女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2019年度

花王株式会社 (製造業)

従業員の仕事と介護の両立における実態を把握・分析したうえで必要な支援を行っています

認定マーク

企業プロフィール

設立
1940年
所在地
東京都中央区
事業内容
製造業(コンシューマープロダクツ事業製品、ケミカル事業製品の製造、販売等)
従業員数
7,655人(うち女性1,824人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定、均等・両立推進企業表彰、イクメン企業アワード、令和2年度なでしこ銘柄、ダイバーシティ経営企業100選 / 新・ダイバーシティ経営企業100選

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援フレックスタイム制

特徴的な制度・取組など

  • 仕事と介護を両立する従業員へのアンケートとヒアリングの実施により、介護の実態を的確に把握、分析したうえで必要な施策を検討。
  • 介護を行う従業員の「時間的負担」「心理的負担」「経済的負担」に応じた取組を実施。
  • 介護は誰にでも起こり得ることを共通認識とし、介護を隠さなくてよい職場風土の醸成に注力。

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インタビュー

  • 人材開発部門
    D&I推進部長
    座間 美都子 さん

取組のきっかけ・経緯
従業員の多様性を尊重し、個の力を最大限に活かすために必要な施策を検討

 当社グループの企業理念(花王ウェイ)において、行動原則の一つに「個の尊重とチームワーク」を掲げています。具体的には、「ダイバーシティ(多様性)から生まれる活力が事業の発展を支えるとの認識に立ち、文化、国籍、信条、人種、性別などの多様性を尊重する」ということです。これを拠り所として、個の力を最大限に活かし、企業の総合力を高めていくことを目指しています。個の力を最大限に活かすうえで、能力、意欲以外の阻害要因があればできるだけ取り除くことで、多様な従業員の意向を受け止めながら、お互い様という意識を醸成し、 個人の活躍と会社の成長をともに実現したいと考えています。介護についても多様性の一つととらえ、両立支援の取組を進めています。
 当社では、1990年代には女性の活躍推進の取組の中で仕事と育児・介護の両立支援制度を整備しており、当時から介護休業は1年間取得可能でした。介護を担う従業員の割合を推計した結果、2008年の時点で8%超、10年後には2倍の17%近くになり、6人に1人の割合となる予測となりました。また、介護については潜在的な不安感が強い一方で、仕事と介護の両立に関する実態が見えにくいこともあり、2009年に実際に介護に携わっている従業員を対象とした実態調査を行いました。具体的には、当社の共済会における介護見舞金を申請した従業員を対象に、アンケートとヒアリングを行いました。その実態調査から多くの気付きを得ることができましたが、何より第一に、介護は育児と比較して介護対象者の状況が非常に多様であり、一律の支援制度で対応することは難しいことがわかりました。また、介護の期間は8割以上が1年以上かかることや介護の負担には時間的、心理的、経済的なものがあり、中でも心理的な負担が最も多く、重いこと等がわかりました。これらの調査結果を踏まえて、当社としてどのように支援をしていくのか、検討を重ねていきました。

具体的な制度の内容
介護をする当事者の「時間的負担」 「心理的負担」 「経済的負担」に対して支援

 介護支援の方針として、介護をする当事者が主体的に対応すること(自助努力)を基本としています。しかしながら、介護の負担は重く、仕事との両立に支障をきたすことがあるため、従業員が仕事と介護を両立し、業務において能力を発揮できるよう、会社は必要な支援を行うとともに、周囲が介護責任を負う従業員の事情を理解し、「お互い様意識」を持って支援できるよう、 環境整備に努めています。
 介護における「時間的負担」への対応として、休暇、休職制度や柔軟な働き方を可能とする制度を整備しています。看護・介護休暇は1年間に5日まで、時間単位で取得可能です。また、家族の看護や介護の事由が発生した際に利用できる特別休暇として、看護・介護特別休暇を年間最大40日まで、1日、半日、時間単位での取得が可能です。看護・介護休職は最長1年間、3回までの分割取得が可能です。短時間・時差勤務(1日当たり2時間までの所定就業時間の短縮、もしくは所定就業時間の開始・終了時刻の変更が可能)及びフレキシブル勤務(週3日の勤務もしくは週5日の半日勤務が可能)はあわせて最長3年間、最大2回までの分割取得が可能です。さらに、看護・介護上の理由で上司の承認のもと、在宅勤務を認めているほか、全従業員が利用できる制度として、フレックスタイム制(コアタイムはなし)、時間単位休暇(年間5日分を上限に年次有給休暇を時間単位で取得可能)を導入しています。
 「心理的負担」への対応として、「介護ハンドブック」の作成、ニュースレターによる情報発信、階層別の研修や社内介護セミナーの開催などによる組織風土啓発のほか、従業員からの相談に適切に対応できるよう、各事業場の人事担当者向けのマニュアルも作成・共有しています。 さらに、「経済的負担」への対応として、共済会から介護費用の金銭的支援(見舞金・各種補助金等)、介護支援団体との提携、社外介護セミナーへの参加費補助等を行っています。

取組を進める上での工夫や配慮等
介護は誰にでも起こり得ることを共通認識に

 介護はすべての従業員に起こりうる問題ですが、まだ起こっていない事象を意識することは難しいため、備えの意識を醸成するための取組として、啓発活動を継続的に行っています。
 介護セミナーは2010年から2018年の間に計33回開催し、延べ2,500人が受講しています。全国の事業場で、各事業場の地域性や年齢構成も踏まえて企画を検討し、外部講師を招いて開催しています。
 また、介護は誰にも起こりえるということを共通認識とし、介護を隠さなくてよい「お互い様」の職場風土の醸成に努めることとあわせ、ハラスメント防止対策の一環として「ケアハラ」防止についても注意喚起しています。
 今後も上記の取組を継続しつつ、介護保険制度の対象となる40歳以上の従業員への情報発信を実施し、従業員への情報伝達を強化していく予定です。

取組による効果等
介護に関する従業員の不安は大幅に減少

 介護を理由とする離職者はゼロではないですが、介護を担う従業員が増加している一方で、離職者は増加していないことから、取組は一定の効果が出ていると感じています。また、従業員から、介護支援強化の要望はほとんど寄せられていないことから、取組を進めてきたことが従業員の安心につながっているのではないかと考えています。介護セミナー後のアンケートでも、制度のおかげで継続就業し、仕事と介護の両立ができているという感想が寄せられています。

今後の課題・展望
制度を利用しやすい社内環境づくりへ、取組に終わりはない

 両立支援制度については、拡充を図ってきたため、現状の制度である程度のニーズは満たしていると考えていますが、今後も必要に応じて、適宜見直しを行っていきたいと考えています。しかし、むしろ現状の制度を知り、利用しやすい環境づくりが重要であると考えています。働き方の見直しの観点から、自分がいなくても他の者に任せられるような「仕事の見える化」や「働く時間と場所の柔軟性の向上」等の工夫をしていくことも大切だと思います。取組を進めれば進めるほど、継続して取り組むことの必要性を強く感じています。

(データの取材時点:2019年9月)

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