女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2019年度

JFEエンジニアリング株式会社 (建設業)

従業員アンケートの結果から、仕事と介護の両立においてニーズの高い項目について対応していきました

認定マーク

企業プロフィール ※2019年4月1日現在

設立
2003年
本社所在地
神奈川県横浜市
事業内容
建設業(プラント、インフラのEPC(設計/調達/建設)、製造及びオペレーション・メンテナンス事業)
従業員数
3,847人(うち女性507人)
企業認定・表彰等
くるみん認定

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援テレワークフレックスタイム制

特徴的な制度・取組など

  • 多様な勤務の状況を想定した1年間のトライアルを経て、就業管理や運用ルールを細かく定めた上で在宅勤務制度を導入。
  • 毎年5日、最大60日積立可能な失効年休の積立制度により、介護と仕事の両立に必要な休暇を有給で取得可能。
  • 介護サービスを受けるための手続きや必要書類、社内手続き等を詳細にまとめた「介護の手引き」を作成・配布。

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インタビュー

  • 人事部
    人事企画室 経営スタッフ
    堂本 明希 さん(左)

    人事部
    人事企画室 兼
    ダイバーシティ推進室
    市川 雄太郎 さん(右)

取組のきっかけ・経緯
労働組合と連携して両立支援の取組に着手

 当社はエネルギー関連分野、環境関連分野、インフラ等の幅広い分野において、EPC(設計/調達/建設)、製造、オペレーション・メンテナンスを行うエンジニアリング会社であり、従業員の約半数が建設現場に出張し、工事に携わっています。当社は従業員の平均年齢が43歳と比較的高く、介護を担う可能性が高い40歳以上の従業員が全体の6割を超えてきたことから、介護離職を予防するため、2016年度から労働組合と連携しながら、 仕事と介護の両立支援の取組に着手することにしました。
 まずは、従業員に介護について知ってもらうため、介護保険制度の内容やサービス利用の手続き、当社の介護支援制度や相談窓口等についてまとめた「介護の手引き」を作成しました。作成にあたっては、地域包括支援センターを訪問して取材を行い、介護サービスを受けるための手順や必要書類、社内手続き等を詳細にまとめて示しました。冊子は希望者に配布するとともに介護セミナーでも配布し、イントラネットにも掲載しています。また、当社の従業員における介護の実態を把握するため、2016年7月に全従業員を対象として、任意の介護アンケートを行いました。すると、通常の任意アンケートであれば回答率は4割程度ですが、介護アンケートは64%の従業員から回答があり、回答者の約半数は自由回答欄への記入もあり、従業員の介護への関心の高さがうかがえました。また、介護経験者は300名弱おり、今後5年のうちに介護に関わる可能性があるとの回答は76%にも上り、仕事と介護の両立支援の取組が急務であることがわかりました。そして、アンケートの回答においてニーズの高かった、両立支援制度の拡充、両立しやすい社内環境の整備、専門家からのサポートの3点について、重点的に取り組むこととしました。

文中補足写真 介護の手引き

具体的な制度の内容
制度の拡充、社内環境の整備、専門家からのサポートに注力

 制度の拡充にあたり、まずはアンケートにおいて最もニーズの高かった、在宅勤務制度の導入について検討しました。当社には現場に出ていたり工場勤務をしていたりする従業員も多いことから、在宅勤務の導入については慎重に、さまざまな業務内容、業務形態の従業員を対象に、1年間のトライアルを実施し、2017年度から導入しました。当社の在宅勤務制度は、介護、育児、傷病等の場合に利用可能で、介護については対象家族1名につき、所定就業時間の短縮制度の利用と通算で5年まで利用可能です。育児の場合は子が小学校就学まで利用可能です。フレックスタイムでの勤務とし、予め1か月の勤務計画表を提出した上で、毎日始終業をメールで連絡することで勤怠管理を行っています。また、中抜けは1日4時間までとしています。制度導入以来6名が介護理由で利用しています。なお、当社では一部の工場勤務等を除いた全従業員がフレックスタイム制となっています。コアタイムはなく、1日3時間以上勤務することとし、月単位で清算しています。
 また、当社では失効年休を毎年5日まで、最大60日積立可能な積立休暇制度があり、介護及び育児理由の場合は半日単位で利用可能です。介護理由での利用は年々増加傾向にあり、2018年度は男性16名、女性4名が延べ日数で120日相当を取得しました。そのほかに、介護休暇制度は1年あたり10日取得可能ですが、こちらは無給のため、利用実績はわずかです。
 次に、両立しやすい社内環境の整備のため、介護セミナーの開催回数を増やしました。2016年度は1回のみの開催でしたが、2017年度からは年に4回開催し、そのうちの2回は全国の拠点で開催しています。外部講師を招聘し、希望者が参加する形式で開催しており、仕事と介護の両立をするためのノウハウや介護保険制度の仕組み等の情報提供を行っています。毎回30~40名程度の参加があります。2018年度までは介護の基礎編の情報提供を主としていましたが、2019年度からは4回のうちの2回を認知症への対応をテーマとしており、より実践的な内容で開催しています。
 専門家からのサポートについては、外部の専門会社と契約し、介護相談窓口「わかる介護BIZ」を2017年4月に開設しました。これは、ウェブサイトで全国の介護情報を提供したり、相談窓口からオンライン相談ができるほか、介護コンシェルジュサービスとして、電話やメールにより、ケアマネジャーの手配や介護施設の紹介、施設見学の手配等を行うものです。当社には実家が遠方にある従業員も多いことから、遠方の家族の介護において、施設の手配やケアマネジャーの手配などが行えるサービスは非常に便利との声が聞かれています。そのほかに、従業員が介護に限らず何でも相談できる「ワークライフ相談室」を2017年8月に開設しました。こちらも外部のカウンセラーと提携しており、メール、電話、対面のいずれかの方法を選択可能で、キャリアの問題や家族の問題等、何でも気楽に相談できる窓口となっています。

取組を進める上での工夫や配慮等
在宅勤務制度の導入はトライアルを通じて慎重に検討

 当社では、現場や工場で勤務する従業員も多いことから、在宅勤務制度の導入にあたっては、業務をどのように調整し、管理するのか、業務に支障は出ないか等の不安がありました。このため、職務内容や職位、在宅勤務の必要な頻度等が異なる13名の従業員が在宅勤務のトライアルを行い、事前にどのような調整が必要となるか、 周囲がどのようにサポートを行う必要があるか等を1年間かけて検証しました。この結果、就業管理上のルールとして、業務開始時・終了時に上司に報告することや、事情に応じた柔軟な勤務時間を可能としつつ深夜休日の勤務は原則不可とする等を定めたほか、職務を調整した場合には変更内容に応じた処遇を再設定することや出社頻度、業務調整の頻度も定める等、細かい要件や運用ルールを予め提示することができました。これにより、現場に大きな混乱を生じることなく在宅勤務制度を導入することができました。

取組による効果等
介護のことを言い出しやすい社内環境が醸成

介護セミナーや介護の手引き等を通じて、多くの従業員が当社の仕事と介護の両立支援の取組について認識してきたことにより、従業員が介護のことを口にしやすくなってきたことが、大きな効果であると感じています。それまでは、自分が介護をしていることをあまり表には出さずにいる人が多かったと思いますが、誰もが携わる可能性のあるテーマであることが 認識されるようになり、上司への相談もしやすくなってきていると考えています。制度利用者も年々増えてきており、制度への認知度が高まったことと、制度が利用しやすい環境が整ってきたことの結果であると考えています。介護が始まった時に、介護離職を選ぶのではなく、両立支援制度を利用して継続就業を考えるようになっていることが、取組の効果であると思います。

今後の課題・展望
より効率的な働き方を推進するためテレワーク制度を導入

 現在、在宅勤務制度は育児や介護等、特定の事由がある場合にのみ利用できるようになっていますが、働き方の柔軟性を高め、より効率的な働き方をすることを目的に、全従業員を対象に、テレワーク制度の導入を進めています。サテライトオフィスやシェアオフィスを設置することにより、出先からオフィスに戻ることなく、 最寄りの拠点で業務を終えることが可能となります。
 また、介護の情報やサービスについては、従業員のみならず、従業員のご家族にも知ってもらい、利用してもらえるよう、介護セミナーを休日に開催する等、ご家族への周知広報についても取組を進める予定です。

(データの取材時点:2019年11月)

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