女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2016年度

平成28年度 均等・両立推進企業表彰
厚生労働大臣優良賞 均等推進企業部門

DHLジャパン株式会社 (運輸業、郵便業)

女性従業員の昇進への不安を払拭し、キャリアの現状維持を希望していた者も含めてキャリア意欲向上の底上げに取り組んだ結果、女性の職域拡大・管理職比率の増加に成功

認定マーク

企業プロフィール

設立
1979年
本社所在地
東京都品川区
事業内容
国際エクスプレス業
従業員数
約1,700人
企業認定・表彰等
くるみん認定、均等・両立推進企業表彰

取組内容

女性活躍推進女性採用拡大女性職域拡大女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 女性従業員の昇進への不安を払拭し、キャリアの現状維持を希望していた者も含めてキャリア意欲向上の底上げに取り組んだ結果、女性の職域拡大・管理職比率の増加に成功

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取組の背景と経緯

 同社は「DHL」のブランドで書類・貨物を世界220以上の国・地域にドア・ツー・ドアで輸送する国際エクスプレスサービスを提供しています。グローバルに展開するドイツポストDHLグループの一員である同社では、 女性の活躍推進を喫緊の課題であると認識し、経営層による強力なサポートのもと、平成25年より女性活躍推進プロジェクト(Women in Leadership:WIL)を開始し、全社に活動を展開してきました。 女性の活躍を推進する組織として、人事本部内にWILオフィスを立ち上げました。あわせて、この女性活躍推進プロジェクトの活動に従業員の声を反映させるため、有志の従業員によるWILコミッティを結成しました。WILコミッティでは、第1期(平成26年)に19名、第2期(平成27年)には21名が参加し(うち3割程度が男性)、毎月開催される定例会議でのディスカッションのほか、分科会活動としてイベント開催やニューズレターの発行等を行っています。コミッティには、部署、役職、性別を問わず参加が可能であり、関西など東京以外の地域の勤務者も、電話会議等により参加しています。この活動を通じて、メンバー間の情報交換やネットワーク構築が進んだほか、モチベーションや意識向上にもつながっており、第1期活動メンバーのうち3名の女性が係長・課長に昇進しました。

女性の活躍推進(ポジティブ・アクション)のための具体的な取組内容

採用拡大

 女性からの応募を促すため、採用サイトや会社説明会、選考プロセスで社内で活躍している女性従業員を積極的に紹介しています。これらの取組により、平成26年にWILプロジェクトを開始して以来、採用者に占める女性比率は毎年上昇しており、平成27年の採用者に占める女性比率は41.1%でした。

職域拡大

 女性の職域拡大にも積極的に取り組んでおり、これまで女性比率が高くなかった部署にも積極的に新卒・中途入社者を配属しています。新卒入社者については配属後半年間、バディと組んでOJTを通して仕事のやり方等を伝えるほか、1か月半に1回は上司、人事担当者と面談の機会を設定することできめ細かくサポートし、職場への定着を促しています。職域拡大の取組により、これまで女性の少なかった職種の女性比率が向上しました。平成26年度と平成28年度の女性比率を比較すると、集配スタッフは5.8倍、荷物仕分けスタッフは2.2倍へと増加しました。

管理職登用

 全従業員を対象に女性活躍推進に関する意識調査を行ったところ、キャリアの現状維持を希望する女性の割合が高いことがわかりました。そこで女性のキャリア開発を目的として、経営陣をメンター、女性従業員をメンティーとした6か月間の メンタリングプログラムを実施しました。
 また、女性従業員を対象としたキャリア開発ワークショップを国内グループ会社3社合同で企画・開催し、ロールモデルの紹介やキャリア開発に関するワークショップを行い、管理職になることへの不安の軽減と、人生の転機に柔軟に対応できる考え方の習得を促進しました。このワークショップの満足度は非常に高く、また、参加者の96%にその後行動変容が見られたことから、今後も継続して開催することを予定しています。
 同社における人事異動・昇進は社内公募制度「JOBポスティング制度」によるものが主流となっているため、社内でのキャリアアップには本人の意欲が不可欠ですが、メンタリングプログラムを通じて、平成26年以降、4名の女性係長・課長が誕生するなど、上述のような取組の結果、キャリアアップを目指す女性従業員が着実に増加しています。平成26年度と平成28年度の女性管理職比率を比較すると、課長クラスでは1.5倍、部長クラスでは1.3倍となっており、女性の管理職比率が上昇しています。

取組上の課題等

 同社では、女性が活躍している職場であることを測る指標として、平成32年までに女性管理職比率を20%とすることを目標に設定しています(平成28年現在11.6%)。このため、今後も継続的に管理職を目指す女性を増やしていく必要があります。 人事異動・昇進を「JOBポスティング制度」によって行っているため、女性従業員の「やる気」を高めるような取組が重要であると考えています。そこでこれまでの取組に加えて、女性もより働きやすい社内環境を整備していくとともに、継続的に管理職を目指す女性を育成できるよう、タレントプールの構築に注力していく必要があると考えています。

今後の展望

 今後もより女性が活躍できる職場にしていくため、女性従業員が昇進・昇格への意欲を高められるよう、働きかけに注力していきます。また、性別を問わず働きやすい環境を整えるため、より柔軟性の高い勤務制度について検討を始めています。

受賞企業のコメント

人事本部
マネジメント・ディベロップメント
シニアエグゼクティブ
渡辺 千鶴子

 このたびは、大変素晴らしい賞を賜り、有難うございます。当社は人材の多様性が高い組織になることで人材の成長が促進され、それがビジネスの成長につながると考えています。多様性にも人種や宗教、性別など、 様々な意味での多様性がありますが、私たちが今取り組まなくてはならないと考えているのは性別の多様性です。2020年までに女性管理職率20%を目指しています。そのためにも、これまでの取組にプラスしてより女性が働きやすい文化の醸成とタレントプールの構成に力を入れ、女性社員のやる気を向上させていきたいと考えています。まだ道半ばの私たちですが、今回の受賞を激励ととらえ、これからも女性活躍を推進していきます。ありがとうございました。

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