女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2019年度

丸紅株式会社 (卸売業、小売業)

多様な働き方の選択肢と豊富な休暇制度により、従業員の仕事と介護の両立をサポート

認定マーク

企業プロフィール ※2019年4月1日時点

設立
1949年
本社所在地
東京都中央区
事業内容
総合商社
従業員数
4,469人
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定、えるぼし(認定段階2)

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援フレックスタイム制

特徴的な制度・取組など

  • 介護休暇、ファミリーサポート休暇及び特別傷病休暇等、介護の準備段階から利用できる有給の休暇制度が豊富。
  • 介護サポート専門のNPO法人「海を越えるケアの手」と法人契約し、従業員が海外赴任等で直接家族のケアができない場合、専門職による見守りや各種手続きの代行委託が可能。
  • 介護の専門家による介護セミナーや介護個別相談会を定期的に実施。
  • 制度に関する情報提供のため、介護支援ハンドブックを作成。

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インタビュー

  • 人事部
    グローバル・グループ人事課長
    武村 良平 さん(左)

    人事部
    グローバル・グループ人事課
    糸矢 由香理 さん(中)

    人事部 課長
    グローバル・グループ人事課
    杉林 美絵 さん(右)

取組のきっかけ・経緯
海外赴任検討の際に、介護を抱える従業員の声に直面して

 当社は世界67ヵ国・地域に136の拠点を構えるグローバル企業です。単体従業員数4,469名のうち海外赴任の可能性がある総合職は約3,200名で、そのうち、約850名が海外に駐在しています。介護に関する取組を始めたきっかけは、 人事異動を検討する中で、海外店の幹部ポジションの候補者から、両親等の介護のため海外勤務が難しいという声が聞かれるようになったことです。マネジメントを担う幹部層が介護により人事異動に制限を受けてしまうと、事業への影響が避けられません。
 そこで、2011年に従業員の介護へのニーズを吸い上げるため、40代以上の従業員を対象に介護ニーズ調査を行いました。その結果、回答した従業員の11%が介護をしており、その8割は自分が主たる介護者であると答えました。また今後5年以内に、介護をする可能性があるとの回答も80%を超え、その9割以上が将来の介護に向けての不安を感じていることがわかりました。不安の多くは、「適切な介護サービスが受けられるかわからない」「公的介護保険制度の仕組みがわからない」あるいは「介護の先行きが見えず将来の見通しが立てにくい」といったもので、また、介護をすることになった場合、約7割の従業員が「支援制度を利用しつつ、普通に働き続けながら両立させること」を望んでいることもわかりました。そこで「普段どおりに働くための支援」として「介護に関する継続的な情報発信」「個別に相談・支援を受けられる体制強化」に着目し、使いやすい休暇制度等の整備と情報発信、相談体制の整備を進めてきました。 

具体的な制度の内容
豊富な有給の休暇制度により介護体制を整えることが可能

 当社の介護休業は対象家族一人につき3回、通算365日まで取得可能です。介護休業は無給となりますが、これとは別に、介護休暇(年間10日)、ファミリーサポート休暇(介護、出産立ち合い、学校行事等、家族をサポートするための休暇、年間5日)等、有給の特別休暇があります。加えて、2010年に、本来は本人の傷病のための休暇である最大50日の特別傷病休暇を介護、看護及び育児(満2歳に達するまで)の目的に転用できるようにしました。これらの休暇と年次有給休暇を併用すれば、 かなり長期間の休暇を有給で取得することが可能です。
 また、1日2時間まで短縮可能な介護短時間勤務制度(「介護時間」制度)、1日1時間以内の範囲で、15分単位で始業・終業時刻の繰り上げ、繰り下げができる時差勤務制度(「介護セレクトタイム」制度)や、個人単位の介護フレックス制度(「介護時間」制度と併用可能)も導入しており、それぞれの事情に合わせた柔軟な働き方を選択することが可能です。
 介護予備軍への情報提供の必要性や、海外赴任者が多い事情を鑑み、2010年には介護専門のNPO法人「海を越えるケアの手」と契約し、従業員からの相談窓口の対応業務及び介護セミナーの講師の紹介などを依頼しています。同NPOは全国に専門家ネットワークを持っており、従業員のニーズに合わせたきめ細かい情報提供が可能です。さらに、遠方に住む家族の通院付き添いや入所施設探し支援、公的制度利用の手続き代行を依頼することも可能です。また、民間のセキュリティ会社が提供する高齢者見守りサービス等も、一部費用を補助しています。
 介護保険制度や当社の支援メニュー等については「介護支援ハンドブック」に取り纏め、希望者に配付するとともに、社内イントラネットに掲載しています。また従業員の不安の払拭のために、介護セミナーと介護個別相談会を継続的に実施しています。介護セミナーは介護の専門家による講義等で、2010年から既に27回実施しており、延べ1,300名超が参加し、毎回大変好評です。介護個別相談会は、東京・大阪合わせて年間3回程度実施しており、社内の会議室で専門の相談員に個別相談ができます。いずれも、家族の同伴を認めています。

文中補足写真 介護支援ハンドブック

取組を進める上での工夫や配慮等
個々の事情に応じて多様な働き方の選択が可能

 当社では、従業員が本人の事情に応じてさまざまな働き方を選択できるよう、多様な選択肢を提供しています。「介護セレクトタイム(時差勤務制度)」については、フルタイム勤務の場合と処遇は変わりません。一方、処遇が変わっても勤務時間を短くする必要がある場合は「介護時間(短時間勤務制度)」を使うこともできます。これらの勤務時間に関する制度の利用については、新年度が始まってから、所属部署の上司と面談実施後に、毎年6月末までに申請をする運用としています。年度初めは人事異動もありますので、 職場や自分の仕事の状況を見てから勤務時間を検討できる点は大きいと思います。また、介護の準備段階から利用できる有給の休暇制度を大幅に増やしたことにより、大半の従業員は、介護休業を使用せずに介護の体制を整えられるようになっています。

取組による効果等
介護と仕事の両立に関する取組についての社内の認知度の向上

 介護セミナーをはじめとして、地道な啓発活動を行ってきた結果、セミナーの参加者に管理職男性が増えてくるなど、社内で介護と仕事の両立について関心を持つ従業員が少しずつ増えてきていると感じています。また、普段介護に特段の関心を持っていない従業員でも、当社が介護と仕事の両立に関する取組をしている、ということへの認知は高まっていると感じています。いざという時には人事部に相談すれば何らかのヒントが得られる、という安心感につながればよいと思っています。

今後の課題・展望
相談しやすい職場風土の醸成に注力

 介護に関するアンケートは2011年に続いて、2015年、2018年に実施しました。いずれも、職場で介護に関する事項を同僚に相談しやすいと回答した社員はわずか4割程度にとどまっており、介護について相談しやすい職場風土の醸成は課題であると感じています。引き続き、上司や周囲の社員はもちろん、介護に直面していない若い世代も含めて、理解を促していくよう注力して参ります。

(データの取材時点:2019年10月)

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