女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2019年度

株式会社大川原製作所 (製造業)

小さな取組でも継続することが大切だと考えています

認定マーク

企業プロフィール

設立
1927年
本社所在地
静岡県榛原郡吉田町
事業内容
製造業(乾燥装置等の製造販売)
従業員数
293人(うち女性41人)
企業認定・表彰等
ダイバーシティ経営企業100選 / 新・ダイバーシティ経営企業100選

取組内容

仕事と育児の両立支援テレワーク女性活躍推進女性採用拡大女性職域拡大

特徴的な制度・取組など

  • 「OKWoMen」プロジェクトによる全社を巻き込んだダイバーシティ推進の取組。
  • 会社が目指す姿を全員が共有できるよう、従業員の意見を活かした行動指針を策定。
  • 事務職から技術職へのコース転換や女性の工場配属を目指した社内インターンの実施。

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インタビュー

  • 総務部 部長
    小林 正行 さん

取組のきっかけ・経緯
多様な発想力や技術力の必要性を感じ、女性技術者の採用を開始

 当社は乾燥装置の製造を行っていますが、製品はすべてお客様のご要望に合わせたオーダーメイドです。お客様は化学工業、医薬品、食品メーカー等多岐にわたるため、多様な視点からの発想や技術力が必要だと考え、2007年に女性技術職(総合職)の採用を本格的に開始しました。ちょうどその頃、取引先企業の研究職や機械オペレーター等、従来は男性が多かった職種に女性が増えてきたことにも影響を受けました。入社した女性技術職が成果を上げたことから、以降は毎年女性を積極的に採用し、 20~30代の技術職の3割は女性が占めるようになっています。
 女性技術職の増加に伴い、職場における性別役割分担意識や職場風土の改革の必要性を感じ、2016年の女性活躍推進法の施行に合わせて「OKWomen」プロジェクトの取組を開始しました。プロジェクト名は、当社の略称であるOKWと当社で働く男女WomenとMenから命名しました。プロジェクト発足当初は女性の活躍の場を作ることを主たるテーマとして活動していましたが、2017年に性別 や国籍にかかわらず誰もが能力を発揮できる職場環境を目指し、「OKWoMen」プロジェクトに名称を変え、ダイバーシティ推進に舵を切っています。

具体的な制度の内容
女性が働きやすい職場づくりは、結果として全従業員が働きやすい職場づくりへ

 職場における課題を洗い出すため、2016年に全従業員を対象とした本音座談会を実施し、「OKWoMen」プロジェクトで検討していきました。最初に着手したことは、ラジオ体操や清掃の時間の見直しです。従業員の「限られた時間内で可能な限り効率的に働きたい」という意見を反映したものです。些細なこととはいえ、慣習を変えるために声を上げることは勇気がいることでしたが、その実現はプロジェクトチームの大きな自信になりました。 その後は、女性トイレの増設、休憩室や更衣室の改修等、職場の環境整備に着手しました。また、業務効率化の一環として、1か月間の会議の時間、内容、重要度、発言量を係長以上役職者から情報収集・分析し、見直し策を部長以上に提案しました。そのほか、会社の方針が見えにくいという意見が多かったことから、日々の行動の判断基準となるような行動指針を策定しました。策定に当たっては、当社の良いところや目指す姿について全従業員の意見を集約し、出来上がった6つの行動指針をカードにして携帯できるようにしました。女性技術職の活躍の場を広げるべく開始したプロジェクトでしたが、結果として、男女問わず全従業員が働きやすい職場づくりへの取組となっています。
 女性従業員の活躍の場を広げる試みとして、事務職(一般職)から技術職(総合職)へのコース転換を実施し、女性従業員の希望と特性に応じて、研修や資格取得のサポートを行っています。また、現在の当社の女性技術職は主に試験部門や開発部門の配属ですが、今後は工場で製造工程を担当する「現場女子」を育成したいと考えています。その実現に向けての課題の洗い出しのため、2019年に社内インターンシップとして、女性の工場勤務を試験的に実施しました。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
経営陣を含めた社内の意識に変化

 会議時間については、定例会議を15分短縮することや、報告や情報共有だけの時間をなくすことで効率化を図りました。その結果、取組前と比べて20%の会議時間を削減することができました。事務職から技術職へのコース転換については、4名の女性従業員が設計等を担当する技術職に転換し、新たな仕事にチャレンジしています。また、女性が工場で組立や溶接を行った社内インターンシップ実施後には、女性従業員と受け入れた職場のメンバー双方が、「今まで工場の作業は女性には無理だと思っていたが、大丈夫ではないか」 という感想を持ちました。今後は、女性従業員の工場配属の実現に向けて、安全面や環境面での整備をさらに進めていきたいと考えています。
 そして、一番大きな変化は、経営陣を含めた社内に意識の変化が表れたことです。固定観念から「変えることは難しい」と考えていたことも、一つひとつ改善に取り組んだことで、変化を受け入れる風土が醸成されつつあります。2017年には、女性技術職の活躍等が評価され、経済産業省から「新・ダイバーシティ経営企業100選」に選定されました。外部からの評価を受けたことで、社内での取組がより一層進めやすくなったと感じています。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
小さな事案の実現の積み重ねで、少しずつ自信をつけていきました

 「OKWoMen」プロジェクト発足に当たっては、性別にかかわらず、さまざまな部門の従業員に参画をアサインしました。しかし、「長年の慣習を変えるのは無理」という思い込みがあったことや、 保守的な地域性から注目を浴びることが苦手という従業員が多かったことから、プロジェクト活動へのモチベーションを上げることに苦労しました。しかし、小さな事案でも提言したことが取締役会で承認され、実現していくと、メンバーもやりがいを感じることができるようになっていきました。プロジェクト開始から3年が経過し、ようやく自発的な活動になってきたと感じています。当社の取組は、費用のかかる目立つ施策はそれほど多くありません。たとえ規模の小さい施策の積み重ねであっても、取組を継続することで、変わり続けることが大切だと考えています。

今後の課題・展望
地域の特性や課題を鑑み、新しいキャリアの選択肢を検討しています

 2007年以降に入社した女性技術職が結婚や出産を迎える年代になりました。当社の女性の育児休業取得率は100%で、復職後も短時間勤務等を利用しながら仕事と家庭の両立を図っています。次に課題と考えているのは、配偶者(夫)の転勤に伴う転居への対応です。当社は静岡県の本社の他に、東京と大阪に営業所がありますが、 その他の地域への転勤は現時点では難しい状況です。会社としては技術を身に付けた従業員に働き続けてもらいたいですし、女性従業員自身も当社でのキャリアを継続したい場合に、良い解決策がないかと悩んでいます。この課題を解決すべく、試験的にテレワークの活用を検討しているところです。
 また、女性技術職のキャリア形成については、複数の選択肢が必要だと考えています。保守的な地域性もあり、管理職を目指す女性はそう多くはありません。管理職を目指す以外にも、専門性を高めたスペシャリストとして昇進や昇給ができるような人事制度を検討しています。

女性従業員の声制度利用者の声画像

「この会社で働いていて良かった」と思われる会社を作っていきたい

取締役 社長室長
大川原 綾乃さん

会社に変革をもたらしたことが自信になりました

 東京営業所で営業を経験した後、本社でダイバーシティ、広報全般を担当しています。また、「OKWoMen」プロジェクトの発足から現在に至るまで、当社のダイバーシティ推進に携わっています。「OKWoMen」プロジェクトを通して、 小さな施策であっても実現するとメンバーの自信になること、そして自信が意欲的な活動につながり、会社に変革をもたらしたことに手ごたえを感じています。今後も活動を継続し、「この会社で働いていて良かった」と思われる会社を作っていきたいです。従業員満足度の向上が、素晴らしい製品やサービスの提供につながると考えているからです。
 また、当社のダイバーシティ推進の取組が注目されたことで、県内の女性経営者の方や女性技術者の方と交流する機会が増えました。そのようなネットワークを活かし、女性のキャリア形成支援に取り組み、地域に貢献できるような活動も行っていきたいです。

(データの取材時点:2019年9月)

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