女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2019年度

社会福祉法人ならやま会 (医療、福祉)

時間単位で取得可能な介護休暇により、効率的に休暇を取得し、仕事と介護の両立を実現

認定マーク

企業プロフィール

設立
1992年
本社所在地
奈良県奈良市
事業内容
障がい者支援、児童支援、高齢者支援
従業員数
328人(うち女性214人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援

特徴的な制度・取組など

  • 介護休暇及び子の看護休暇は有給とし、時間単位で取得可能。
  • 年次有給休暇も時間単位で取得可能とするとともに、誰もが休暇を取得しやすい職場環境づくりに注力。
  • 多様な就業時間、就業形態にあわせて勤務時間帯や勤務日数等について柔軟に対応。

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インタビュー

  • 本部
    雇用管理責任者
    参事
    堀 巴美 さん

取組のきっかけ・経緯
多様な就業時間・就業形態で勤務する職員が働き続けやすい職場づくり

 当法人は、在宅で生活されている障がいのある方とそのご家族を支援することを目的として1992年に設立しました。当初は、知的障害のある方の通所施設からスタートしましたが、現在では、施設入所支援、生活介護、短期入所、日中一時支援、重度訪問介護、行動援護、移動支援、相談支援、共同生活援助、児童発達支援、放課後等デイサービス、特別養護老人ホーム、短期入所生活介護、居宅介護支援と複数の事業を行っています。 多様な事業を行っていることから、勤務時間帯もさまざまであり、夜勤もあるシフト制の部署や、利用者の方々が通所されてくる10時から15時までの時間帯を中心とした部署など、多様な形態があります。このように正職員の勤務時間帯は多様ですが、パートタイム職員についても、勤務時間帯や勤務日数等について、個人の事情に応じて個別に対応しています。さらに、さまざまな就業形態で勤務している職員が働き続けられるよう、仕事と家庭の両立支援にも取り組んできました。
 2011年に当法人の両立支援制度を体系的に整理したパンフレットを作成し、全職員に配布し、説明を行いました。当時は仕事と育児を両立している職員が多かったことから、子育て支援を中心に、制度の拡充に取り組み、子の看護休暇、育児短時間勤務等は中学校就学前まで利用可能とするなど、法定を上回る内容で整備してきました。仕事と介護の両立支援については、両立支援制度の周知を行う中で、最近ようやく職員にも認知されるようになり、制度利用者も増えつつあります。特に障害のある家族の介護については、ニーズも多いため、柔軟な運用を行っています。

具体的な制度の内容
年次有給休暇及び介護休暇制度は時間単位で取得可能

 当法人では、介護休業及び介護短時間勤務制度は法定通りとしています。現時点で介護短時間勤務制度の利用者はいませんが、介護休業については、2018年度に1名が利用しています。介護休暇については、有給としており、時間単位で取得可能です。子の看護休暇も同様に有給としており、時間単位で取得可能です。年次有給休暇についても、 時間単位で取得可能としています。介護休暇及び年次有給休暇が時間単位で取得可能であるため、就業時間の中で一部中抜けしたり、他の休暇制度と組み合わせて取得するなど、それぞれが工夫して効率的に仕事と休暇を組み合わせて運用しています。介護休暇の利用者は多く、2018年度には10名が利用しています。

取組を進める上での工夫や配慮等
誰もが休暇を取りやすい職場環境づくりを推進

 当法人では年次有給休暇は計画取得を基本としていることから、取得率は70%程度となっており、休みを取りやすい職場環境となっています。さらに、2018年度には全職員を対象に、ワーク・ライフ・バランス研修を実施し、いろいろな職員の休暇をお互いにサポートする、 という考え方を学んだことから、職員の休暇については、互いにサポートしあう関係が構築されています。職員同士の信頼関係も構築されているように思います。これらの取組により、誰もが休みやすく、また、誰かが休んでいる時には、お互い様、という気持ちで互いにサポートできるような環境づくりを進めてきました。

取組による効果等
職員の継続就業を実現、採用面にも効果

 職員が抱えるそれぞれの事情を踏まえた働き方をできる限り認め、柔軟な運用を行ってきたことで、職員が長く働き続けることができています。一般的な職場では働くことを諦めてしまうような状況であっても、休暇や中抜け等をうまく組み合わせることにより、働き続けられる環境となっています。多くの職員が仕事と家庭を両立していますし、 パートタイム職員から正職員になり、管理職として活躍している職員もいます。職員の採用においても、当法人が家庭と仕事の両立支援に力を入れていることで、安定した採用実績を維持できています。応募者にとっては、育児、介護と仕事の両立ができるかどうかは、職場選択の上で、とても重要なこととなります。

今後の課題・展望
制度へのニーズを分析し、今後の施策につなげたい

 当法人では、それぞれの職員の事情に合わせて、両立支援制度の拡充をしており、2019年度からは、子の看護休暇は子が中学校就学前まで利用可能としました。両立支援関連制度はある程度整備されたため、ここで今一度、現在の制度をどのように利用しているのか実績を調べる必要があるのではないかと考えています。 例えば、子の看護休暇と介護休暇は有給のため、利用者は多いですが、それ以外の無給の休暇については、利用者がほとんどいません。このように実績を調べると、どういう状況の場合に、どのようなニーズがあるのかを知ることができるのではないかと考えています。その結果を踏まえて、今後の方向性について検討していきたいと思います。

制度利用者の声制度利用者の声画像

介護休暇により、丸一日、父の通院に付き添うことができています

生活介護事業
わかくさ園
荒木 舞子さん

介護休暇が有給であるため、安心して利用できます

 私は約14年前にパートタイム職員として当法人で働き始めました。その後、育児等の事情により何度か勤務を中断してきましたが、復職し、2年前から正職員として勤務しています。近年、私の父と義理の父が、介護が必要な状況となってしまい、仕事と介護の両立をしています。父は2か月に1回の頻度で病院に通院しなくてはならず、付き添いが必要であるため、 通院の際は介護休暇を取得して付き添いをしています。私は育児中でもあるため、年次有給休暇は子どもの行事などに充てることが多いので、介護休暇があることで、とても助かっています。しかも有給であるため、収入面を気にせず、安心して利用することができます。
 介護休暇は時間単位で取得可能ですが、父の通院には1日かかるため、私は1日単位で取得しています。何よりも、丸一日父と一緒にいることで、父との会話が増え、私も父とゆっくり話すことができますし、父にとっても良い効果が現れています。この介護休暇があることで、正職員として継続就業ができると感じています。

(データの取材時点:2019年7月)

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