女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2020年度

大成建設株式会社 (建設業)

能力ある女性を活かし“男性の職場”という認識を変えていく

認定マーク

企業プロフィール

設立
1917(創業1873)年
所在地
東京都新宿区
事業内容
総合建設会社
従業員数
8,507人(うち女性1,570人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、均等・両立推進企業表彰、イクメン企業アワード、ダイバーシティ経営企業100選 / 新・ダイバーシティ経営企業100選

取組内容

仕事と育児の両立支援再雇用制度男性育児参画短時間正社員制度女性職域拡大女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 育児休業は2才まで取得可
  • 研修開催時の託児所の開設や保育料の補助
  • 男性の育児休業取得率100%を目指す取組を実施
  • 勤務時間の短縮措置(4・5・6・7時間)は、小学校3年生修了まで可能
  • 育児や介護を理由に退職した社員の再雇用制度の導入 ほか

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インタビュー

  • 人事部部長
    塩入徹弥さん(右)
    人事部人材いきいき推進室
    課長代理
    宮坂知子さん

取組のきっかけ・経緯
女性活躍は、成熟期にある建設業界の生き残りの切り札

 大成建設株式会社は、「人がいきいきとする環境を創造する」というグループ理念のもと、建設事業を中核とした企業活動を通じて、持続可能な「環境配慮型社会」の実現に積極的に取り組んでいます。
 当社で女性活躍推進の取組に着手したのは2006年のことです。当時から建設業界自体が成熟期を迎えており建設投資額は右肩下がりでした。今後、ピーク時の状態に戻ることは難しいとの予測の中で、当社が生き残るための施策の一つとして女性の活躍に注目しました。
 建設業界は男性の職場というイメージが強く、当時は女性の総合職採用は行っていませんでした。しかし大学で理工系の学科で学び、入社後も一級建築士の資格を取得するなど向上心のある女性は少なくありませんでした。これらの女性たちに活躍してもらわないのは会社としては大変もったいないことです。また、1990年頃は結婚・出産を機にほとんどの女性が退職していましたが、徐々に働き続ける女性が増え、2006年の時点では、勤続年数の男女差はほとんどなくなっていました。
 こうした背景を受け、人事部内に女性活躍推進室(のちに人材いきいき推進室と改称)を立ち上げ、2007年から本格的に、女性活躍推進に乗り出しました。
 手始めに、社外の勉強会に参加して先進事例を研究し、自社にどのように落とし込んでいくか検討しました。また、当時1200名いた女性社員の3分の1ほどに直接ヒアリングをしたり、男性社員にアンケートを実施するなどし、社員の声も加味しながら具体的な施策を詰めていきました。

具体的な制度の内容
女性基幹職増、両立支援、働き方改革

・基幹職(総合職・専任職)の女性を増やす取組
 従来はほとんど女性のいなかった営業職や現場での施工管理職(技術職)にも女性の職域を広げました。単に機会を与えるだけでなく、同時に能力開発支援も行いました。
 一般職で採用された女性も資格や能力のある人は、職種変換して基幹職に登用していきました。この結果、2020年には45%が基幹職社員となりました。
 技術職の女性も2006年には10数名でしたが直近では190名程となり、13倍増となりました。
 女性の働きやすさを確保するために、女性用の更衣室やトイレを完備したり、作業服、ヘルメット等も女性にフィットしたものに改善しました。
・育児との両立支援
 育児休業を子どもが2才になるまでに延長したほか、勤務時間の短縮措置(4・5・6・7時間)は、小学校3年生修了まで可能に。育児や介護を理由に退職した社員の再雇用制度も導入しました。育児休業者のためのミーティングや復職時の面談、保活・子育て相談会の実施など、体系的な育児サポートも行っています。
・男性の育休取得を奨励
 男性の育休取得を奨励しています。2016年度に100%取得を目標とし、現時点で100%を達成しています。
 男性が育休を取りやすくするために、育児休業のうち5日間を有給化。配偶者が常態的に子を養育できる場合でも取得可能としています。
 そのほか、夫婦で参加する「仕事と生活の両立支援セミナー」を実施しています。
・働き方改革
 男性の育休を奨励したことで、休日を確保するためには仕事の進め方を変えなければならないという意識が広がり、仕事の進捗状況を公開する、優先順位をつけるなど、個々の努力によって業務の効率化が進みました。この流れは、全社的な働き方改革にもつながっています。
・女性のキャリア支援
 女性が未来のキャリアをイメージできるよう、手厚い研修を行っています。また上司の理解がなければ女性活躍は進まないため、男性上司向けの研修も充実しています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
女性の職域が広がり管理職も増加

 両立支援の制度を充実したことにより、短時間勤務制度を利用して復帰する女性は年々増えています。また、男性が育休を取ることが当たり前になり、取得日数も以前に比べて長期の人が増えてきました。
 2014年に、女性管理職は2020年までに3倍に、女性技術職は2025年までに10%に増やすという目標を設定しました。直近では、女性管理職は30名から約250名に、技術職もほぼ10%に達しています。女性管理職については、2025年までに400名以上を目指しています。
 技術職では、所長が昇格の一つの目標となりますが、今年、女性の所長が誕生しました。これをロールモデルとし、さらに女性所長を増やしていきたいと考えています。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
総論は理解できても自分ごととなると難しい

 2006年当時、管理職含め男性社員は女性活躍推進の重要性を理解していましたが、実際に自分の部署に女性がいた場合、どのように育成したらいいかわからないという男性も少なくありませんでした。しかし先例となる女性ががんばってくれたおかげで少しずつ女性の数が増えていき、数が増えると理解も深まっていきました。

今後の課題・展望
アンコンシャスバイアスの払拭が課題

 今後も、女性活躍推進やダイバーシティの流れは変わることはないでしょう。当社としても進めていく所存です。しかし、人の価値観を変えることは簡単ではなく、アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)はまだ残っています。これをどう乗り越えるかが目下の課題です。

女性従業員の声 制度利用者の声画像

上司や夫の協力、
テレワークなどの制度を活用
働き方の工夫や家事の時短も

土木プロジェクト部
第三プロジェクト室主任
西 亜沙さん

夫も育休取得をしてくれ負担軽減。理解も深まった

 技術職を志望し、2011年に入社。3年間、現場で大規模開発の現場の施工管理を務め、その後4年間、高速道路の現場で施工管理の仕事に従事しました。2018年に妊娠をきっかけに本社に転勤。その後、産休・育休を経て2019年に復帰。当社では2年間育休がとれますが、保育園に入りやすい0歳のうちに産後7カ月で復帰しました。半年間は6時間の育児短時間勤務制度を、その後は7時間の育児短時間勤務制度を利用して働いています。
 妊娠した当時、会社全体には育休取得後復帰した女性は何人かいましたが、当時配属されていた作業所には他に事例がなく、制度の存在も知りませんでした。妊娠5カ月で内勤に配属され、人事部に制度のことを聞きましたが、自分だけ特別扱いされていいのかと不安がありました。上司の理解があったおかげで、気兼ねすることなく短時間勤務制度を利用することができました。社内結婚した夫も制度を利用し2週間育休を取得してくれました。家族がいっしょにいられる安心感もありましたし、育児の大変さを理解してもらういい機会になったと思います。

働き方の工夫や高性能な家電で両立を乗り切る

 子どもの急な病気などで休むことが多いため、周囲に迷惑がかからないよう、自分の取り掛かっている仕事は共有フォルダーに入れて他の人が引き継ぎやすいようにするなど工夫しています。そのほか、高性能な家電をフル活用し、家事を時短しています。テレワークが導入され、子どもの病時にもオンラインで会社と連絡ができたり、休み時間にちょっとした家事や用事を済ませることもでき、とても助かっています。もう少し両立に慣れたら、フルタイム勤務に戻したいですね。また資格取得をしてキャリアアップし、いずれは管理職を目指したいと考えています。
 子育ては体力勝負なので、まずは、本人の健康管理が大事です。社内の他の女性から両立のコツを聞けるような交流の場を積極的に活用し、上司や同僚と連携を取りながら仕事と育児を両立していきたいと思います。

(データの取材時点:2020年12月)

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