女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2019年度

中部安全サービス保障株式会社 (サービス業(他に分類されないもの))

多様な従業員のニーズに応え、できるだけ働き続けてもらえるよう、
柔軟な勤務が可能な短時間社員制度を導入

認定マーク

企業プロフィール

設立
1986年
本社所在地
愛知県弥富市
事業内容
サービス業(警備業、公共施設等の業務委託、施設管理制度の受託、労働者派遣事業)
従業員数
388人(うち女性44人)
企業認定・表彰等
くるみん認定

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援再雇用制度短時間正社員制度

特徴的な制度・取組など

  • 介護や孫の育児・看護等の従業員のさまざまなニーズを踏まえ、柔軟な働き方を可能とする短時間社員制度を導入。
  • 介護等で離職してしまっても、復職可能な再雇用制度により従業員の安心感を醸成。
  • 従業員がさまざまな悩みや相談を打ち明ける場として、総合相談窓口を設置するとともに、年2回面談を実施。

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インタビュー

  • 代表取締役社長
    上田 麗子 さん(右)

    総務
    梶浦 智子 さん(左)

取組のきっかけ・経緯
従業員の年齢層に応じた両立支援策が不可欠

 当社はセキュリティのプロとして、施設警備、雑踏警備、交通誘導など、多岐にわたる警備サービスを展開しています。警備業の業界では、特に交通誘導警備業務を中心として、他社で60歳定年や65歳継続雇用制度の満了を迎えた方が再就職先として応募してくるケースが多く、当社でも設立当初からその傾向があります。特に近年では、60歳はもとより、 65歳を迎えた方でも健康で体力もあり、働く意欲も高い方が多くなってきたことから、12年ほど前に定年を60歳から70歳へと変更し、健康でかつ、高い就労意欲を持つ高齢者を積極的に採用してきました。現在では70歳以上の雇用にも力を入れており、勤務日数の少ない働き方や、1日の労働時間が短い働き方も選択可能で、80歳まで雇用延長が可能です。
 従業員の年齢が上がると、そのご両親やお身内等で介護が必要となることも増えてくることから、従業員の仕事と介護の両立支援や従業員自身の健康に対する取組が企業として不可欠になります。このため、当社では以前からこれらの取組に注力してきました。
 仕事と介護の両立支援については、まずは従業員の現状を把握するため、2016年度に実態把握のためのアンケートを行いました。その結果を受けて、労使で制度の見直し等の話し合いの機会を設けるため、毎月、安全衛生委員会の終了後に職場(勤務)環境改善委員会を開催し、役員や産業医も参加の下、両立支援制度について話し合いを行いました。そして、アンケート結果を踏まえ、①相談窓口の設置、②短時間社員制度の導入、③情報提供の3つに取り組むこととしました。

具体的な制度の内容
従業員の多様なニーズに対応できる短時間社員制度を導入

 当社では以前から、育児・介護休業法に基づく育児・介護関連制度を導入していましたが、アンケートの結果から、法定対象外の方の介護等にも利用できるような制度が望まれていることがわかりました。このため、育児・介護休業法に基づく短時間勤務制度とは別に、短時間社員制度を2018年に導入しました。これは、同居する子の看護・育児又は同居する家族の介護(育児・介護短時間勤務が適用されない場合のみ)、私傷病、その他会社が認める場合に、短時間勤務を1か月以上1年未満の期間で認める制度です。1日の所定労働時間を短縮する形と、所定労働日数を 少なくする形及び両方を併用する形から選択可能です。親族の介護やお子さんがご出産の際の一時的なサポート等の目的で利用されており、導入から今までに4名が利用しています。また、積立有給休暇制度を導入しており、失効する年休を年間10日間まで、最大20日間まで積み立て可能としており、介護による休業が93日を上回る場合や子の看護及び私傷病で連続して30日以上の休暇が必要な場合等に利用可能です。
 介護に直面すると多くの従業員は悲観的になってしまい、両立支援制度の説明をしても、退職を選んでしまうケースもあります。しかし、少し時間が経過して落ち着いてみると、働き続ければ良かった、という声を多く聞いたことから、2018年に再雇用制度を導入しました。結婚、配偶者の転勤、妊娠・出産、育児、介護及び私傷病により退職した場合に適用されます。
 また、当社には孫がいる従業員が多いことから、看護休暇は、中学校卒業前の子又は孫の看護に利用可能としています。さらに、看護休暇が不足してしまった場合には、孫休暇として必要な日数を別途付与しています。子どもの学校行事等に利用可能な育児目的休暇(必要な日数を付与、上限はなし)も、孫も対象としています。
 このほかに、従業員が介護や育児をはじめとするさまざまなことを相談できる窓口として、総合相談窓口を設置するとともに、半年に1回は上長との個人面談の機会を設けています。面談では、従業員からの相談や提案を傾聴し、従業員本人の健康状態やご家族の状況、働き方や職場に対する要望などをくみ取ることで、従業員とのコミュニケーションを図っています。

取組を進める上での工夫や配慮等
従業員の希望をシフトに反映させるため勤務希望一覧表を作成

 当社は警備サービスという業務柄、勤務時間帯は24時間にわたります。このため、仕事と介護や育児を両立したいと考える従業員が、希望する時間帯で勤務することが可能です。例えば、日中はご家族の介護のためできるだけ家にいて、夜間に勤務を希望するケースや、早朝の勤務等も可能です。また、当社では先述の通り、多くの休暇制度があり、 さらに年休も計画的付与制度を導入しており、年休取得率は約8割となっています。従業員の勤務時間帯や休暇取得の希望に対応するため、シフトを組む際には従業員の希望を反映した「勤務希望一覧表」を作成する等の工夫をしていますが、従業員同士も互いに配慮し、調整を図っています。

取組による効果等
従業員の安心感と継続勤務につながる

 従業員の希望にできるだけ沿えるような勤務形態を整備したり、相談窓口の設置や個人面談の機会を設けてコミュニケーションを取ることで、従業員は、どのような状況であっても会社が受け入れてくれる、という安心感を抱いてくれていると感じています。また、介護については、従業員の多くが「介護があるから仕事を辞めるしかない」と思い詰めて話しに来ますが、 両立支援制度や、制度を利用して両立している従業員の話をすることにより、少し落ち着いて両立について考えられるようになります。制度を利用して継続就業につながったり、一度退職されても再び職場に戻ってくる従業員が多数いることが、取組による成果であると考えています。

今後の課題・展望
どのような相談でも話しやすい環境づくりに注力

 従業員の中には、在宅勤務を希望される方もいますが、警備業という業種柄、セキュリティ等の問題もあり、現時点で在宅勤務ができる業務はありません。今後、実現可能性も含めて検討していきたいと考えています。
 また、仕事と介護の両立については、抱えている悩みや相談したいことはさまざまであり、どのような相談でも安心してできるような環境を整備 することが重要であると考えています。従業員が離職せずに働き続けられることが何より大切であると考えているため、まずは相談してもらい、話を聞いて、できるだけ働き続けられるような環境づくりにこれからも注力していきます。

制度利用者の声

ケース1
短時間社員制度により週4勤務で介護と両立しました

 私は当社に入社後、パーキングメーターの管理業務や放置車両の駐車監視等に従事しています。数年前、40代の長男が脳梗塞により入院し、退院後は週3回のリハビリが必要となり、リハビリ施設への送迎が必要となりました。それまでは5勤2休のフルタイム勤務をしていましたが、週3日休むことは難しいと思い、働き続けることはできないと考えて、 総務に相談したところ、短時間社員制度を紹介してもらい、週4日勤務ができることがわかりました。このため、約9か月間、短時間社員制度を利用して長男の介護と仕事を両立することができました。制度を知るまでは、辞めなくてはならないと思っていましたが、制度により、仕事を続けることができて、本当にありがたく思っています。
 両立支援の制度については、当事者になって初めて知る人がほとんどだと思いますが、もう少し日頃から関心を持って知るようにすると良いと感じました。

ケース2
事情に配慮していただき、1か月間、4時間勤務をしました

 私は総務部門でフルタイム勤務をしています。持病のある娘が里帰り出産することになり、産前から産後の約1か月間、短時間社員制度により短時間勤務をしました。娘の看護や新生児のケアをするため、午前中のみ勤務させて欲しいと考え、毎日午後は休暇を取得しようと思って上司に相談したところ、当社の短時間社員制度では勤務時間は5~8時間と規定していますが、 事情を考慮していただき、特別に午前8時~12時までの4時間勤務での勤務を認めて下さいました。
 総務の業務では、毎日その日のうちにやらなければ周囲に迷惑がかかってしまう業務がありますが、短時間社員制度により、休暇を取得することなく毎日勤務することができて、本当に良かったと思っています。
 最近では、育児休業を取得する男性も増えており、福利厚生について認知度は上がりつつありますが、介護関連制度についても、多くの従業員が知っていれば、制度利用への理解ももっと深まると思うので、より多くの従業員に知って頂きたいです。

(データの取材時点:2020年1月)

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