女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2019年度

医療法人深見十全会  (医療、福祉)

職員の仕事と家庭の両立を第一に考え、勤務形態を柔軟に調整しています

認定マーク

企業プロフィール

設立
1991年
本社所在地
愛知県西尾市
事業内容
医療、福祉(クリニック、介護老人保健施設、居宅介護支援事業所運営)
従業員数
140人(うち女性117人)※パートタイム勤務含む
企業認定・表彰等
くるみん認定

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援

特徴的な制度・取組など

  • 介護休暇及び子の看護休暇は有給。
  • 介護短時間勤務制度は1日の就業時間を2時間まで短縮する短時間勤務(勤務日数は月20日)、1日の就業時間は通常通り8時間とし勤務日数を月15日とする形態から選択可能。

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インタビュー

  • 法人本部 主任
    都築 常雄 さん(右)

    法人本部 副主任
    広瀬 有香 さん(左)

取組のきっかけ・経緯
制度の整備とあわせて職員への周知に注力

 当法人は入所100床の介護老人保健施設、定員40名のデイケア、入院19床のクリニック及び居宅介護支援事業所を運営しています。以前から職員の大半が女性であることから、女性が働き続けやすい職場であることはとても重要なことでした。また、当法人の働き方の方針として「家庭第一」を掲げており、職員がワーク・ライフ・バランスの取れた状態で働き続けられる職場環境を整える必要があると考えてきました。
 仕事と介護の両立支援の取組については、今から十数年前、就業規則等の見直し、整備を進める中で、両立支援制度につ いても整備を進めました。規則類の見直しを進めるにあたって、県や労働局が主催するセミナーや研修会にできる限り参加し、働きやすい職場づくりに関する情報を収集するとともに、法改正の動向も踏まえ、どこよりも早く法改正に対応した制度を整備すべく、関連制度を整備していきました。制度の整備と並行して、職員への周知にも注力しました。それまで、就業規則や休暇制度について十分に理解していない職員も多かったため、改めて就業規則について周知したほか、育児や介護との両立において利用できる制度についても説明しました。職員は365日24時間、さまざまなシフトで勤務しているため、全職員が参加できるよう、説明会を3回に分けて実施し、規則類も全員に配布しました。その後も法改正に合わせて制度の見直しを行う都度、全体会議等で職員に周知しています。
 以前は育児中の職員が多く、職員が利用する制度も育児関連のものがほとんどでしたが、月日の経過とともに、職員の平均年齢も上昇傾向にあり、最近は介護に関する問い合わせが増えつつあります。

具体的な制度の内容
短時間勤務又は短日数勤務を選択可能

 当法人で導入している仕事と介護・育児の両立支援制度は、基本的に法定通りとしていますが、介護休暇については、対象家族1名につき5日間、有給で、半日単位で取得可能としています。子の看護休暇についても同様に、有給としています。このほか、介護短時間勤務制度は、1日の就業時間を2時間まで短縮する短時間勤務(勤務日数は月20日)に加え、1日の就業時間は通常通り8時間とし、勤務日数を月15日とする形態も選択可能としています。これは、特に在宅で介護をしているような場合に、 就業時間を短縮するより日数を減らして欲しい、というニーズがあったことから、制度として導入しました。制度の利用状況としては、介護休暇の利用が最も多く、毎年3名程度が利用しています。介護短時間勤務についても、勤務日数を減らす形で1名が利用しています。現時点で、介護休業の取得実績はありません。
 このほか、職員の家庭の状況等により勤務時間や勤務日数を調整したい場合には、短時間勤務(勤務日数の短縮)制度を利用できないような時であっても、一時的にパートタイム勤務に切り替えることも可能です。状況が変わったらいつでもフルタイム勤務に戻すことが可能です。家庭の状況等に応じて、勤務形態を柔軟に変えられるようにすることで、職員が長く働き続けられるような仕組みを整えています。

取組を進める上での工夫や配慮等
自分の状況を周囲に理解してもらうことで互いに協力し合える職場環境づくり

 仕事と育児、介護を両立している職員が多い職場であるため、同じ職場で育児休業が重なってしまったり、ご家庭の事情で職員の欠勤が多くなるような場合には、できる限り人員補充を行うようにしていますが、難しい場合には、職場内で補う必要が生じます。サポートに回る周囲の職員が、休みをとる職員の状況を理解し、快くサポートできるよう、本人にはできる限り周囲の職員に自身の状況を自ら伝え、理解してもらうとともに、サポートしてくれることを当たり前のことと思わずに、感謝の気持ちを意識するよう、伝えています。本人が直接伝えることで、 相手への理解も深まると考えています。それぞれが互いの状況を理解し、「お互い様」という気持ちを持つことによって、互いに協力し合える職場環境を作っていくことが大切であると考えています。

取組による効果等
くるみん認定等により求人の面で効果

 仕事と家庭の両立の取組を進め、くるみん認定を取得したことにより、両立支援の取組が進んでいる法人として、地域の高校に呼んでいただいたり、AICHIWISH認定(愛知労働局による働き方改革に積極的に取り組んだ企業の認定制度)の取得につながったり、ハローワークのイベント等に呼んでいただく機会が増えました。求人票にもくるみんマークを掲載することができるため、求人の面で一定の効果が生じていると考えています。
 また、両立支援制度を整備するとともに、 上長及び法人本部が相談窓口となって、職員の働き方について相談に乗ったりアドバイスしたりすることにより、職員が介護や育児を理由に離職することなく、ライフスタイルに合った働き方を選んで継続就業ができるようになっていると感じています。

今後の課題・展望
職員一人ひとりに寄り添って

 現在、仕事と介護の両立のために必要な制度は導入していると考えているため、制度の拡充は予定していませんが、介護はケースバイケースであるため、都度、相談に乗りながら、個別に対応していきたいと考えています。これからも、職員一人ひとりに寄り添い、それぞれがよりよい働き方ができるよう、考えていきたいと思います。

制度利用者の声

困った時には周囲の力を借りて乗り切ることが大切です

突然の介護に動揺してしまいましたが、相談に乗ってくれました

 2年ほど前に、突然父が倒れ、入院しました。その後、リハビリを経て、今は在宅で介護をしています。父が入院した時には、あまりに突然だったこともあり、動転してしまい、離職を申し出ましたが、まずは体制を整えるために介護休暇を取得することや、その後の働き方について、法人本部の方をはじめ、いろいろな方が相談に乗って下さったり、アドバイスを下さっ たりしたことで、離職せずに、仕事と介護を両立させて働き続けることができています。父の入院中は、夜勤や遅番を免除してもらい、日中にフルタイムで勤務していましたが、今は在宅で父の介護をしているため、月15日の短日数で勤務をしています。勤務日の15日間はデイサービスを利用しています。また、父が退院する直前には、介護の体制を整えるため、介護休暇を利用しました。

何もかも自分で抱え込まず、周囲の力を借りることも大切

 介護のことについて、これまで何も知らなかったため、周りの方からのアドバイスはとてもありがたかったです。職場の方や訪問看護の方から、いろいろ教えていただきました。ただ、最終的に自分たちが何を使えるのか、どのような申請が必要なのか、ということは役所の窓口に聞かないとわからないことも多いため、都度窓口に行って確認することも多々あります。また、介護保険制度を利用するために必要となる書類もとても多いため、仕事と介護の両立はなかなか大変です。
 介護がスタートした時は、何でも自分でやらなくては、と意気込んでいましたが、仕事と介護とで毎日がいっぱいになってしまい、次第にきつくなってきてしまいました。そのような時に、周囲の方々にサポートしていただき、周囲の方の力はとても大きく感じました。今は、少し費用が掛かってもサービスを利用し、自分の時間も少し確保することで、無理しすぎてしまうことのないように気を付けています。困った時には、自分で抱え込んでしまわずに、周囲の力を借りて乗り切ることが大切だと感じています。

(データの取材時点:2019年11月)

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