女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2019年度

モロゾフ株式会社 (製造業)

充実した両立支援体制により従業員のニーズに合った働き方を実現しています

認定マーク

企業プロフィール

設立
1931年
本社所在地
兵庫県神戸市
事業内容
製造・小売業(洋菓子の製造・販売および喫茶・レストランの運営等)
従業員数
常用雇用者数1,579人(うち女性1,246人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、均等・両立推進企業表彰

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援再雇用制度短時間正社員制度

特徴的な制度・取組など

  • 失効した年次有給休暇を80日まで積み立て、介護や育児等の目的でも利用できる「積立有給休暇制度」で従業員の介護や育児をバックアップ。
  • 理由を問わず、労働時間をフルタイム社員の半分まで短縮できる「ショートタイム社員制度」により従業員の継続就業を実現。

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インタビュー

  • 経営統括本部
    人事総務部
    人事労務担当部長
    磯野 健治 さん(左)

    経営統括本部
    人事総務部
    チーフ
    中川 聖子 さん(右)

取組のきっかけ・経緯
女性従業員が継続就業できるような働きやすい職場環境を整備

 当社は、洋菓子の製造・販売という業種柄、女性従業員比率が非常に高く(契約社員を含めると8割以上)、事業継続や将来の発展において、女性が継続就業できる働きやすい職場環境の整備は不可欠であると考え、早くから、母性保護や育児、看護介護と仕事の両立支援に関する制度を充実させるべく積極的に取り組んできました。看護介護関連の制度については、1988年から導入し1990年代初めには現在の制度が整っています。
 当社は、製造や事務、販売喫茶(店舗職)などの部門や職種に分かれており、取組を進めるにあたっては、各部門や業務の実態を考慮する必要があります。特に、店舗職はシフト制となっており、業務運営も他の部署とは異なるため、制度利用が進まない傾向がありました。例えば、両立支援に係る休暇制度については、製造部門や事務部門では導入当初から利用が進みましたが、店舗では、全従業員への周知が行き渡りにくいことや代替要員の確保等の点から、制度の利用が思うように進みませんでした。このような状況に対し、従業員への周知徹底を継続的に図りつつ、導入時の制度設計上の課題を改善しながら現在の制度を作り上げてきました。

具体的な制度の内容
ショートタイム社員制度で従業員のワーク・ライフ・バランスをサポート

 当社では、「積立有給休暇制度」(失効した年次有給休暇の積立制度で80日まで積立可能)を導入しており、看護介護や育児等の必要が生じた場合などに利用することができます。現在、看護介護については、この制度を利用する従業員が多いですが、この積立有給休暇と年次有給休暇の残日数が合わせて8日未満となった場合には、いずれも2親等内の親族の看護・介護を目的として「看護介護休暇制度」(1事例につき通算93日まで。月給者は欠勤控除なし。時給者は無給)、「看護介護休職制度」(1事例につき6か月間、 復職できない場合はさらに6か月間の延長が可能、無給)を利用することができます。実際に、2親等の親族の介護のために看護介護休職制度を取得した従業員もおり、さらに、「依願退職者再雇用制度」(一定の条件を満たす結婚、育児、介護、看護等による退職者を再雇用する制度)を利用して復職した実績もあります。
 2007年には、①パートタイマー(現在は契約社員)から社員への転換を促進、②社員がワーク・ライフ・バランスに応じて働く時間を選択できる制度を目的として、労働時間を正社員の半分(年間960時間)まで短縮できる「ショートタイム社員制度」を導入しました。この制度は、従業員が制度を利用しやすいよう、フルタイムからの転換理由や転換期間を問うことはありません。また、フルタイム社員とショートタイム社員間の転換は何度でも可能です。
 給料は時給制で、フルタイム社員からショートタイム社員に転換した場合の時給額は、月給を月間所定労働時間で割った金額です。勤務に関しては、転換時に1日の平均勤務時間や年間勤務日数を設定します。
 そのため、介護のためにこの制度を数年間利用し、1日の勤務時間を4時間に短縮した例や、ご家族の事情のほかにご自身のライフスタイルに合わせて利用する従業員もいます。このほか、介護看護短時間勤務として、1日最大4時間まで15分単位で短縮可能で、3年間利用できる制度も導入しています。
 また、2019年には、職種や勤務地を固定した「地域職種限定社員制度」を導入しました。この制度は、職種や勤務地域を限定して働き続けたい希望のある契約社員の方が、社員に区分転換して継続勤務できることを目的に新設しました。

取組を進める上での工夫や配慮等
各種制度の定着には周知だけでなく、職場の協力体制の構築が重要

 仕事と介護の両立支援制度については、部門により制度の存在についての認識や利用状況にばらつきが見られたため、制度の内容や趣旨等を社内報(各人に一冊配布)やイントラネットにより継続的に全従業員へ案内し、制度への周知を促しました。
 従業員の制度利用や休暇の取得に伴う人員補充等は基本的には部署単位、 業務単位で行っています。店舗部門では、様々な雇用形態(正社員、契約社員、派遣社員、アルバイトなど)の従業員が、複数のシフトを組んだ中で勤務しており、休業者が出た場合勤務の調整が難しいのですが、他店舗から応援を頼んだり、一時的に派遣社員を雇う等で、現場に負担のかからないよう配慮しています。
 制度利用者に対しては、周囲への配慮が欠けてしまうことのないよう、サポートしてもらっている分、どうやって仕事でお返しができるか、ということへの自覚を促しており、職場での自主的な協力体制が構築されるよう留意しています。

取組による効果等
従業員の高い継続就業率と優秀な人材の確保につながる

 両立支援制度の整備・拡充によって、各従業員の事情に合わせた柔軟な働き方が可能となり、制度利用者も増加傾向にあります。この結果、従業員の継続就業率は高く、看護介護を理由とする離職者もほとんどいません。
 また、くるみん認定を取得したことや独自の両立支援制度について各種メディア等で紹介いただいたことにより、当社の両立支援への姿勢を対外的にアピールすることもできました。この結果、採用において特に女性からの応募がとても多く、優秀な人材確保につながっています。

今後の課題・展望
従業員がそれぞれのライフスタイルに合わせて働き続けられるように

 育児や看護介護に関する制度に関しては、これまで見直し・改善を重ねており、現時点で特に課題はないと考えています。しかし、将来的に看護介護を行う従業員が増えた場合には、制度の見直しが必要になってくる可能性はあると考えています。
 今後は、2019年2月に導入した「地域職種限定社員制度」を定着させていくとともに、運用上の課題が出てくれば、検討を行っていきたいと考えています。
 これからも従業員のライフイベントやライフスタイルに応じた制度の充実と利用の促進を図り、より柔軟に働ける職場づくりを進めたいと考えています。

制度利用者の声

充実した休暇制度などで気持ちに余裕。安心して仕事と介護の両立ができます

生産本部 生産管理部
管理課
吉川 妙子さん

通院への付き添いに積立有給休暇制度を利用

 私は、入社時から原価管理や予算、システム関係など、生産管理に関する業務に従事しています。
 同居している義母と近所に在住する実父母の3人が要介護状態となり、特に、高齢の父の通院に付き添う必要が生じてきました。以前は年次有給休暇を半日単位で取得し、午前中に病院へ行って午後から出勤したりしていましたが、 通院時間が予定より長引くことも多いことや、年次有給休暇の残日数が少なくなってきたことから、最近は1日単位で休暇を取得できる積立有給休暇制度も利用しています。昨年は父の通院の付き添いのために2日間利用しました。制度利用の手続きも簡単で、この制度を利用できてとても助かりました。私自身の病気のために利用したこともあり、年次有給休暇の残日数を気にしないで休暇を取得できるため大変心強く、この制度があることで気持ちに余裕ができました。

ショートタイム社員制度を利用し、仕事と家庭を両立

 私は子育てもしており、子どもが小さい頃は仕事と育児の両立支援制度も利用してきました。当社の所定労働時間は9:00~17:30ですが、子どもが小学校就学前までは育児短時間勤務制度を利用し9:00~16:00の勤務をしていました。子どもが小学校に就学する頃、 「ショートタイム社員制度」が導入されたため、小学校入学のタイミングで1年間ショートタイム社員に転換して9:00~16:30までの勤務としました。両立支援に対する職場の理解も進んでいたため、周囲の方に協力していただきながら各制度を利用することができ、有り難く感じています。
 当社の両立支援制度はとても充実しており、その時々の状況に合わせて利用できる安心感があります。これからも制度を利用しながら仕事と家庭を両立し、継続就業する従業員の方が増えていくと良いと思います。

(データの取材時点:2019年7月)

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