女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2019年度

興津螺旋株式会社 (製造業)

「ねじガール」の活躍によりパラダイムシフトが起こりました

認定マーク

企業プロフィール

設立
1939年
所在地
静岡県静岡市
事業内容
製造業(ねじ部品の設計・製造・販売)
従業員数
69人(うち女性36人)
企業認定・表彰等

取組内容

女性活躍推進女性採用拡大女性職域拡大

特徴的な制度・取組など

  • 「工場は男性、事務は女性」という固定観念を払拭し、女性技術職の採用と配属を実施。
  • 女性が不便なく工場で働けるよう、安全性の高い機械や電動リフター等を導入。
  • 業務の属人化を見直し、ジョブローテーションを実施。

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インタビュー

  • 代表取締役社長
    柿澤 宏一 さん(右)

    取締役総務部長
    流石 昌紀 さん(左)

取組のきっかけ・経緯
優秀な女性の工場配属に踏み切り「ねじガール」誕生

 2011年頃までは、工場勤務の技術者は男性からの応募しかなく、女性は事務職として採用をしていました。しかし、2012年頃から、採用の場で優秀な女性が目立つようになり、彼女たちの能力をさらに活かす方法はないかと考えるようになりました。 そこで、「工場は男性、事務は女性」という固定観念を払拭し、女性が工場で働くための環境整備を進めてみてはどうかと考え始めました。時を同じくして、事務職として入社した女性従業員から、「製造現場でねじ作りに携わりたい」との申し出がありました。試験的に、彼女を工場の製造部に異動したことが、当社が女性技術職を採用、育成するきっかけとなりました。その後、2013年以降は、継続して女性技術者を採用しています。当社の製造現場で働く女性技術職を「ねじガール」と命名し、ホームページに専用ページを開設したところ、多くの方に知っていただけるようになりました。

具体的な制度の内容
女性が工場で働きやすいよう環境整備と働き方の見直し

 実際に女性が工場で働いてみると、男性だけでの作業を想定していた工場で女性が働くためには、安全面での課題があることがわかってきました。例えば、ねじ製造に用いる金型の加工をするためディスクグラインダーという機械を使っていましたが、 女性の力では機械に弾かれる恐れがあるため、工作機械での作業に変更しました。また、重量物を運搬するための電動リフターや、腕力がなくてもボルトを締められるロングレンチ等を導入しました。そのほか、大きな化粧台とソファーのある女性トイレの設置等、環境面での整備を行っていきました。
 女性が工場で活躍するようになったことで社内に意識の変化が生まれ、働き方についても女性の勤務を意識した見直しが受け入れられていきました。例えば、女性は体力的に連日の早出残業は厳しいため、定時で帰れるよう業務の効率化を図りました。また、時間単位の年次有給休暇を導入し、子どもの学校行事等で半日休まなくても済むようにしました。そのほか、属人化していた業務を見直し、ジョブローテーションを導入したことで、育児休業中の欠員や子どもの病気等での急な休みに対応できるようになりました。現在は、定期的に異動を発令し、複数の業務を担当できるようにしています。前後の工程を知ることで、全体像を把握できるようになり、業務の質が向上したと思います。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
不良廃棄率の低下、製品の品質向上という効果がありました

 年々女性の工場勤務希望者が増え、昨今では応募者の男女比は半々になっています。先輩の「ねじガール」に憧れて、優秀な人材が入社するという好循環が生まれるようになってきました。また、ジョブローテーション導入の効果として、一人が休んでも職場の業務が滞らないため、 有給休暇を取得しやすくなりました。当社の有給休暇取得率は、全社平均で69%となっています。
 また、製品の品質向上という効果もありました。製造業の現場では、同じ品質の製品を安定的に生産するために、細かなルールを定めています。そのルールを遵守するという点において、女性技術者はとても優れています。女性技術者の真面目さや仕事への高い意欲が工場全体に良い影響を与え、その結果、不良廃棄率が格段に低下しました。さらに、高い品質の製品を作ることが可能になったため、より精密さが求められる産業機械や自動車等を製造するお客様の品質要求にも応えられるようになりました。女性技術者の増加により、力仕事が必要な大量生産は以前に比べて難しくなったのですが、製品の量から質へのシフトを図ったことでデメリットを補って余りあるメリットをもたらしています。工場の環境整備は、女性技術者の安全確保を目的として始めましたが、結果的に男女問わず全技術者の省力化につながりました。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
女性活躍から男女活躍へ

 工場勤務を希望して入社した女性技術者たちは、モノづくりへの熱意があり、技能や知識を習得する意識が高いため、指導をする際の苦労はあまりなく、着実に技術を向上させていきました。当社の女性活躍推進の取組が注目されるようになると、自治体やメディアからの問合せを多数受けるようになりましたが、女性技術者たちが一人前になり定着するまでは取材や視察をお断りし、育成に専念することにしました。 女性の工場配属を開始してから3年後、ようやくお問合せにお応えできるようになりましたが、地道に一歩一歩進めた「ねじガール」育成の取組は、自信を持ってお話できるようになったと考えています。一方、工場に女性技術者が増えていくことで、仕事のやり方や環境の変化に適応できず、ベテランの男性技術者が離職したこともありました。会社としては、もちろん男性従業員も女性従業員も大切にしていますが、会社からの発信が不十分で誤解もあったのかもしれません。以降は「男女活躍」という言葉を使い、きちんと方針の発信をするように心掛けています。

今後の課題・展望
さまざまな特性を持った人が働きやすい職場づくりにチャレンジしたい

 女性が工場で働きやすいよう、さまざまな改善をした結果、安全でより働きやすい職場づくりが進みました。この結果、現在勤務している従業員が高齢化しても対応できるような環境になったと考えています。少子高齢化に伴う労働力不足は当社の今後の課題でもありますので、さまざまな特性を持った人が働けるよう工夫を重ねていきたいと考えています。

女性従業員の声制度利用者の声画像

工場は女性が安全に不便なく働けるような工夫が凝らされています

製造部
ファクトリーチーム
森田 知世さん

先輩の「ねじガール」に憧れて技術職として入社しました

 2014年に入社以来、工場で技術職として働いています。大学では化学を専攻していましたが、モノづくりの魅力に惹かれ製造業を志望しました。中でも、「ねじ」は多岐にわたる分野で使われていることに可能性を感じました。会社見学の際に、先輩の「ねじガール」が活き活きと働いている姿に憧れたことも、当社に入社した理由の一つです。入社してからは、上司や先輩が熱心に指導してくださっていますが、女性だからという特別扱いは感じません。 また、工場は、女性が安全に不便なく働けるよう、さまざまな工夫が凝らされています。重量物の運搬等、女性の力では危険だと感じる場面があれば、従業員の意見を踏まえてスピーディーに改善されます。おしゃれな作業服や、リビングのような工場のトイレ等、快適な職場環境が整備されていますが、これらも従業員の意見が反映されたものです。そのほか、有給休暇が取得しやすいことも良いところだと思います。休日は趣味のライブに出かけ、リフレッシュしています。周囲の人たちも各人の予定に合わせ休暇を取得しているので、将来子育てをすることになっても、安心して仕事を続けられると思っています。

より一層技術を磨き、一人前の職人になりたい

 「ねじガール」として地域のメディアに取り上げられることもあり、知人から「頑張っているね」と声をかけられることはうれしいことです。私たちが注目されることで、女性がモノづくりの現場で活躍できることや、その楽しさが多くの方に伝わると良いと思います。今後は、私が先輩の女性技術職に憧れたように、後輩や子どもたちに憧れてもらえる存在になりたいです。今は入社6年目ですが、まだまだ一人前とは言えず、学びたいことはたくさんあります。技術を磨き、不良廃棄率を減らすことが目下の目標です。

(データの取材時点:2019年9月)

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