女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2019年度

モリタグループ (製造業)

ライフイベントがキャリア形成の妨げとならないよう、評価制度や昇格要件を見直しました

認定マーク

企業プロフィール

設立
1932(創業1907)年
本社所在地
大阪府大阪市
事業内容
製造業(消防車、消火設備、産業機械、環境車両の開発製造販売等)
従業員数
1,750人(うち女性298人)
企業認定・表彰等
えるぼし(認定段階2)

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援女性活躍推進女性採用拡大女性職域拡大女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 採用拡大の取組とあわせて、これまで女性がいなかった部署にも、受け入れ環境が整っているところから積極的に配属。
  • 産前産後休業や育児休業等がキャリア形成の妨げにならないよう、評価制度や昇格要件を見直し。

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インタビュー

  • 総務・人財開発本部
    人事部 人財開発課長 兼
    ダイバーシティ推進室
    東尾 薫 さん

取組のきっかけ・経緯
企業の持続的な発展のためダイバーシティ推進の取組に着手

 当社は消防車のトップメーカーであり、消防車輌事業、防災事業、産業機械事業、環境車輌事業の4つの事業を展開しています。いずれも国内ではトップシェアですが、国内市場は飽和状態であり、 今後も企業として更なる成長を続けていくためには、海外への展開や新規事業等、新しいチャレンジが必要です。しかしながら、以前当社の従業員構成は日本人男性が8割以上を占めており、団結力はありますが、新しい考えや視点が生まれにくい状況にありました。そこで、多様な価値観を尊重し、従業員各々が持つ能力を最大限に発揮させることを目的に、女性の活躍推進を含むダイバーシティ推進に取り組むこととしました。そして、2016年4月に人事部にダイバーシティ推進室を設置し、女性の活躍推進をダイバーシティ推進の第1ステップと位置付けて取組を開始しました。

具体的な制度の内容
採用拡大、人財育成、制度改革の 3 つの柱で取組を推進

 女性活躍推進の取組を進めるにあたり、当社の課題について検討したところ、採用者における女性比率が低いこと、女性従業員の配属に偏りがあり、総務や経理等のバックオフィス系には多い一方、営業、開発及び工場の組立加工等、女性の配属がない部署もあること、女性管理職が少ないことが挙げられました。このため、採用、人財育成及び制度改革の3つの柱で取組を進めることにしました。
 採用においては、年間採用者における女性比率を4割とすることを目標に掲げ、積極的に採用を行っています。取組を始めた2017年には目標には届きませんでしたが、当社で活躍する女性従業員に会社説明会で説明してもらったり、学校の進路指導のご担当者に当社の女性活躍の取組を説明する等の取組を進めた結果、2020年度の採用では目標を達成する見込みです。また、採用拡大とあわせて、採用した女性をこれまで女性の配属が少なかった部署に積極的に配属しました。配属にあたっては、予め当該部署長にヒアリングを行い、部署の中でも比較的受け入れ環境が整っているところに配属するとともに、全管理職に対して2016年、2017年にダイバーシティマネジメント研修を実施し、ダイバーシティの重要性と女性従業員育成のポイントを伝え、意識変革を促しました。今では営業、開発、工場の組立加工等、あらゆる部門において女性も活躍しており、女性がいない部門はありません。
 人財育成については、基幹職(係長、課長代理等の管理職手前のポジション)の女性従業員を対象に、選抜式の研修を実施しました。研修では、当社の女性活躍推進の目的や意義を説明し、自身のキャリアプランについて考えてもらった後、ロジカルシンキングやプレゼンテーション、論理的思考等のビジネススキルを習得する内容としています。
 制度改革では、女性従業員がキャリアを重ねて活躍する上で障壁となるものを変えていく目的で、2つの施策を導入しました。1つ目は「キャリア100制度」です。人事評価期間中に産前産後休業、育児休業、介護休業のいずれかを取得した従業員については、出社期間を100%として、その期間の成果を評価することとし、休暇取得が評価に影響を及ぼすことがないようにしました。あわせて、育児・介護休業取得者の昇格要件特別措置も導入しました。昇格要件において、これまでは直近2年間の評価が一定以上であることが必要であり、その期間中に育児・介護休業があった場合、昇格要件を満たさなくなっていましたが、特別措置により、評価期間中に育児・介護休業を取得した場合には、休業に入る前の直近の2回の年間評価を見ることとしました。また、昇格試験の対象者で直前まで育児・介護休業を取得している場合にも、試験の前に復帰を予定している場合には昇格試験の受験希望を確認することとしました。これにより、育児・介護休業の取得が本人のキャリア形成の妨げとならず、安心してモチベーション高く働けるようになりました。
 もう1つは時差出勤制度の導入です。仕事と育児を両立する従業員のために、子が小学校6年生修了時まで、始業時刻及び終業時刻を最大1時間、1回につき1か月以上1年以内において自由に変更することが可能な時差出勤制度を2016年9月に導入しています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
どの職場でも女性が活躍しているのが当たり前に

 取組開始前と比較すると、各職場において、女性に対するアンコンシャス・バイアスはなくなってきたと感じています。これは、管理職を対象に実施したダイバーシティマネジメント研修による効果と、これまで女性がいなかった職場に配属された女性が活躍する姿を見て、女性には難しいと思い込んでいたことが、実際には思い込みだったと気付いたことによります。 また、女性がいなかった職場に女性が配属された当初はかなり注目されていましたが、今ではどこの職場においても女性が活躍していることが当たり前のこととなってきたことも、取組の効果であると考えています。取組による効果は社内で大きく、モリタホールディングスがえるぼし認定(2段階)を取得した際には、グループ内の複数の会社から相次いで問合せがあり、社内において女性活躍の機運が高まっていることを感じます。
 また、会社説明会等で活躍している女性を紹介していることにより、当社が女性も活躍している企業であることが学生にも伝わり、女性の採用増にもつながっていると考えています。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
自社に必要な取組を取捨選択

 制度の改定にあたり、さまざまな先進企業の事例等を参考にしながら、当社に必要な施策を検討しました。先進事例の中には、育児支援を手厚くしているものも多くありましたが、当社においては、女性特有のライフイベントによって、キャリア形成に遅れが出てしまうことがネックであると考えたため、いかにしてその課題を解消するか、 という点に着目しました。さらに、今年度から育児休業取得者の面談制度を見直し、取得前後に計4回、上司および休業取得者と、人事部門担当者とが面談を行うこととしました。これによって、当社の女性のキャリア形成に対する考え方をしっかりと伝えるとともに、キャリアを一緒に考えていくという姿勢を示し、女性従業員が自らのキャリアを前向きに考える機会を提供しています。

今後の課題・展望
長期的視点で女性従業員を育成

 当社では女性従業員のキャリア形成に注力していますが、現時点では基幹職の女性従業員は少なく、管理職登用される女性従業員の母数が少ない状況です。近年積極的に採用してきた従業員の育成にはもう少し時間がかかります。このため、今後は女性管理職比率の向上を目指して、育成を目的としたローテーション等に力を入れていきたいと考えています。

女性従業員の声制度利用者の声画像

やりがいのある仕事を続けるため、新たな知識の習得に励んでいます

株式会社モリタホールディングス
グループ戦略本部
モリタATIセンター
Sラボ 係長
溝田 千尋さん

知識の幅を広げるため、勉強を続けています

 私は2008年に入社して以来、上野工場で消火薬剤の開発に従事しています。1年目はさまざまな案件に携わらせてもらい、2年目からは泡消火薬剤の開発業務を担当しています。2018年に子どもが生まれ、9か月間育児休業を取得して復職しました。私の所属する部署では、チームメンバーが少ないこともあり、できるだけ早く職場復帰しましたが、復帰後しばらくは子どもが体調を崩し、休むことが多く、迷惑をかけることもありました。

専門知識を深め、新たなことにも目を向けていきたい

 今は育児短時間勤務をしているため、短い時間内でしっかりと業務を進められるよう、常に時間管理を意識して勤務しています。また、急な休みによって業務に影響が出ないよう、都度業務の状況をチームメンバーと共有しています。
 開発業務においては、専門知識が求められる一方、専門以外の知識も必要です。 このため、日々さまざまな知識の習得に努めています。例えば、業務に必要となる危険物取扱者等の資格を取得すること、さまざまな分野の専門家の話を聞くことで知識の幅を広げています。
 今後も仕事と育児を両立させ、キャリアを築くため、できる限り勉強を継続し、経験を重ねます。そして、今の仕事にとてもやりがいを感じているので、これまでに取り組んでいないことにも挑戦したいです。

(データの取材時点:2019年12月)

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