仕事に復帰した後の家事育児の進め方について夫婦で整理できたことで、現在にかけて特にトラブルも無く仕事と育児を両立できていると思います。
 育児休業取得に際しては上司や同僚に業務の引継ぎ等で負担をかけることになりますので、なるべく早い段階で育児休業を取得する意向を周囲に伝えた上で、事前に引継ぎ業務のリストアップとマニュアルの整備などを行いました。部内の皆さんとは普段からとても良好な関係が築けており、誰一人嫌な顔一つせず快諾して頂けたので本当に感謝しかありません。
 家庭内においても職場においても、周囲の助けが無いと仕事と育児の両立は難しいと思いますので、今後もコミュニケーションを大事にしていきたいです。

(データの取材時点:2021年9月)

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