女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2019年度

相鉄バス株式会社 (運輸業、郵便業)

お互い様の精神で女性運転士が活躍できる職場づくり

認定マーク

企業プロフィール ※2019年11月1日時点

設立
2001年
所在地
神奈川県横浜市
事業内容
運輸業(旅客自動車運送)
従業員数
580人(うち女性26人)
企業認定・表彰等

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援女性活躍推進女性採用拡大女性職域拡大

特徴的な制度・取組など

  • 女性の採用拡大と入社後の定着を目指し、女性活躍推進プロジェクトチームを発足。
  • 女性専用トイレや女性専用休憩室の設置等、女性運転士が働きやすい職場環境整備。
  • 「仕事と介護の両立支援」「仕事と育児の両立支援」ハンドブックを制作し、全従業員に配布するとともに、女性活躍推進プロジェクトメンバーが目的と内容を直接説明。

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取組のきっかけ・経緯
女性運転士の採用拡大を目指して

 当社が女性運転士の採用に積極的に取り組んだきっかけは、バス業界全体の深刻な運転士不足が背景にあります。当社でも、優秀な人材を確保するために、女性運転士の採用拡大を目指し、女性活躍推進の取組を開始しました。取組開始前は、「バス運転士=男性」というイメージが強いため、女性からの応募はほとんどありませんでした。また、実際に男性運転士が中心の職場であったため、社内でも「女性に運転士は難しいのではないか」 という固定観念があったことや、女性専用の休憩室がない等、女性運転士が不便なく働ける職場環境が整っていませんでした。
 これらの課題を解決し、女性の採用拡大と入社後の定着を目的として、2016年に女性活躍推進プロジェクトチームを社内で立ち上げました。また、同じく2016年に、横浜市の中小企業女性活躍推進事業に応募したところ、当社が選定され、専門家によるアドバイスやセミナーを受けることができました。女性活躍に関するセミナーは、経営層も含めた従業員が受講し、女性活躍の必要性について理解を深めたことで、より一層、取組が加速したと考えています。

具体的な制度の内容
社内施設の改善と風土醸成の両立で取組を進める

 女性運転士が働きやすく、長く働きたいと思える職場を作るため、社内施設の改善と風土醸成の両輪で取組を進めていきました。施設については、バス折返し場に女性専用のトイレを、各営業所には女性専用の休憩室を設置する改善を行いました。休憩室は、カプセルベッドを設置し、 人の目を気にせずゆっくりと休憩できるようにしました。また、メイクや身支度を整えるための、大きめのドレッサーを設置しました。この改善のインパクトは大きく、ホームページで見た女性応募者からの問合せや、全国のバス会社の方からの視察依頼が一気に増えることになりました。また、当社が女性活躍推進を経営戦略として進めていることを、社内に意識づける役割を果たすことにもなりました。
  女性運転士が出産を経て、育児をしながら働き続けられる風土醸成を目指し、「キャリアと育児の両立支援(育児休業者向け)」「キャリアと育児の両立支援(管理職向け)」の2種類のハンドブックを作成し、全従業員に配布しました。配布の際には、各営業所の会議の時間を割いてもらい、女性活躍推進プロジェクトのメンバーがその目的と内容の説明を直接行いました。また、介護に携わる従業員が増えると考えられることから、「仕事と介護の両立支援」のハンドブックも作成し、仕事と家庭の両立は育児中の女性だけの課題ではなく、全従業員にかかわる課題であることを繰り返し伝えています。2018年からは、職場のハラスメント防止対策にも取り組み、お互い様の精神でサポートし合う職場づくりを目指しています。
 そのほか、万一の事故の場合の初動や酔客への対応等をまとめた「乗務員初動マニュアルカード」を全従業員に、防犯ブザー機能を付帯した点検用ライトを全女性運転士に配布しました。これらは、女性運転士の安全面での不安軽減を目的として作成を始めましたが、特に「乗務員初動マニュアルカード」については、結果的に、性別にかかわらず全従業員に役立つものを作ることができました。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
採用拡大から女性活躍や継続就業という次のステージに移行

 2016年の女性活躍推進に関する取組開始後は、運転士に毎年10~20名の女性の応募があり、その中から数名ずつを採用しています。また、運転士の採用者に占める女性の割合を1割以上とする目標も達成しています。 その結果、2019年時点で、18名の女性運転士が活躍するようになりました。採用の場面では、当社の女性運転士が活き活きと働く姿を見て応募したという声を多く聞きます。女性運転士の働く姿が魅力的に映り、運転士としての働きがいが伝わっていることをうれしく感じています。女性運転士の中から昇格試験を受ける者も増えており、採用拡大から活躍、継続就業という次のステージに取組が進んでいます。また、他のバス会社の方とお会いすると、「女性運転士は何人に増えた?」という会話になることも増えました。男性中心だったバス業界においても、少しずつ女性活躍が浸透してきたと感じています。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
現場の意見や心情を大切にすることを心掛けました

 取組を進めるに当たって心掛けたことは、現場の意見や心情を大切にすることです。圧倒的な男性中心の職場において、女性活躍を社内に浸透させるためには、現場の男性運転士の理解や協力が 不可決であると考えたからです。運転士経験のあるプロジェクトメンバーの協力のもと、営業所に出向いて女性活躍推進の必要性を説明したり、不満や不安を聞き、その意見を取組に活かしていきました。そのおかげで、机上の空論にならずに、現場に即した取組を進めることができました。また、女性活躍推進に不可欠な「仕事と家庭の両立」に関しては、「仕事と介護の両立」に関する取組も同時に進めることで、育児世代の女性だけに必要な取組ではなく、性別や年代を問わず全従業員に必要な取組であることを継続的に発信していきました。

今後の課題・展望
柔軟な働き方の選択肢の準備が今後の課題

 女性運転士の増加に伴い、妊娠中の働き方や、仕事と家庭の両立等、ライフイベントを経て働き続けるための新たな課題が見えてきました。運転士は、朝と夕方の通勤通学の時間帯が繁忙なため、 昼間の時間帯だけの短時間勤務の設定は、公平性の担保の点から難しいと考えていました。しかし、多様な働き方の選択肢を準備しておくことは、育児中の女性に限らず、介護に携わる従業員のためにも必要だと考えています。この点については、 「思い」だけでは変えることができず、運行ダイヤ編成や人事制度の改定等、経営判断を必要とするため、全社を巻き込んださらなる取組を進める必要があると考えています。

女性従業員の声制度利用者の声画像

女性運転士が働きやすい環境整備が進み、助かっています

綾瀬営業所 運転士
亀井 明子さん

休憩時間は個室感覚のカプセルベッドでしっかり休憩をとることができます

 当社に入社する前は、自動車教習所の指導員として働いていました。指導員の仕事を通して、運転する仕事に興味を持ち始めた頃、当社の女性を対象とした営業所見学会の広告が目に留まり、参加したことが入社のきっかけです。営業所見学会では、施設や車両見学、ワンマン機器操作だけでなく、第一線で活躍されている現役の女性運転士との交流がありました。そこでは、仕事のやりがいだけではなく、 家庭との両立のために工夫されていること、大変に感じていることなど、リアルなお話をたくさん聞くことができ、自分が運転士として働く姿をイメージすることができました。また、当社では女性運転士が働きやすいよう職場環境整備が進んでいますが、一番良かったことは休憩室にカプセルベッドが設置されたことです。休憩時間に個室感覚でゆっくり休むことができるため、とても助かっています。バス折返し場にも、女性専用トイレが新設され、使いやすくなりました。設備が整っていると、休憩時間にしっかり休むことができ、仕事中の集中力が上がるので、安全な運行のためにも大切なことだと感じています。

仕事の幅を広げるためにも、昇格を目指したい

 バス運転士というと、男性の仕事というイメージがあるかもしれませんが、性別に関係なく活躍できる仕事だと思っています。シフトの中には、早朝から出勤して午後の早い時間に終了するもの、午後からゆっくり出勤して夜間に終了するものもあり、 日中の空いた時間に家事をこなすなど、自分で工夫して時間を有効活用しています。
 運転中は、車内の様子をよく把握するようにしていますが、「お客様が手すりにつかまりづらそうだな」「体勢がつらそうだな」と自分の運転技術についてお客様に気づかされることも多く、技術をさらに磨かなくてはと気持ち新たに頑張ることができます。目下の目標は、当社の運転士として最初の昇格となる副班長や班長運転士というリーダーになることです。昇格後は、路線バスだけではなく、高速バスに乗務できるようになるため、仕事の幅を広げるためにもステップアップを目指したいと思っています。

(データの取材時点:2019年9月)

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