女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2018年度

医療法人社団五色会 (医療、福祉)

職員が誇りを持って長く働き続けられる環境づくりのため、環境に恵まれた事業所内保育園の開設、ワーク・ライフ・バランス推進に注力しています

認定マーク

企業プロフィール

設立
1978年
本社所在地
香川県坂出市
事業内容
医療、福祉(医療、介護、福祉)
従業員数
472人(うち女性280人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定

取組内容

仕事と育児の両立支援男性育児参画事業所内保育施設短時間正社員制度女性活躍推進

特徴的な制度・取組など

  • ポニーと触れ合える、環境に恵まれた事業所内保育園を敷地内に開設。
  • 男性の育児参画を促進するため、育児休業の最初の7日間を有給化。
  • 職員のワーク・ライフ・バランス推進のため、年休取得促進、所定外労働時間削減に注力し、年休取得率は90%、月平均所定外労働時間は2時間を達成(2017年度)。

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インタビュー

  • 理事長
    佐藤 仁さん(右)

    事務部長
    玉川 真一郎さん(左)

取組のきっかけ・経緯
職員が長く働き続けられる職場づくりのため、制度拡充に取り組みました

 当法人は、香川県で精神科病院を中心として展開している医療法人です。医療・福祉分野では、以前から女性が重要な役割を果たしており、特に精神科においては、看護師のみならず、医師も女性が比較的多いことが特徴です。当法人も職員の約7割は女性です。このため、当法人に勤務し、知識や経験を積んだ職員が、出産や育児等で退職してしまうことのないよう、働き続けやすい職場環境づくりに注力してきました。また、当法人のお客様である患者さんに接する職員がワ ーク・ライフ・バランスを意識して休養をしっかり取ることで、仕事にも注力でき、その結果患者さんへのサービスも向上すると考え、ワーク・ライフ・バランス推進の取組にも注力しています。
 しかしながら、取組を始める以前は、人材の確保に苦労した時期がありました。入社して間もなく退職してしまう職員もおり、その職員にヒアリングをしたところ、何をしたら良いのかわからなかった、というような声も聞かれたことから、入社後1か月間は新しく入社した職員をフォローする担当者を数名決め、一人ひとりノートを作り、フォローの内容を引き継ぐようにしました。また、所定外労働時間の削減と年休取得促進に努めました。
 仕事と育児の両立支援については、以前から法定を上回る制度を導入し、2009年にくるみん認定を取得していました。2014年には、さらに取組を強化するため、制度の拡充を行い、配偶者の出産日を含む7日以内を特別休暇(有給)にしました。さらに2018年4月からはこれを改定し、男女とも、育児休業の最初の7日間を有給とする制度としました。同月以降、育児休業取得率は男女ともに100%を維持しています(2018年11月時点)。
 育児短時間勤務制度は1日2時間まで、子が中学校入学まで利用可能としており、2014年には、院長又は施設長の承認を受ければ利用可能な短時間正社員制度も導入しました。現在、育児や介護のほか、体力的な理由等で短時間正社員制度を利用している職員が5名程度います。短時間正社員と通常の正社員との間の変更は可能で、実績もあります。 当法人を、職員にとってより魅力のある職場とするためには、職員が子どもを安心して預けられる保育施設が必要であると考え、2016年4月に敷地の一角に事業所内保育園「オリーブガーデン」を開設しました。当法人が運営するセラピーガーデンでポニーや植物に触れ合える環境となっており、地域枠もあるため、地域にも開かれた保育園となっています。職員には、市町村が定める保育料と3万円のうち、いずれか低い金額を月額保育料として設定することで、経済的にもサポートしています。
 これらの取組により、2017年に香川県で第1号のプラチナくるみん認定を取得しました。

具体的な制度の内容
職員のワーク・ライフ・バランス推進とキャリア形成支援の取組に注力

 上記の両立支援の取組に加え、ワーク・ライフ・バランス推進のため、毎月第3水曜日をノー残業デーと定めています。職員のパフォーマンスを高めるため、所定外労働時間の削減には特に注力しており、現在の職員一人当たりの月平均残業時間は約2時間となっています(2017年度)。年休の取得促進についても、 取得率目標を80%と設定し、未達の職員については、所属長から計画的に取得するよう働きかけを行いました。この取組により、2017年度の年休取得率は90%となっています。
 また、仕事と育児や介護を両立している職員のキャリア形成支援のため、人事管理規程において、育児や介護に係る制度・休暇等の利用状況は考課に含めないこととし、昇進・昇格にあたっては、能力等の適性のみで評価を行うこととしています。育児の経験により、マルチタスクのスキルが向上する等、能力を高めて戻ってくる職員も多いことから、育児休業明け早々に昇格する職員も複数います。

制度導入による効果等
人材を確保できているため、休暇取得者が増えても安定したサービスを提供

 医療、福祉の業界では人材確保が大きな課題ですが、プラチナくるみん認定取得により、地域の新聞等に掲載されたほか、当法人のWebサイトや求人票等にも積極的に掲載することにより、育児中の方からの応募が増えました。また、職員の満足度が高いため、職員からの紹介や、 職員を仲介した人材紹介会社からのリピートによる紹介も増えています。職員の定着率も高いため、優秀な人材を多数確保することができています。人員にかなりの余裕があることで、職員は休みたい時に休むことができますし、職員が急に休んだ時にも、患者さんにご迷惑をかけることなく、良質なサービスを安定的にご提供することが可能となっています。

今後の課題・展望
すべての職員の残業をなくしたい

 ここ数年で男性の育児参画、育児休業取得は当然のこととなりつつありますが、長期間取得する職員は多くありません。今後、男性も、長期間の育児休業取得を希望した場合には実現できるように、職場環境を整備していきたいと考えています。
 また、患者さんに良好なサービスを提供し続けるためには、 職員自身が自分の職場や仕事に誇りを持つとともに、職員同士が互いにしっかりサポートし合えるように、よりよい人間関係を構築していく必要があります。管理職を核として、より良好な人間関係のあり方を考えていきたいと思います。さらに、所定外労働時間について、ほとんどの人がゼロですが、救急医療を担う担当者等数名はどうしても、毎月一定程度の所定外労働が生じてしまっています。彼らの所定外労働もゼロにできるよう、今後仕組みを考えていきたいと思います。

制度利用者の声制度利用者の声画像

職場の期待に応えて、しっかり職場に貢献していきたい

精神科 精神保健福祉士 主任
溝端 由香里さん

念願の「オリーブガーデン」が利用できて良かった

 私は約4年前に当法人に入職し、1年ほどして妊娠しました。つわりがひどかったため、2か月休職させていただいた後、勤務を再開して、2016年9月から産前産後休暇、育児休業を取得しました。2017年10月に職場復帰し、育児短時間勤務制度を利用して、9時から16時の6時間勤務をしています。 子どもは事業所内保育園「オリーブガーデン」を利用しています。私は高松市内に在住していますが、市内は待機児童が出ていることと、職場内で託児できれば、何かあった時にはすぐに子どものところに行くことができ、保育園送迎の時間もかからないことから、妊娠中から、「オリーブガーデン」の利用を希望していました。そして、復職時に無事「オリーブガーデン」を利用することができました。ここを利用できて、本当に良かったと思っています。
 職場の方々は育児にとても理解があり、子どもが熱を出した時などには、「すぐに帰って良いよ」と声をかけてくれますし、とても子育てをしやすい環境であると感じています。年次有給休暇も取得しやすいため、ほぼ100%、使っています。

職場復帰後数か月で主任に昇格

 こちらの職場では、育児短時間勤務中もしっかりと仕事を任せてくれるので、とても嬉しく感じますし、その期待に応えたい、と思います。復職して数か月が経過した時、主任への昇格の話をいただきました。短時間勤務をしていることもあり、不安もありましたが、せっかくお話をいただいたので、 お引き受けすることにしました。実際に主任になってみると、短時間勤務で不在にしている時は職場の皆さんがサポートして下さるので、当初の心配は杞憂に終わりました。時間が限られている分、自分がやるべきことと、他の人に任せるべき仕事を意識して分け、他の人に任せるべき仕事はしっかりお願いするようにしています。
 職場の皆さんが私を信頼し、また、サポートして下さっていることに感謝しており、今後もこの職場に貢献していきたいと考えています。子どもの成長に合わせて、勤務時間も伸ばしていきたいと考えています。

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