女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2017年度

平成29年度 均等・両立推進企業表彰
厚生労働大臣優良賞 ファミリー・フレンドリー企業部門

小田急電鉄株式会社 (運輸業、郵便業)

仕事と家庭を両立しながら継続的なキャリア形成ができるよう、ライフステージに応じた段階的な支援制度の設計と専用行路等の設定により、現業職の現場復帰を支援

認定マーク

企業プロフィール

設立
1948年
本社所在地
東京都新宿区
事業内容
陸上交通運輸業
従業員数
3,955人(うち女性349人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定、均等・両立推進企業表彰、ダイバーシティ経営企業100選 / 新・ダイバーシティ経営企業100選

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援テレワーク男性育児参画女性活躍推進

特徴的な制度・取組など

  • 仕事と家庭を両立しながら継続的なキャリア形成ができるよう、ライフステージに応じた段階的な支援制度の設計と専用行路等の設定により、現業職の現場復帰を支援

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取組の背景と経緯

 小田急電鉄株式会社は、東京都と神奈川県を通る小田急線を中心とする鉄道事業を核として、多様な事業を展開しています。同社の鉄道事業における現業職(運転士、車掌、駅係員等)は、事業の特性上、宿泊勤務を前提とした勤務体系となっており、平成11年に女性労働者の深夜労働が解禁になったこと を機に、平成14年度より女性の現業職の本格的な採用を開始しました。また、ライフイベントを経ても働き続けられる環境を整備するために、法定を上回る両立支援制度を拡充してきましたが、宿泊勤務を前提とする現業職において、短時間勤務制度を用いた復職は、復職後に業務が限定的となりモチベーションが維持しにくく、長期的なキャリア形成が難しい、という課題が出てきました。そこで、平成27年からは女性の活躍に主軸を置き、日勤専用行路の設定や段階的な支援制度の整備等により、中長期的なキャリア形成も視野に入れた多様な支援と職場環境づくりに取り組んでいます。

育児・介護関連制度

育児関連制度

 育児休業制度は、子が満2歳(事情により満3歳)に達する日の前日まで取得可能であり、失効年休の積立制度を利用することにより、最大50日間を有給化することも可能です。
 また、現業職(運転士、車掌、駅係員)の育児短時間勤務制度は子が小学校4年生修了まで、1日の労働時間を5時間または6時間から選択できますが、宿泊勤務を前提とする鉄道現業職では、短時間勤務の業務内容が限定的であった点を改善するため、業務シフトを大きく見直し、乗務員用の専用行路(短時間勤務でも乗務可能な行路)、 駅係員用の専用ダイヤを設定することで、業務に対する責任感ややりがいを創出し、短時間勤務者のモチベーションの向上に繋がっています。さらに勤務の特性を考慮し、子が中学校入学時まで月に約10回ある宿泊勤務のうち5回を上限として免除が可能であり、段階的な宿泊フルタイム勤務への復帰が可能となっています。これらの制度は、利用要件を満たしていれば何回でも変更可能であり、子が1歳になる前に育休から復職した社員に月額3万円を支給する「早期復職支援制度」も併せて、長期的視点で自身のキャリアを考え環境に応じて選択できる点を重視して設計しています。 さらに、ベビーシッター法人契約・ベビーシッター宿泊勤務補助制度により、宿泊勤務の際のベビーシッター利用料を補助しています。
 また、男性従業員の育児参画を促進するために、これまで2日間であった配偶者出産休暇(配偶者が分娩した場合、分娩当日から14日以内に有給で取得可能)を5日間へと拡充するとともに、未取得日数を有給として育児休業に充当することを可能としました。これらの取組により、平成28年度の男性の育児休業取得率は10.7%、平均休業日数は23日(管理職も27日間取得)となっています。また、配偶者出産休暇の取得率は9割超となっています。





介護関連制度

 介護関連制度の取得可能期間は、法律の定めを超えて、対象家族1人につき取得開始から3年以内です。また、同社の介護休業制度は「連続休業」に加え、月単位で予め休業する日を指定して取得できる「指定日休業」を独自に設けています。いずれも失効年 休の積立制度を利用することにより、最大50日間を有給化することが可能です。
 介護短時間勤務制度は30分を単位とし、1日最大3時間30分以内で労働時間を短縮することが可能です。
 また、これらの制度は要件を満たしていれば取得期間の変更や再取得を行うことができます。介護に関する情報発信、周知啓発のため、介護セミナーの実施、仕事と介護の両立支援ハンドブックの作成・配付等を行っているほか、相談窓口として、外部専門家による相談対応や遠距離介護の手続き代行等を行う介護コンシェルジュ(利用料は全額会社負担)を設置しています。

その他の取組等

 登録料や年会費を会社負担としているベビーシッター法人契約、病児保育に対するサポートとして、平日18時から22時までの間、テレビ電話やチャット等で小児科医に医療相談を行うことができる小児科オンライン(会社が全額負担) は男女問わず利用できる制度です。また、福利厚生ポータルサイト「小田急ワークライフサポートナビ」、「仕事と家庭の両立サポートハンドブック」等により、従業員への周知啓発にも注力しています。
 ワーク・ライフ・バランス実現のため、所定外労働時間削減目標(対前年度比5%削減)を立て、No残業Dayの導入、スマートフォンで社内メールやイントラを閲覧可能なシステム「CACHATTO」の導入、本社勤務員は始終業時間を4パターンから選択可能なシフト勤務の導入、プレミアムフライデー(対象日の年休取得促進)等に取り組んでいます。

取組上の課題等

 鉄道現業職は宿泊勤務が前提となっており、仕事に対するモチベーションの維持が難しい点が課題となっていましたが、現在では自身の環境を踏まえて、定期的に働き方を見直す風土や考え方の変化が起こり、スキル維持のため、月に数回程度宿泊勤務を行う社員も存在します。また、育児者の働き方だけを見直すのではなく、職場全体で制度を取得しやすい雰囲気を作っていきたいという思いから、 本社部門では対象者を限定せずシフト勤務を導入するとともに、管理職には1週間に1日終日の在宅勤務を認める在宅勤務制度を導入し、多様な働き方ができる制度が結果として働き方改革に繋がるなど、仕事と育児の両立施策を進める中で性別や環境に関係なく働きやすい環境となっています。
 また、これまでは特に現業部門で、短時間勤務制度利用者が少なく、制度利用者への周囲の理解が進まなかったことから、仕事と育児や介護を両立する従業員に対する職場の理解を促進するために、職場の労務管理を行う者を対象としたセミナーや、当事者と上司に向けた子育て支援のガイドブックを配付する等により、取組を進めています。

今後の展望

 仕事と育児・介護の両立支援施策については、継続して拡充を進めるともに、今後は年齢や性別等に加え、属性を超えた「あらゆる価値観や考え方、ライフスタイル、能力、経験」についてもお互いに認め合い、活かし合う風土を創るため、ダイバーシティ推進のための取り組みについても特に注力していきたいと考えています。そして、誰もが“いきいき”と働ける組織を目指して、今後も各種取組を進めていきます。

受賞企業のコメント

人事部
ダイバーシティ推進担当の皆様

 この度は、歴史ある大変素晴らしい賞を受賞することができ、大変光栄に存じます。
 当社は仕事と家庭の両立を実現するため、やりがいや責任感を持って働き、その力を存分に発揮して頂くために各種制度の整備を行ってきました。 今後は育児や介護だけでなく、異なる背景や多様な価値観を持つ社員一人ひとりの力をチーム全体で活かし、企業の更なる成長につなげるダイバーシティ&インクルージョンの考え方を社内に根付かせるとともに、これを支える新規施策の導入についても積極的に進めていきたいと考えております。人口減少やテクノロジーの急速な進展等による不確実性の高い社会においても企業が持続的な成長を続けていくには、誰もが“いきいき”と働くことが不可欠であるため、今後も社員一人ひとりが“いきいき”と働き、自らの力を最大限に発揮出来る環境の整備に全力で取り組んで参ります。

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