女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2018年度

小浜信用金庫 (金融業、保険業)

「職員満足なくして顧客満足なし」をスローガンに、全国初の事業所内学童保育施設の開設等、画期的な取組を展開

認定マーク

企業プロフィール

設立
1925年
本社所在地
福井県小浜市
事業内容
金融・保険業(信用金庫法に基づく金融業)
従業員数
96人(うち女性43人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定、えるぼし(認定段階3)、均等・両立推進企業表彰、ユースエール認定

取組内容

仕事と育児の両立支援再雇用制度男性育児参画事業所内保育施設女性活躍推進女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 事業所内保育施設及び事業所内学童保育施設、保育手当により、職員の継続就業と経済的負担をサポート。
  • 義務化に先駆け、子の看護休暇(有給)を導入。子ども1人当たり5日間に加え、職員1人当たり3日間付与し、子の看護のほか、学校行事やPTA活動等に利用可能。
  • 男性の育児参画促進にもいち早く取り組み、福井県で初のプラチナくるみん認定を取得。

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インタビュー

  • 理事長
    濱詰 健二さん(左)

    総務部 人事研修課 主査
    田邉 恵子さん(中)

    総務部 人事研修課
    下仲 宏恵さん(右)

取組のきっかけ・経緯
継続就業を支援するため、事業所内保育施設と全国初の事業所内学童保育施設を開設

 当金庫ではかつて、総合職は男性のみ、女性は事務職で窓口業務というように、男女で職域が片寄っていました。ある時、女性職員の中から外回りの営業職の業務をやってみたい、という声が上がったことから、2003年度に、総合職、事務職という職務コース別人事制度を撤廃し、能力を重視し、ダブルラダー型賃金体系(職能資格制度と役割等級制度を併用する賃金体系のこと)を導入し、男女問わず、意欲があれば昇進、昇格の機会を得られるようにしました。あわせて、男女ともに働き続けやすい職場とするため、両立支援の取組にも注力しました。法の義務化に先駆け 、2002年11月に子の看護休暇制度を導入し、導入当初から子ども1人につき5日間の休暇に加え、職員1人につき3日間をいずれも半日単位で取得可能としています(すべて有給)。子が中学校卒業まで取得可能で、子の通院等に加え、学校行事やPTA活動等でも利用可能です。
 男女共同参画の観点から、育児についても女性だけでなく男性も参画すべきと考え、2003年、当時の業務部長(現理事長)が、子どもが誕生する部下の男性職員に育児休業の取得を勧め、その男性職員が育児休業を1か月取得しました。また、当時は従業員数300名以下の企業は努力義務であった次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しました。これらの取組が評価され、2003年に均等推進企業表彰福井労働局長優良賞、翌年にファミリー・フレンドリー企業表彰福井労働局長賞、2007年に父親子育て応援企業表彰福井県知事賞を受賞しました。その後、2010年に従業員数300名以下の企業としては福井県初のくるみんマーク認定を取得し、2013年に2回目の認定を取得しました。2015年6月には、福井県内初、全国では3番目のプラチナくるみん認定を取得しました。
 両立支援の取組を進めた当時から、職員からは0~3歳までの子どもの保育料が特に高く、大きな負担となっている、との声が多くあったため、事業所内保育施設について検討していました。検討を進めていたところ、自社で運営する形でなく、外部委託での実施も可能であることが判明したため、2011年に業務委託により、北陸3県の金融機関としては初の事業所内保育施設を開設しました。あわせて、全国初の事業所内学童保育施設も開所し、地域の方にも利用いただいています。事業所内保育施設を利用する職員に対しては、保育費用の一部を助成するほか、こちらの施設を利用しない職員にも配慮し、子ども一人当たり一律8,000円/月の保育手当を支給しています。外部委託により企業の保育施設運営の負担を抑えるとともに、初の事業所内学童保育施設を開設する等の取組により、2011年、子ども若者育成・子育て支援功労者表彰「内閣総理大臣表彰」を受賞しました。

具体的な制度の内容
役員が全職員と面談し職員の状況を把握

 育児短時間勤務制度及び所定外労働の免除は子が小学校就学始期まで利用可能です。
 男性の育児参画を促進するため、対象者に対しては理事長が直接電話し、育児休業の取得を促しています。この取組により、2013年以降、対象者のうち約半数の男性職員が育児休業を取得しています。 また、配偶者出産休暇は配偶者の出産後3日間取得できる特別休暇(有給)ですが、導入した2009年度からの取得率は8割超となっています。
 2015年には、妊娠、育児、介護、配偶者の転勤等を理由とする退職者を、離職から8年以内であれば再雇用するジョブ・リターン制度を導入しました。
 男女ともに働き続けやすい職場環境とするため、所定外労働時間の削減及び年休の取得促進の取組を進めています。1か月単位の変形労働時間制を導入し、メリハリのある勤務をしているほか、ノー残業デー、早帰りデー、家族の時間デーを支店単位で設定しています。この結果、管理職を除く職員の月平均残業時間は2.1時間(2017年度)となっています。年休取得促進のため、誕生月の休暇取得促進目標として全職員5日以上、全体で50%以上を目標として掲げています。これにより、2017年度の全職員の年休取得率は51.7%となりました。 仕事と家庭を両立する職員への理解を促し、サポートしていくため、2012年度より管理職を対象として「理事長塾」を年2回程度開催し、イクボス養成の取組を進めています。また、毎年2回の考課面談においては、役員が全職員と面談し、職員の仕事や家庭との両立に関する悩み、キャリアの相談等を聞いているほか、「理事長メール」として、理事長と直接意見交換ができる仕組みを整備しています。
 さらに、1998年に女性職員の意見を集約する場として「女性会議」を立ち上げて活動を行ってきましたが、2003年に活動の見直しを行い、女性職員の働き方や意欲の向上、業務改善やサービス向上等について話し合う場として、年2回、女性職員を集めて活動を行っています。

制度導入による効果等
女性職員の勤続年数が飛躍的に向上

 仕事と家庭の両立を可能とする環境を整備したことで、多くの女性職員が妊娠・出産を経ても働き続けるようになりました。平均勤続年数は、2006年は男性18年0か月、女性9年9か月でしたが、2017年には男性18年5か月、女性15年1か月となりました。 また、育児休業から復職した女性職員のモチベーションも向上し、女性の営業チーム「A Z A L E A(アザレア)」では、女性の視点を活かした商品開発を行うなど、活動の領域が広がっています。女性管理職比率も向上し、課長相当職に占める女性の割合は、平成17年度は3.4%でしたが、2017年度末には26.3%まで向上しました。
 表彰の受賞やプラチナくるみんの取得等により、多くの学生が当金庫に関心を抱くようになり、優秀な人材の獲得に結び付いています。

今後の課題・展望
女性職員の更なる職域拡大に取り組みたい

 育児と仕事を両立している女性職員の中には、仕事も家事も育児も抱え込んでしまうことにより、積極的に上を目指さない職員が多くなりがちです。しかしながら、当金庫では、女性のお客様が圧倒的に多く、金庫業務の推進や経営の中核において、 女性の戦力は不可欠であると考えています。このため、イクボスの取組により、管理職が働く女性職員への理解を深めると同時に、人材育成に注力し、職員がそれぞれ、自ら考えて自ら行動に移せるよう、ボトムアップの取組も進めていく予定です。今後も、女性職員の職域拡大や上級管理職への登用に積極的に取り組んでいきたいと考えています。

制度利用者の声制度利用者の声画像

育児の経験から、よりお客様のお気持ちが理解できるようになりました

西津支店(2018年9月現在)
柴田 名央さん

職場の皆さんに温かくサポートいただき感謝しています

 私は新卒で当金庫に就職し、主に窓口業務を担当しています。2014年11月に第1子の産前産後休業及び1年間の育児休業を取得し、育児短時間勤務を利用して9時から16時勤務で復職しました。1年後、フルタイム勤務に戻しました。2017年6月から、 第2子出産のため産前産後休業を取得した後1年間の育児休業を取得し、2018年7月に育児短時間勤務制度を利用して復職しました。復職の際は、第1子、第2子とも、事業所内保育施設を利用しています。子どもは小さい頃にはよく体調を崩すため、子の看護休暇はよく利用しており、とても助かっています。職場の人たちもとても理解があり、子どもが体調を崩した時には「休んで良いよ」と声を掛けて下さるので、感謝しています。産休・育休が続き、職場の皆さんには大変申し訳なく思いましたが、支店長も、上司も、戻って来てくれさえすれば良い、と嫌な顔一つせずにおっしゃって下さったため、安心してお休みに入ることができました。

お客様のお役に立てるよう、もっと成長していきたい

 私は当金庫の仕事が好きなので、ここで育児と仕事を両立して働き続けられることは、とても恵まれていると感じています。二人の子どもを抱えての日々は慌ただしく、大変ですが、育児がひと段落したら、もっと勉強したいと思っています。
独身で子どもがいなかった時と比べて、お客様の人生に寄り添って、お悩みを理解できるようになりましたし、お話もしやすくなったと感じています。また、お子様連れのお客様にもどのようにお声がけすれば良いか、分かるようになりました。
これからも、少しでもお客様のお役に立てるよう、成長し続けていきたいと考えています。

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