女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2019年度

東北電化工業株式会社 (建設業)

全ての新入社員に第二種電気工事士資格取得を支援し、電気設備工事の知識を習得してもらっています

認定マーク

企業プロフィール

設立
1945年
本社所在地
山形県山形市
事業内容
建設業(電気設備工事業)
従業員数
324人(うち女性44人)
企業認定・表彰等
均等・両立推進企業表彰

取組内容

女性活躍推進女性採用拡大女性職域拡大女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 全ての新入社員を対象に、第二種電気工事士資格取得のため、専門学校への通学及び試験を全面的にサポート。
  • 女性従業員のキャリア形成のため、入社2年目、4年目及び7年目に社外講師によるキャリア研修と面談を実施。

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インタビュー

  • 総務部 人事労務課
    縄 絢 さん

取組のきっかけ・経緯
職人気質から脱却し、誰もが働きやすい環境づくり

 当社は、建物内の電気設備の工事を主とする建設事業者です。以前は男性従業員が中心で、女性従業員は1割いるかどうかという状況でした。しかし、このままでは今後の少子高齢化の進展及び学生数の減少等に伴う労働力不足に対応できないのではないかという危機感から、2005年に人事制度を刷新するとともに、女性の積極採用を始めました。職人気質からの脱却を目指し、男女の分け隔てなく働く環境を整えることで、労働力不足に対応していくことにしたのです。
 それまでの人事制度は年功序列で、勤続年数や年齢によって給与が決まりましたが、新人事制度は、実務経験や実績をベースとしつつ、仕事の質も考慮するものとし、年齢などは考慮しない仕組みとしました。建設業界では資格取得が重要であることから、保有する資格も評価の対象としました。これにより、若手でも必要な資格を有していれば評価されるようになりました。また、現場でいかに活躍できているかなども昇給の判断材料としました。2010年には、それまで事務職を中心に採用していた女性について、技術職での採用も開始し、現在では女性従業員比率は13.5%まで上昇しています。

具体的な制度の内容
すべての新入社員に第二種電気工事士資格取得をサポート

 女性を積極採用するため、就職説明会や学校などへのガイダンスの時には、女性従業員も必ず一人出席して、女性も工事現場で活躍していること等を説明しています。また、山形県内で当社のCMを放送しており、最近のCMでは女性従業員が活躍している様子を盛り込んでいます。
 当社では、2008年から、事務職及び技術職の全ての新入社員に第二種電気工事士資格の取得を促しています。これは、事務職においても、 電気設備工事の知識を持って業務にあたって欲しいということと、将来的に現場の仕事にも携わって欲しいと考えているからです。新入社員は入社後、山形県電気工事高等職業訓練学校へ通学します。4月から6月まで通学し、6月中に筆記試験、7月に技能試験を受け、合格発表のある8月には、新入社員ほぼ全員が第二種電気工事士となります。通学の費用は当社が全額拠出するとともに、通学期間は出勤を免除しており、資格取得に向けて全面的に支援しています。毎年、20名前後の新入社員が入社し、そのうち3、4名が女性ですが、女性は全員が資格を取得しています。資格取得により、事務職で入社した従業員も本人が希望した場合、技術事務職や技術職へ配置転換することが可能となり、職域拡大にも役立っています。従業員との面談で、働き方や業務内容についての希望を聞き、配置の決定をしています。
 女性従業員のキャリア形成のため、入社2年目、4年目及び7年目に社外講師によるキャリア研修と面談を実施しています。また、外部の女性管理職登用研修に積極的に参加するよう働きかけており、山形県が主催する女性管理職養成プログラムや女性のためのリーダーシップ研修等に中堅クラスの女性従業員が参加しています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
女性技術者は個人宅の訪問で高評価

 当社の女性活躍推進の取組をメディアに取り上げていただいたり、女性が現場で活躍するCMを放映していること等により、当社に関心を抱き、建設業にチャレンジしてみたいという女子学生が増え ており、会社訪問希望者が以前より多くなりました。
 また、当社は電気工事で個人宅にお伺いすることも多いのですが、多くの高齢者がお住いの地域であることもあり、女性技術者がお伺いすることで安心感がある、仕事が丁寧である、というようなお声をいただくことも多く、個人宅での受注も増加傾向にあります。さらに、女性技術職が現場で活躍するようになって、従業員からも、現場が明るくなった、社内の雰囲気が良くなったという声を多く聞くようになりました。社内全体の雰囲気も、以前より明るくなったように感じています。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
丁寧な説明と相談機会の設定で現場の問題を瓦解

 これまでの建設業は男性中心の業界であり、当社でも現場の担当は全員男性であったことから、女性を採用し、現場に配属することについては、現場サイドから反対の声も上がりました。 その声に対して、管理職が女性を採用、配属する必要性を話し、相談の機会を設けて向き合ってきました。問題が発生するたびに、何が問題となっているのか、それを解決するためには、どのようにしたらいいのか等、個々の現場に沿った方法で解決していきました。当初、現場は必ずしも女性が働きやすい環境ではありませんでしたが、現場で発生する問題に都度に向き合ってきたことや、建設業界全体の流れとして、女性活躍推進に向かっていることもあり、今では男女ともに働きやすい環境が整備されています。

今後の課題・展望
さらなる採用拡大と人材育成に注力

 技術職として活躍する女性は増えつつありますが、もっと増やしたいと考えており、今後も積極的に採用活動を行っていきます。また、現在、女性管理職は事務系の課長2名のみであるため、今後、より上級職での登用を進めるとともに、技術系においても女性管理職を育成するため、外部研修の受講等を促していく予定です。
 また、将来的にAI技術が発展することにより、事務系の業務は減少していくことが見込まれます。このため、当社では男女ともに誰もが現場でも活躍できるよう、知識と技術の習得を促し、引き続き人材育成に注力していきます。

女性従業員の声制度利用者の声画像

当初は不安もありましたが、今は現場監督として充実した毎日を送っています

山形支店
工務部 工務課
山口 祥子さん

事前の準備や資料作成をしっかりして信頼関係を構築しました

 私は建築系の専門学校を卒業し、当社へ入社して6年目になります。入社当時は、技術事務職として、上司とともに工事現場へ行き、現場の写真撮影、書類作成等の現場の補助作業を2、3年ほど行いました。その後、少しずつ管理監督者として工事現場を持たせてもらえるようになり、 今では一人で現場を担当しています。初めのうちは、飲食店、事務所、アパート、イベント仮設の設置など小規模な工事現場から担当しました。
 当初は現場のサポート業務のみを担当すると考えていたため、上司から現場監督の話をいただいた時は不安もありましたが、仕事のステップアップや自身の勉強のために挑戦しました。男性の場合は通常、現場作業を半年から1年経験した後に現場監督になるため、作業の手順等を把握していますが、私は現場作業の経験がないため、具体的な作業手順や材料の名前等を正確に理解できておらず、毎日が勉強でした。現場では職人気質の方もおり、言葉のあたりが強く、「女性で大丈夫なのか」というような声もありましたが、どうしても理解を得ることが難しい現場には上司にも来てもらったり、事前の下調べや資料作成等の準備をしっかりすることにより、次第に信頼を得ることができ、そのような声も聞かなくなりました。今では、現場で仕事をするという点において、男性であろうと女性であろうと違いは無いと考えています。

現場で活躍する後輩が増えることがうれしい

 現在は、現場監督の仕事に従事して充実した日々を送っていますが、現場の仕事は状況により、夜が遅くなったり、お客様のご都合で作業日が指定されたりすることもあるため、将来、結婚して子どもを育てていく時には、今と同じような働き方は難しいと考えています。このため、将来的には現場で蓄積している経験を活かした仕事の仕方を考えていきたいと思っています。
 最近当社には女性が増え、私に続いて、一人で現場に出る後輩の女性も増えており、うれしく感じています。今後ますます、活躍の場が増えてくることを期待しています。

(データの取材時点:2019年9月)

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