女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2019年度

キャタピラージャパン合同会社 (製造業)

ダイバーシティ&インクルージョンの取組と従業員の自発的な活動により女性の活躍を推進

認定マーク

企業プロフィール

設立
1963年
本社所在地
神奈川県横浜市
事業内容
製造業(建設機械の開発・製造・販売)
従業員数
1,476人(うち女性192人)
企業認定・表彰等
くるみん認定

取組内容

仕事と育児の両立支援テレワークフレックスタイム制事業所内保育施設女性活躍推進女性採用拡大女性職域拡大女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • ダイバーシティ&インクルージョンの取組の中で、まずは女性に焦点を当てて両立支援や働きやすさの向上等の取組を推進。
  • 従業員の自発的な活動として、女性の活躍推進や女性技術者の定着・キャリア形成等の方策を検討、提案。
  • 「兵庫・関西 キャタピラーSTEM賞」により女性技術者を育成・支援。

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インタビュー

  • Caterpillar Human Resources
    Japan HR
    カントリーマネージャー
    中道 和弘 さん

取組のきっかけ・経緯
ダイバーシティ&インクルージョンの取組として女性の活躍を推進

 当社は1963年、キャタピラー三菱として設立しましたが、2008年にキャタピラージャパンに社名変更し、2012年にはCaterpillar社が単独所有する企業となりました。当社の明石事業所は、Caterpillar社の油圧ショベル事業部門における開発本部とマザープラントを擁しており、102,000名以上の従業員が所属するグローバルネットワークに所属しています。 2012年にCaterpillar社となったことを契機に、グローバルで展開しているダイバーシティ&インクルージョン(以降、D&I)の取組を国内にも展開しました。グローバル企業のメンバーとなったことで、上司や組織のメンバーが外国籍の方であることも珍しくなくなり、社内の意識も大きく変わっていきました。
 直近では、女性に焦点を当てて、D&Iの取組を進めていますが、すべての従業員がその能力を十分に発揮して活躍する組織、働く場所として選ばれる会社とするため、仕事と家庭の両立支援制度、企業内保育所等の整備、テレワークの拡充等の働き続けやすい環境の整備を行っています。

具体的な制度の内容
会社の取組と従業員の自発的な活動の両面で女性が働きやすい環境を整備

 D&Iの取組としてさまざまな取組を行っておりますが、その中でも①リバースメンタリング、②ブレークスルー・リーダーシップ、③アンコンシャス・バイアス・トレーニングの3つの活動をご紹介します。
①リバースメンタリング:一般的なメンタリングでは、上席者をメンター、若年者をメンティーとして行いますが、リバースメンタリングでは、メンターを比較的若年の女性、メンティーを上席の男性として行います。この取組を通じて、女性が活躍するうえで、管理職にどのようなことが望まれているのかを学びます。 2018年から開始し、毎年10~15組が取組を行っています。
②ブレークスルー・リーダーシップ(forWomen/forMenAsAllies):女性向けのワークショップは、女性がリーダーとして活躍するために必要なスキルやネットワーキング等についての能力開発を目的とした2日間の選択制の研修です。男性向けの研修は、D&Iを理解し、女性活躍の支援者となるための意識やスキルについて学びます。
③アンコンシャス・バイアス・トレーニング:まずは部門全体でアンコンシャス・バイアスのトレーナーを20名程度養成し、そのトレーナーが20名程度を単位とした研修を実施しています。職場での研修では、組織、担当、性別、年齢等の属性が多様なメンバーを集めてディスカッション等を行うことにより、それぞれの中にあるアンコンシャス・バイアスを認識し、その影響を理解することを目的としています。全従業員が1回は受講するようにしています。
 その他にも、女性従業員が中心となって活動している、WIN(Women’sInitiativeNetwork:女性活躍、女性のネットワーキング等)、WEN(Women’sEngineeringNetwork:女性技術者の定着、キャリア形成等)といネットワーキング活動があり、これらの活動のサポートを通じて女性の活躍推進や働きやすい職場環境の醸成を進めています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
多様な意見や価値観が受け入れられる環境に

 性別や年齢、経歴等の壁を越えたさまざまな考え方を受け入れる環境となったことで、コミュニケーションが活発になり、多様な意見や経験が活かされるようになりました。社内の雰囲気も明るくなったと感じています。働き方についても、グローバル化に伴い、多様な価値観を持って働く従業員が増えてきたことから、多くの従業員がフレックスタイム制とテレワークによりフレキシブルな働き方を選択しています。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
さまざまな価値観の従業員が働くことで働き方もフレキシブルに

 当社では、フレックスタイム制は20年以上前から導入していましたが、以前は利用が進まず、制度はあっても従業員の意識が変わらないことが課題でした。しかし、グローバル化により、海外から来た上司や同僚が家族との時間を大切にし、フレキシブルな働き方をしている姿を見て、次第にフレキシブルな働き方を選択する従業員が増えてきました。

今後の課題・展望
STEM教育へのサポートを通じて理系の面白さを伝えたい

 日本は特に理系を専攻する女性が少ないため、採用数もなかなか増えません。当社では、将来を担う若手女性研究者を支援する取組として、2018年に「兵庫・関西キャタピラーSTEM賞」を設立し、女性研究者への助成を行っています。今後もSTEM教育への支援等を通じて、より多くの女性に、理系の面白さに気づいて欲しいと思いますし、当社に関心を持っていただきたいと思っています。

※S:Science(科学)、T:Technology(技術)、E:Engineering(工学)、M:Mathematics(数学)の教育分野のこと

女性従業員の声制度利用者の声画像

エクスカベーション・ディビジョン
明石ビジネスサポート部
アカウンタブルレポーティング課
塩路 ゆかりさん(左)

エクスカベーション・ディビジョン
大型 NPI グループ
マーケティングスペシャリスト
杉﨑 茉里さん(右)

後輩が働き続けやすい環境づくりを進めたい(塩路さん)

 私は2009年に事務職として新卒で入社し、原価管理や予算管理等の業務に従事してきました。入社4年目に結婚し、今は2人の子どもを育てています。入社当時、女性従業員はとても少なく、私が配属された部署では、私が初めての女性総合職でした。育児休業も部署では初めてのことで、 取得の手続き等でわからないことが多く、苦労しました。2014年に女性従業員のネットワーキング活動であるWINができた時に、初期メンバーとして活動の立ち上げから携わり、自分が出産・育児関連制度の利用方法がわからずに困ったことから、後輩が困らなくて済むよう、「育休マニュアル」を作成したり、妊娠中にも着られる作業衣を提案して作成してもらったり、というような活動をしてきました。
 私は当社が好きなので、後輩にも長く働き続けて欲しいと思っています。後輩たちが働き続ける上で困ることがないよう、これからもWINの活動を通じて、環境改善を進めていきたいと思います。

仕事において、女性であるためにできないことはありません
(杉﨑さん)

 私は2008年に技術職として新卒で入社し、油圧ショベルの商品開発部門で、新商品開発プログラムのマネジメント等に従事してきました。現在は2人の子どもを育てています。私が入社した当時、私より年次が数年上の先輩女性がほとんどおらず、出産後に仕事と育児の両立をしようと思った時にもロールモデルがいなかったため、 両立の仕方や時間のやりくり等は手探りで進めてきました。職場の皆さんが温かくサポートしてくださったため、何とか働き続けることができました。
 私はWENの活動に2014年から参加しており、女性技術者の定着、キャリア形成をテーマに活動しています。活動を通じて、日本社会には女子学生が理系に進むことへのジェンダーバイアスが根強くあることに気が付きました。しかし、私自身が働いている中で、「女性であるためにできないことはない」と感じているので、これからはそのメッセージを伝えていきたい、と思っています。また、キャリアを考える上で、育児を障壁ととらえるのではなく、仕事と育児の両立が男女ともに当たり前の社会になると良いと思っています。

(データの取材時点:2020年1月)

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