女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2019年度

ブラザー工業株式会社 (製造業)

従業員が抱く介護に対する不安に向き合い、受講対象者別介護セミナーの開催、職場環境の構築等に注力しています

認定マーク

企業プロフィール ※2019年3月末日時点

設立
1934年
本社所在地
愛知県名古屋市
事業内容
製造業(情報通信機器、家庭用ミシン、工業用ミシン・産業機器、通信カラオケ等の製造・販売等)
従業員数
3,865人(うち女性784人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、均等・両立推進企業表彰、ダイバーシティ経営企業100選 / 新・ダイバーシティ経営企業100選

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援テレワークフレックスタイム制

特徴的な制度・取組など

  • 仕事と介護の両立の実現に向けて、2010年より介護セミナーを毎年継続的に開催。
  • 仕事と介護の両立においては職場での協力体制の構築やコミュニケーションが重要と考え、各職場の管理職向けのセミナー実施等、管理職へのアプローチに注力。
  • 社内で仕事と介護の両立をしている従業員からヒアリングを行い、属性の異なる多様な事例をイントラネットに掲載。

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インタビュー

  • 人事部 労務グループ
    チーム・マネジャー
    坂本 英子 さん(右)

    人事部 労務グループ
    伊藤 祐樹 さん(左)

取組のきっかけ・経緯
介護に対する不安を解消するため施策を展開

 当社は、従業員が安心して活き活きと働き続けられるように、2005年から各種両立支援に向けた取組を進めてきました。両立支援の取組については、従業員の意見を踏まえ、使いやすい制度の設計と使いやすい職場風土の醸成を進め、法定を上回る制度を整備しました。介護については、2010年度に管理職を対象とした「介護の基礎セミナー」を開催したところ、予想を上回る参加者があったことや、 実際に仕事と介護の両立をしている従業員がいたことから、翌2012年度に実態を把握するため、40歳以上の正社員を対象としてアンケートを実施しました。その結果、介護状態になった場合に両立を希望するという回答者が約8割を占める一方、全体の回答者の97%が介護に不安を抱えていることが明らかとなりました。また、その不安は、介護そのものについて詳しく知らないことからくる不安と、職場での仕事と介護の両立の実現に関する不安の2種類があることもわかりました。これらの結果を踏まえ、介護セミナーの内容、回数や対象者も見直し、更に社内のイントラサイトを活用し広く介護情報の提供に注力することにしました。また、当社の仕事と介護の両立支援の取組の基本方針を「突然の介護リスクに職場全体で事前に備えて従業員の両立をサポートして乗りきる」と定め、介護休職は最後の選択肢であること、介護は急にやってくること、介護をもっとカジュアルに話せる職場にすることを意識して取組を進めてきました。

具体的な制度の内容
充実した制度と対象者別の介護セミナーにより従業員の不安を払拭

 当社の仕事と介護の両立制度については、介護休職は同一の対象家族の一要介護状態について休業開始から3年まで取得可能で、3回まで分割取得可能です。2018年度には3名が利用しています。介護休暇は10日間取得可能で、1日、半日で取得可能としています。介護短時間勤務は通算6年まで、2回まで利用可能です。在宅勤務は勤続3年以上の育児や介護を行う従業員を対象に週2日まで認めており、介護目的での利用は、2018年度は7名でした。フレックスタイムは、一部の部門を除く全従業員に適用しています。このほか、 外部の介護支援サービスとの提携やカフェテリアプランによる介護関連費用の一部の助成等を行っています。
 介護に関するセミナーについては、2010年から受講対象を全従業員、管理職、既受講者の3種類に分け、原則として就業時間内に開催しています。従業員の仕事と介護の両立においては、当事者が不在になる間の職場内での協力体制の構築が重要と考え、それをマネジメントする管理職がカギとなることから、管理職向けセミナーを2016年11月から2018年度末まで毎月開催しました。この期間中に対象となる管理職の約7割が受講したため、2019年度からは頻度を少し下げて開催しています。セミナー受講後に意識的に行動を変えたという受講者は7割を超えており、仕事と介護の両立に対する社内の意識は変わりつつあります。
  また、仕事と介護の両立ができるかどうか不安、という声に応えるため、社内で仕事と介護の両立をした従業員5名にヒアリングを行い、介護体験談としてイントラネットに掲載しました。5事例は、年代、役職、性別、同居有無、対象者等について、さまざまな属性の事例を織り交ぜることで、自分の参考になるものを参照してもらえるような内容となっています。

取組を進める上での工夫や配慮等
個人で抱え込むことなく、話しやすい環境の醸成に注力

 仕事と介護の両立支援の取組については、細く長く継続していくことが重要であると考えています。両立支援において特効薬はないので、従業員にいかにして継続的に声をかけていくか、ということを考えています。介護セミナーも、参加者が減少した時期があり、継続について検討しましたが、継続していかないと、人事のメッセージを従業員に伝える機会がなくなること、また、以前は必要がなくて受講しなかったが、今必要になった従業員に届かなくなってしまうことを考えて、引き続き開催し続けて今に至っています。
 また、介護は本人が申告しないと把握できませんが、話しづらい内容でもあることから、ぎりぎりのところまで一人で抱え込んでしまうことのないよう、できるだけ管理職の方からアプローチするように働きかけています。当社では1on1を導入し、定期的に上司と部下の面談の機会を設定していますが、日頃からコミュニケーションをとり、互いの信頼関係を構築することにより、介護についても個人で抱え込まずに職場に打ち明けられるような職場環境づくりを進めています。
※1on1(ミーティング):部下の育成を目的として、上司と部下が1対1で、定期的に行う対話のこと。

取組による効果等
セミナーの内容が現場で役立つことが重要

 介護セミナーを継続的に開催する中で、ある管理職から、実際に部下が介護を抱えることになったとの相談があった際に、以前受講した介護セミナーが役に立ち、スムーズに受け入れられた、というような話を聞き、セミナーの有用性を感じられる機会が増えてきました。 目に見える効果、ということは難しいですが、従業員が仕事と介護の両立をはじめ、介護に限らず、育児、疾病等を抱えながらも働き続けられる職場環境が形成されてきた、ということは重要なことだと考えており、引き続き、誰もが働きやすい職場環境、そして働き甲斐を持てる職場環境の構築、維持を進めていきたいと考えています。

今後の課題・展望
仕事と介護の両立に限らず、多様な働き方の支援策の検討

 個人が抱える介護の状況はそれぞれ異なるため、会社に対してもいろいろな要望が出てきますが、それに対して会社がどこまで対応していくか、ということは難しいテーマであると感じています。また、介護に限らず治療と仕事の両立ににおいては、産業医を中心に治療と就業のガイドラインを作成し、きめ細かな対応ができるようにして、休職者の仕事は他の従業員がカバーしながら会社全体でサポートするようにしています。
 今後も従業員の多様な働き方を支援できるように新しい制度や取組を積極的に検討していきたいと考えています。

(データの取材時点:2019年7月)

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