女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2017年度

平成29年度 均等・両立推進企業表彰
厚生労働大臣優良賞 ファミリー・フレンドリー企業部門

株式会社東邦銀行 (金融業、保険業)

仕事と育児・介護の両立支援を手厚く整備し、人事部人材育成・ダイバーシティ推進課が中心となって、柔軟な働き方や生産性を意識した働き方に向けた取組を推進

認定マーク

企業プロフィール

設立
1941年
本社所在地
福島県福島市
事業内容
普通銀行業
従業員数
2,791人(うち女性1,477人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定、えるぼし(認定段階2)、均等・両立推進企業表彰、ダイバーシティ経営企業100選 / 新・ダイバーシティ経営企業100選

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援フレックスタイム制男性育児参画女性活躍推進

特徴的な制度・取組など

  • 仕事と育児・介護の両立支援を手厚く整備し、人事部人材育成・ダイバーシティ推進課が中心となって、柔軟な働き方や生産性を意識した働き方に向けた取組を推進

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インタビュー

  • 人事部副部長兼人材育成・ダイバーシティ推進課
    課長
    村上 将臣さん

取組の背景と経緯

 株式会社東邦銀行は、福島県内を中心に122か店を展開する地方銀行です。同行では、「従業員が輝く」を経営の基本方針とし、すべての行員が仕事と家庭の両立が図れるよう、まずは両立支援制度を拡充し、行員の継続就業に向けた取組を行いました。

 その後、フレックスタイム制度や朝型勤務制度等の働き方の柔軟性を高める制度を導入し、継続就業から全行員の活躍推進へと段階的に取組を進めてきました。同行では、15年程前から女性行員の活躍推進に向けた取組を開始し、近年は結婚や出産を機に退職する女性行員は着実に減ってきています。また、平成23年の東日本大震災以降は、震災復興のために働きたいという方の採用にも注力しています。平成27年3月に、女性行員やベテラン行員の活躍機会の創出や、仕事と育児・介護等との両立支援をさらに強化すべく、人事部内に専任部署(現、人材育成・ダイバーシティ推進課)を立ち上げ、職場環境の整備に向けた全社的な取組を継続しています。

 同行は令和3年に創立80周年の節目を迎えましたが、行員の将来の働き方を見据えながら、3年毎の中期経営計画策定で目標意識を持ち、継続して制度運用を行っています。

制度の具体的な内容

●育児関連制度

 育児休業制度は、子が満3歳に達する日(誕生日の前日)まで取得可能であり、育児休業開始後5日に達するまでは有給休暇として取得することができます。また、子が2歳に達する日までは分割取得を可能としています。同行は、平成28年1月に全部長、全支店長による「イクボス宣言」を実施し、現在は「男性行員の育児休業取得率100%」取組を推進しています。具体的には、育休業取得対象の男性所属長に人事部から育児休業取得勧奨を行う際に、「父親の仕事と育児両立読本(厚生労働省)」を案内するなど仕事と家庭を両立する男性行員がいきいきと活躍できる職場づくりの取組を継続した結果、男性行員の育児休業取得率は100%を実現しており、管理職として活躍する行員も育児休業を取得しています。

 また、同行では積立特別休暇(失効年休の積立制度であり、最大120日まで積立可能)を育児・介護等の目的で利用することができます。平成27年度には、この積立特別休暇を孫の育児のために取得することができる「イクまご休暇」を導入しており、これまで累計65名が利用しています。

●介護関連制度

 介護休業制度は、対象家族1人につき通算3年以内取得可能であり、分割回数の上限なく利用することができます。同行では、年に1度介護セミナーを開催していますが、休日に開催することで行員の家族も参加でき、家族全員で仕事と介護の両立について考える機会を提供しています。

●その他の制度

 短時間勤務制度は、同行が必要と認めた期間であれば、育児・介護に限らず、妊娠、私傷病、自己啓発、ボランティア等の事由でも利用することができます。1か月単位で申請可能(回数制限無し)であり、1日の労働時間を4時間、5時間、6時間、7時間および週4日勤務の中から選択ができます。柔軟な勤務制度の一つとして、平成27年4月から午前6時30分を始業とすることができる朝型勤務制度を導入し、行員の業務効率化とワーク・ライフ・バランスを推進してきました。平成28年8月には、フレックスタイム制度(コアタイム有)を全社で導入し、平成29年11月からは本部および全営業店の業務を対象にコアタイムを撤廃し、より柔軟性を高めた働き方ができる環境を整備しました。また、長時間勤務を抑制する目的から、勤務時間インターバル制度(11時間)も導入しています。これらの制度を導入する際の基盤として、全行員が多様な働き方を選択できるように、同行では仕事を属人化させないようにするとともに「1人3役」体制を整備し、休暇や急な事態に対応できるような体制を取っています。

制度導入による効果

 全行員が活躍できる職場を実現できるよう、両立支援制度の拡充を図ってきましたが、行員が自身の目的に応じて、上手に制度を活用していると感じる場面が増えてきました。目的に応じて個別の解決策を打ち出すのではなく、働きやすさや制度の選びやすさを重点に置いた全社的な取組が機能していると実感しています。そのため、ライフステージの変化によって退職する行員は減少し、女性総合職の平均勤続年数は14.6年(令和4年3月31日現在)となっています。当行は、女性活躍推進法に関する中長期的目標として「女性役席比率25%」を公表していますが、結婚、妊娠を経験した後、着々と実力を発揮し、主要ポストに就く女性行員も増えています。「キャリアを積もう」「役席を目指そう」とする行員が求められるスキルや要素を可視化しており、自らが選べる環境を整備しています。部店長、役員に続く女性が増えれば、さらに活性化していくだろうと感じています。

取組の課題と今後の展望

 「両立支援制度の拡充」に加え、全行員の能力発揮に向けた「働きがいの向上」、管理職によるマネジメント上の課題の解決等の「多様な働き方に向けた取組」の3つが好循環を生み出すよう、時代のニーズに沿いつつ全社的な視点から課題を解決することが重要だと考えています。

 ダイバーシティ推進における両立支援制度や、働きやすい仕組みについては既に整備されていると考えていることから、今後は「働きがいのある職場環境」へとシフトしていくことが重要であると考えています。「働きがいのある職場」で全行員が活躍し、組織としての成長し、それが福島県を中心とする地域への貢献につながると同行は考えています。

 そのために、働き方やキャリアの積み上げ方を行員自らが能動的に考え、選択できるような制度設計を企業として整えるといった考え方に変えています。将来的には、すべての行員が働き方やプライベートについて自律して考え、両立支援に関する取組がより行員主体のものへと変わっていくことが望ましいと考えています。働き方に限らず、あらゆる面においてダイバーシティを念頭に置き、従業員が輝ける環境を整備していきます。

制度利用者の声 制度利用者の声画像

総合企画部広報・社会貢献課
調査役
斉藤 桂さん

 「仕事は辞めずに続けたい、子どもも自分で育てたい」と思い、産前産後休業と育児休業制度を利用しました。

 当初は1年半ほど休業する予定でしたが、子どもとの時間を過ごしながら隙間時間でeラーニングで研修が受けられ、上司や同僚から定期的に連絡をいただいたこともあり、仕事と育児の両立への不安が解消され、約1年で職場復帰することができました。現在は時短勤務制度を利用して、9時から16時までの6時間勤務を選択しています。今後、慣れてくれば7時間に伸ばしたり、生活に合わせて選択・変更ができる点が良いと思います。限られた時間で集中して業務に取組むことができるのでメリハリのある生活が送れています。子どもの体調不良や急なお迎えにも、看護休暇、有給休暇が1時間単位で取得できるので助かっています。

平成29年度 均等両立推進企業表彰(2023年2月更新)

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