女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2020年度

株式会社インテリックス (製造業)

制度を作るだけでなく丁寧な周知・徹底と利用しやすい雰囲気作りも大事

認定マーク

企業プロフィール

設立
1990年
本社所在地
和歌山県和歌山市
事業内容
窓装飾インテリア商品の製造・販売
従業員数
310人(うち女性256人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、えるぼし(認定段階3)、プラチナえるぼし

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援男性育児参画短時間正社員制度女性活躍推進女性採用拡大女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • ワークシェアリングによる両立支援
  • 男性のみの施工技術職に新たに女性スタッフを採用
  • 女性管理職の育成にも力を入れている ほか

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インタビュー

  • 管理部総務課
    九鬼 絢美さん

取組のきっかけ・経緯
女性が、やりがいを感じつつ辞めなくてすむ環境を

株式会社インテリックスは、「窓辺から暮らしに彩りを」をビジョンとしオーダーカーテンを主軸に、窓装飾インテリア商品の製造・販売を行っています。当初は小さな縫製工場として創業しましたが、今では商品の企画からデザイン、生地の調達、販売、施工までトータルで行う、オーダーカーテン業界では初のSPA(製造小売り)企業となっています。インテリア関連の会社のため、もともと女性社員が多かったのですが、仕事のやりがいを感じつつも、妊娠や出産を機に退職する女性が多いことが課題でした。経験やスキルを持ちつつ辞めるのは、本人にも会社にとっても損失であるため、3、4年前から女性が働きやすい環境づくりに取り組み始めました。

具体的な制度の内容
育休中の支援、ワークシェアリング、 女性の施工職採用等

・相談窓口の設置
 休職中や復帰後の不安を解消することを目的に、妊娠がわかった時点から、産休・育休を経て復帰するまで、月1回以上の面談を実施。復帰後の働き方などの相談に応じ、安心して復帰してもらえるようサポートしています。
・法律を上回る育児短時間勤務制度
 子どもが3歳の誕生日を迎えるまでだった育児短時間勤務を、小学生でもまだ手がかかるという声を受け、今年2月から、子どもが小学校3年生の年度末までに拡大しました。
・育児目的休暇導入
 育児参加促進を目的とし、子どもが小学校に入学するまで子ども一人につき年1日、有給とは別に、運動会などの学校行事や予防接種、日常の育児や配偶者の育児サポート等に使える特別休暇を設置。男性の利用も多いです。
・ワークシェアリング
 一つの業務を複数の社員で担当し、「その人がいないとわからない」という状態を排除。一つの業務を複数人でシェアして、子育てや介護で欠員が生じた場合はお互い様の精神でフォローし合える体制としました。
・人事面談制度の導入
 男女や職種、階級に関係なく、全社員を対象に、今後のキャリア形成について希望を聞いたり、会社の制度・業務についての改善意見を聞く機会を設けました。
・女性の施工職の採用
 インテリアの技術施工職は一般的に男性が多いですが、女性を積極的に採用しています。女性の視点で新しいアイデアを提案したり、顧客宅を訪問する際にも女性スタッフのほうが安心だと評価されています。
・育児休業の一部有給化
 子どもが出生後8週間以内に5日間、特別休暇として有給休暇を付与。無給では休みづらいという声に応えました。
・正社員への転換制度
 有期雇用のスタッフは社員登用基準を満たせば、希望により正社員に転換が可能となりました。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
出産で辞める人数が減少、採用や育成コストの軽減

 復帰前の面談や育児短時間勤務の拡充等により、出産を理由として退職する人が減りました。また、育休後復帰して働き続ける人が増えたことで、新しく入社した若い女性も、制度を利用しながら出産後も働き続けることをイメージしやすくなりました。
 ワークシェアリングによって、助け、助けられる関係ができたことでお互い様の精神が広がり、「有休を取りやすくなった」「家庭の事情でも休みやすくなった」などの声が上がっています。また、男性の育休取得も増えてきています。
 さらに、辞める人が減ったことで、採用や人材育成にかかるコストが削減され、経営面でもメリットが現れています。
 現在、女性管理職は係長以上で41.8%、課長以上で30.8%です。これは、意識して管理職を増やしたというよりは、もともと女性が多く、必然的に女性管理職が多くなったというのが実情です。しかし、様々な制度によって出産でキャリアを中断しないですむようになり、今後も管理職は増えていくと考えられます。
 ロールモデルとなる女性が多いことで、若い女性たちにも「がんばれば上に上がれるんだ」という意識が芽生え、モチベーションアップにもつながっています。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
助け合いの風土が奏功。課題は収益とのバランス

 当社では企業理念の一つに「社員自らが考え常に創意工夫に心がけ、お互いが協力しあい楽しく快適な職場を創造し、会社のみならず自己の成長をも目指す」ということを掲げており、会社をよりよく改善しやすい社風があります。助け合いの意識もあり、有休が取りづらいという雰囲気もなく、ワークシェアリングなどの導入もスムーズでした。
 ただ、せっかくのルールを運用してもらうためには、面談などを通して、丁寧に説明していく必要性を感じています。
 また、休暇や時短の制度を手厚くすれば社員の満足度は高まりますが、事業の運営が難しくなります。そのあたりのバランスを考えることが課題と考えています。

今後の課題・展望
今後も性別を問わず多様な選択肢を提供していきたい

 制度をつくって終わりではなく、周知していくことや、利用しやすい雰囲気を作ることも必要だと感じています。また、制度ができたことで安心せず、社員の声を取り入れながら改善していきたいです。
 今後も、性別に関係なく、社員それぞれのライフステージに応じて、様々な働き方を選択でき、仕事もプライベートも充実できるよう、働きやすい環境づくりに努めていきたいと考えています。

女性従業員の声 制度利用者の声画像

助け合いが当たり前の風土で
女性が長く働ける環境

受注統括課
飯田 みなみ(右)さん
荒井 匠子さん

助け合うのが当たり前の文化(飯田さん)

 2013年に入社し、商品部に配属されました。翌年に受注統括課に異動。2015年から育休に入り、翌年にもとの部署に復帰。育休は1年間の予定でしたが保育園に入れず、3カ月延長してもらいました。復帰するまでは、育児と両立できるのか、仕事を忘れるのではないかと不安でしたが、育休中の面談で復帰後について相談できましたし、復帰後も、先輩社員も若手社員も嫌な顔一つせず助けてくれ、また何でも気軽に相談できる職場なので助かりました。
 復帰当初は育児短時間勤務制度を利用していましたが、実家のサポートが得られることからフルタイム勤務に戻しました。短時間勤務のときは「短い時間で仕事をこなさなければ」というプレッシャ―が強く帰宅してからも仕事のことが頭を離れなかったので、私の場合はフルタイムのほうが働きやすいです。ワークシェアリング制もあり、フォロー体制は整っているので、長く働き続けたい。これから育休を使う人も増えてくると思いますが、心置きなく休んで、また復帰してほしいですし、それが可能な会社だと思います。

パート勤務から正社員になりやりがいアップ(荒井さん)

 2016年に中途でパート社員として入社しました。入社以前から正社員登用制度があることは知っており、また制度を利用して正社員になった人が身近にいたので自分も仕事を早く覚えて、いつか正社員になりたいと思っていました。入社して2年後、3人の子どものうち一番上が小学校高学年になったときに、正社員に転向しました。正社員になったことで、仕事の幅が広がり、以前に増してやりがいや楽しさを感じるようになりました。仕事に対する自信もついたと思います。子どもたちの教育費もかかるので収入面でも助かっています。
 制度でありがたいのは、時間有給です。子どもを病院に連れていくために朝1時間だけ遅く出社したい時などとても助かっています。
 周囲には女性管理職も多いので、コツコツと長く働き、キャリアアップできればと思っています。

(データの取材時点:2020年11月)

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