女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2018年度

医療法人社団仁誠会 (医療、福祉)

ワーク・ライフ・バランスの推進と短時間正職員制度の導入等により、誰もが働きやすい職場環境を整備しています

認定マーク

企業プロフィール

設立
1981年
本社所在地
熊本県熊本市
事業内容
医療、福祉(クリニック、介護施設等)
従業員数
372人(うち女性263人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定、えるぼし(認定段階3)、均等・両立推進企業表彰

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援男性育児参画事業所内保育施設短時間正社員制度女性活躍推進

特徴的な制度・取組など

  • 短時間正職員制度により、多様な事情を抱える職員がより働きやすい職場環境を提供。
  • 事業所内保育園により、職員の早期復職や保育施設が見つからずに再就職をあきらめていた方の雇用に貢献。

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インタビュー

  • 理事
    吉田 美幸さん (右)

    相談室 シニア産業カウンセラー
    濱田 佳代子さん (左)

取組のきっかけ・経緯
職員のニーズを把握。コンサルティングを活用

 当法人は、熊本県内で透析医療を中心とした5つのクリニックを有する医療部門と、介護老人保健施設や訪問介護等を行う介護部門を運営しています。2008年に、副理事長(現理事長)が就任した際、全職員の生の声を聴きたいと考え、相談室を設置しました。そして、全職員に毎年1回、面談の機会を設定し、 仕事の状況や体調、ご家族の状況などについて話を聞きました。すると、仕事と家庭の両立に課題を抱えている職員が多いことがわかりました。また、同年、21世紀職業財団による職場風土改革事業に応募し、コンサルティングを受け、ワーク・ライフ・バランスの推進に取り組むようにとのアドバイスをいただいたため、事業計画の中に「ワーク・ライフ・バランスの推進」を盛り込み、所定外労働時間の削減や年次有給休暇取得率等について、数値目標を設定し、取組を進めました。それまでも、所定外労働時間が特に多かったわけではないのですが、「NO残業デー」の設定や、年次有給休暇の取得促進を明確に呼び掛けることで、誰もがより休みやすくなり、また、効率的に勤務することを意識するようになりました。また、コンサルティングを受ける中で、子育て中の職員がより働きやすい職場とするためには、男性の育児参画を促した方がよいとのアドバイスを受けたため、男性の育児休業取得を促進するため、2008年に育児休業を3日間まで有給としました。これにより、現在では対象者の人数にもよりますが、男性の育休取得率は概ね9割前後となっています(※2017年度は対象者3名のうち2名が取得したため、取得率は67%)。
 さらに、育児や介護等、さまざまな事情を抱える職員がより働きやすい職場環境を整備するため、短時間正職員制度の導入を一般事業主行動計画の第2期計画(2013年~2015年)に盛り込み、2013年に導入しました。第2期の計画期間終了時点で、プラチナくるみんの基準を達成していたため申請し、2015年8月に、熊本県内第1号のプラチナくるみん認定をいただきました。また、そのタイミングで均等・両立推進企業表彰にも応募し、同年12月にファミリー・フレンドリー企業部門熊本労働局長優良賞を受賞しました。
 その後も、2017年7月には事業所内保育園「赤とんぼ保育園」を開設する等、取組を進め、2017年には働く人がいきいきと輝き、安心して働き続けられる企業におくられる熊本県ブライト企業認定もいただいています。

具体的な制度の内容
短時間正職員制度の柔軟な運用により様々な事情を抱える職員の活躍をサポート

 育児中の職員へのサポートとして、2008年から病児保育利用支援制度を導入しています。熊本市近辺の病児保育を利用した場合の費用を全額補助しており、上限等は設定していません。また、事業所内保育園の設置により、それまで、託児先が見つからず復職できなかった職員の早期の復職につながっています。
 また、短時間正職員は、常時週30時間以上勤務することを条件とし(通常の正職員は週40時間以上で4週8休、夜勤有)、そのほかに、勤務地、曜日、勤務時間帯等の希望について、個別に希望を聞き、調整しています。短時間正職員と常勤正職員の間の変更は、原則として半年に1回可能としています。変更理由は限定していないため、育児や介護のほか、資格取得のための通学や自身の体調等、さまざまな理由で一時的に短時間正職員となるケースもあります。
 育児休業は原則として、子が1歳の誕生日を迎える月の月末まで利用可能とし、子どもの誕生日を親子で迎えられるように配慮しています。育児短時間勤務は子が小学校就学まで利用可能です。介護休業についても、100日まで利用可能で、3回まで分割して取得することが可能です。
 子の看護休暇及び介護休暇は、日数は法定通りですが、時間単位での取得を可能としています。
 職員のキャリア形成を支援する取組として、「ラダー制度」を導入しています。これは、キャリアプランについて自ら設計し、自ら申請することができる制度です。職員の職位は等級制となっていますが、一定の条件を満たした上で今より上の等級を目指すことを申請すれば、昇格が認められます。一方、一時的に家庭のことに注力したい場合には、現状維持とすることも可能です。管理職は、職員のキャリア形成のため、それぞれの状況を踏まえ、適宜キャリアに関する助言を行っています。

制度導入による効果等
人材の確保に貢献

 医療・福祉の業界では、人材不足が大きな課題となっており、当法人においても、人材の確保が重要な課題ですが、くるみん、プラチナくるみんの認定や企業表彰の受賞により、特に看護職の応募が多くなりました。出産や育児を機に退職し、子育て中の看護師の方が、子育てをサポートし、 多様な働き方が可能な当法人に関心を持ち、応募してくれるため、人材の確保が難しい昨今でも、何とか必要な人材を確保することができています。また、当法人の取組がメディア等に取り上げられる機会も増えたため、それを見て、男女問わず多くの方に関心を持っていただき、ご応募いただくことが増えています。

今後の課題・展望
職員の確保が難しい時間帯の業務効率化や生産性向上を推進

 育児や介護による短時間勤務者や短時間正職員を希望する職員が増加した結果、夜勤や土日祝日勤務が可能な職員が少なくなり、これらの時間帯を少ない人数で対応しなければならなくなりつつあることが課題となっています。このため、今まで夜の時間帯に行っていた業務を日中に回したり、 8時間でやっていた業務を効率化して7時間30分で終わらせるようにする等、現場の管理職が主体となって業務の効率化や生産性の向上に努めています。
 また、当法人では、雇用延長をしているほか、障害のある方も積極的に雇用しています。このため、育児、介護に限らず、体調面での配慮が必要な方等、誰もがより働きやすい職場環境としていくため、多様な働き方の在り方について、これからも検討を進めていきたいと考えています。

制度利用者の声制度利用者の声画像

仕事と育児を両立し、いずれはキャリアも重ねていきたい

仁誠会クリニック技士部 臨床検査技師・准看護師
水本 智子さん

先輩を見習って時間の有効活用に努めています

 私は5年前に検査技師として入職し、その後2年間は就学支援制度を利用し、勤務時間を調整していただいて勤務しながら看護学校に通い、2年後に看護師の資格を取得しました。3年目に第1子が生まれたため、1年間の育児休業を取得して、2018年4月中旬に復職しました。現在は、常勤正職員のまま、育児短時間勤務制度により2時間勤務時間を短縮し、 7時間勤務しています。また、夜勤免除もしていますが、曜日は限定せず、土日祝日を含めて、シフトで勤務しています。
 まだ復職してから4か月程度しか経っていないため、今は、短い勤務時間の中で業務をこなすのに精一杯ですが、職場の先輩で同じように育児短時間勤務をしている方がいるため、その先輩をお手本として、効率的な働き方をするように心がけています。出産前は、8時間の勤務時間でもやることが多くて大変でしたが、先輩の働き方を見ていると、少しでも空いている時間に他の業務を行ったり、業務の効率化を図ったりと、時間を有効に活用するためにいろいろ工夫されているので、それを見習っています。

いずれはラダー制度によりキャリアアップしたい

 今は、仕事と育児の両立で手一杯ですが、今後はより多くの業務スキルを身に着けて、キャリアを築いていきたいと考えているため、いずれ、ラダー制度により次の職位の申請もしていきたいと考えています。
 また、子どもを育てていることで、患者さんのお孫さんの話をより親身にお伺いすることができるようになったり、 家庭の話ができるようになったりと、患者さんとの会話の幅が広がりました。今後、いろいろな経験を積むことにより、より患者さんに寄り添ったサポートができるようになると良いと考えています。

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