女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2020年度

アイシン精機株式会社 (製造業)

意識・制度・環境の改善に同時進行で取り組むことで女性活躍を一気に加速

認定マーク

企業プロフィール

設立
1965年
本社所在地
愛知県刈谷市
事業内容
自動車部品(パワートレイン、走行安全、車体、情報電子)、エネルギー・住生活関連製品などの製造・販売
従業員数
15,343人(うち女性1,987人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定、えるぼし(認定段階2)、均等・両立推進企業表彰

取組内容

仕事と育児の両立支援テレワーク短時間正社員制度女性活躍推進女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 女性活躍推進プロジェクト「きらり」
  • 男性育休100%宣言
  • 働きがい改革(ATBA活動:チームビルディング等)
  • イクボス育成 ほか

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インタビュー

  • 人事部
    人材開発グループ育成チーム
    チームリーダー
    神谷 祐加 さん

    同グループ
    グループマネージャー
    鳥見 直 さん

取組のきっかけ・経緯
「働きやすさ」から「働きがい」の向上へ

アイシン精機株式会社は、愛知県刈谷市で1965年に設立し、「品質至上」を基本理念とする総合自動車部品メーカー。
 早くから女性活躍推進に取り組み、1990年からの第1フェーズでは女性総合職採用や両立支援制度の導入等による母集団形成および制度構築を目指しました。2000年からの第2フェーズでは、両立支援制度の拡充、意識の醸成、職場環境の改善などを行いました。ここまでで、女性の育休取得率100%、育休後の復帰率は99%を達成。女性が「働きやすい環境」の整備が着実に進む中、2014年からの第3フェーズでは、両立しながら能力発揮できる制度・施策を導入し、キャリアアップを支援。社員が「働きがい」を感じられる職場環境の実現を目指しました。早くから女性活躍推進に取り組み、1990年からの第1フェーズでは女性総合職採用や両立支援制度の導入等による母集団形成および制度構築を目指しました。
 具体的な活動として、「女性活躍推進プロジェクト きらり」を発足。副社長をトップとし、各部署から選ばれた女性約20名が集まる組織横断型プロジェクトで、メンバー同士が現場の問題点を話し合い、人事部や役員に対し、現場の実態課題を踏まえた対策案を提言するという活動を行いました。並行して「イクボス塾」を発足。女性の意識改革と男性上司の意識改革の両輪で改革が進められました。

具体的な制度の内容
意識改革・制度の整備・環境の改善

 「きらり」からの提言をもとに、様々な取組が実現しました。女性の意識改革や女性の働きやすい環境整備ができても、男性上司の理解がなければ女性活躍は進みません。そこで、本人(女性)向けの施策と、上司向けの施策を同時進行で行いました。女性活躍推進の具体的な取組は以下のとおりです。
・キャリア構築と能力開発
 管理職登用に向けた個別育成・キャリア開発研修・メンター制度・総合職への職種変更(2019年度の職種変更者は16名、うち女性11名)・意識改革講演会
・両立しながらのキャリアアップ
 短時間勤務・在宅勤務・帯同休職・キャリアカムバック・妊活支援・託児所設置・キャリア申告制度、両立支援ガイドブック制作
・働きやすい環境
 技能職場の環境整備(女性専用駐車場、女性専用休憩室等の設置、トイレ改善、作業環境の改善等)
・イクボス塾
 管理職を対象に7カ月間の実践型の研修を実施
 目的は、部下のキャリアと人生を応援しながら、組織業績も出し、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司(イクボス)を増やし、ダイバーシティ推進を加速させること。
・ワーク・ライフ・バランス向上
 働きがいを感じられる職場の実現のために、ワーク・ライフ・バランスの向上を目的とした、「ATBA(Aisin Active Team Building Activity)活動」を実施
 ATBAとは、各部署で10人程度のチームを作り、チームの「ありたい姿」を描き、実現するためにどうするかを議論します。そして、業務改革や働き方改革を行うことで、仕事の質を上げ、ワーク・ライフ・バランスを向上し、働きがいを感じる職場へと改革していきます。仕事への満足度が向上し、プライベートも充実することで、新たな価値創造につながるなど、仕事面にもよい影響を与えています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
社内の意識の向上、女性管理職増、働く環境の改善

 当社の女性活躍推進は、制度を作るだけにとどまらず、そこに至るプロセスで議論を重ねることで、女性社員、男性管理職それぞれが理解し合い意識改革できたことが大きな成果と考えています。たとえばイクボス塾も、課題を設定して実行し、その結果を振り返り、課題を抽出・改善し再び実行するというプロセスを繰り返し、地に足のついた改善を図っていきました。
 数字としては、女性管理職の人数は2014年には22人でしたが2020年には69人に。女性の昇級意欲は29%から61%と大幅アップにつながりました。
 ATBA活動の成果としては、大幅な残業時間の削減、業務効率の向上、チーム内のコミュニケーションが質・量とも向上したなどのアンケート結果が上がっています。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
様々な対策を同時に行い、改革を加速

 最も苦労したことは、意識改革・行動改革です。意識が変わってもそれだけでは行動は変わりません。
 解決策としては、トップメッセージを発信し続け、社内周知を図ること、個々の女性社員へのアプローチと男性管理職へのアプローチを同時並行で行うこと。これらの取組に加え、環境改善・制度の整備を一気に行って弾みをつけ、女性活躍推進を加速させました。

今後の課題・展望
早期から女性管理職候補を育成し女性管理職率向上を

 女性管理職数は、実数としては2014年と比較して3倍以上増えましたが、全社的には3%。また課長職が一番多く、それ以上の管理職ポストではまだわずかです。今後は、早い段階で経営的視点を持てるよう研修を充実させるなどし、女性役員候補者の育成、女性管理職の母集団形成の更なる強化を行っていきたいと考えています。また、まだまだ男性的な価値観や働き方に適応できる女性でないと昇格は難しいという意識があり、ATBA活動を通じて家庭やライフイベントと両立した多様な働き方を促進し、こうした意識を取り払いたいと思います。仕事も「量から質への転換」が求められている中、職場全体でダイバーシティの意識・風土を醸成し、世の中に役立つ価値ある商品やサービスの創造につなげたいと考えています。

女性従業員の声 制度利用者の声画像

派遣社員から正社員に。
テレワークでライフも充実。
目指すは管理職

経理部債権債務グループ
相木 由紀さん

様々な制度をフル活用して仕事と育児を両立

 前職を、結婚を機に転職。2008年に派遣社員として当社に採用されました。2011年に、派遣社員から正社員登用の制度が始まり、試験を受けて正社員になりました。
 その翌年、産休・育休を取得し、2年近く休職した後復帰しました。復帰後は育児短時間勤務制度を利用して仕事と子育てを両立。2018年からテレワーク制度がスタートし、育児短時間勤務からテレワークのフルタイム勤務に切り替えました。週に3,4回テレワークを利用し、家事育児と仕事を両立しています。おかげで平日に子どもを習い事に通わせたり、病気の際に看病しながら家で仕事ができ、大変助かっています。また、家で仕事をすることにより、子どもに親の働く姿を見せられることも、親子ともに良いことだと思います。

管理職を目指して総合職に転換

 会社の新しい取り組みによって、一般職から総合職への職種変更が可能になりました。私も子どもが小学生になり手が離れてきたこともあり、総合職に転換しました。実は、前職では、バリバリ働く女性管理職も多く、そういう姿に強い憧れを持っていました。一般職で定型業務をこなすだけではなく、もっと責任のある仕事がしたい、管理職を目指したいと思っていたので、この制度は大変ありがたいと思いました。「きらり」の活動やイクボス塾の様子が社内で情報共有されていたり、活躍する女性の話を聞く機会などもあり、管理職への意欲は高まっていますが、まだまだ子育てとの両立には不安があります。しかし、職場メンバーとの信頼関係や周囲の理解を得ることで解決できると思いますし、テレワークなど柔軟な働き方が定着すれば、もっと負担は軽くなると思います。周囲をリードする存在としてワークシェアリングやITを活用した業務効率化など、改革していけたらと思います。
 今年新たにキャリア申告制度ができました。これは、上司と相談しながら、仕事だけでなく家庭生活の充実も視野に入れて10年先のなりたい自分像を描き、ライフプランを立てるというもの。仕事の希望も出すことができ、主体的に自分のキャリアを設計できます。将来の自分をイメージしながら働くことで、よりやりがいを感じています。

(データの取材時点:2020年12月)

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