女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2018年度

平成30年度 均等・両立推進企業表彰
厚生労働大臣優良賞 均等推進企業部門

株式会社新日本科学 (サービス業(他に分類されないもの))

女性のマネジメント能力の育成と「働くなでしこ委員会」による環境整備に取り組む。
取組の結果、試験責任者に配置される女性割合が増加。女性管理職も増加。

認定マーク

企業プロフィール

設立
1957年
本社所在地
鹿児島県鹿児島市
事業内容
医薬品開発の受託研究事業
従業員数
893人(うち女性450人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、えるぼし(認定段階3)、プラチナえるぼし、均等・両立推進企業表彰

取組内容

仕事と育児の両立支援事業所内保育施設女性活躍推進女性職域拡大女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 女性のマネジメント能力の育成と「働くなでしこ委員会」による環境整備に取り組む。取組の結果、試験責任者に配置される女性割合が増加。女性管理職も増加。

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取組の背景と経緯

 株式会社新日本科学は、昭和 32 年に日本初の医薬品開発の受託研究機関として創業し、前臨床試験の受託事業を中心に事業を拡大してきました。同社は、「環境、生命、人材を大切にする会社であり続ける」という企業理念のもと、女性の活躍推進に取り組んでおり、 「女性の継続雇用により、企業価値・競争力を向上させること」、 「すべての社員が輝きながら業務に専念でき、個々が成長できること」、 「女性管理職を増やすこと」を目標として、各種取組を進めてきました。
 同社では、女性の活躍推進に向けて、 まずは社長自らがダイバーシティ推進を宣言し、毎週開催される朝礼等の場で女性活躍に関するメッセージを発信し続けることで、職場の意識変革に取り組みました。そのうえで、女性の活躍をさらに進めるべく、平成 26 年に子育て世代、子育てが一段落した世代及び独身者から選出される「働くなでしこ委員会」を立ち上げ、全従業員向けのアンケートの実施等を通じて、女性活躍に係る課題を抽出し、解決に向けた取組や施策を検討しました。この委員会で検討した内容を取締役会に提案し、承認を得たものを人事部門が制度化する等、女性活躍に向けた積極的な改善・改革を実行しています。

女性の活躍推進(ポジティブ・アクション)のための具体的な取組内容

採用拡大

 同社では、入社時から女性従業員が管理職登用までのキャリアイメージをもって働くことができるように、ロールモデルとなる女性管理職が企業説明会等で説明を行うほか、 「くるみん認定」や「えるぼし認定」を取得し、女性が活躍している企業であることを学生に対して積極的にアピールしています。

職域拡大

 同社では、これまで女性が担当することが少なかった分野への女性従業員の配置転換を進めており、外部からの仕事を受託する「試験責任者」 (プロジェクトリーダー)という職務の女性割合を高める取組を実施しています。同社は、 この「試験責任者」職に就く女性比率を「平成 32 年までに 25% にする」という数値目標を設定し、受験要件を満たす研究職の女性従業員に対して試験を受けることを、推奨しています。また、万が一、試験責任者として困難な状況があれば、随時先輩の試験責任者等が相談に応じる等、不安なく職務を遂行できる体制を整備しています。
 こうした取組の結果、試験責任者に占める女性割合は、 18.2% (平成 28 年度)から 22.3% (平成 30 年度)に上昇しています。

管理職登用

 同社では、キャリアアップにつながるスキルを習得させるため、階層別の「マネジメント研修」に加え、社長自らが講師として年4回の合宿形式で次世代のリーダーを育成する「永田塾 予科生」、 「永田塾」および「永田大学校」を開催し、次のキャリアアップにつながるスキルを習得する 機会を各キャリアステージにおいて提供しています。また、管理職登用後の問題や不安等について他部署のメンバーと情報共有する機会として月次でランチセッションを企画しているほか、個別対応として定期的な面談を設定し、十分なフォローアップ体制を整えています。
 こうした取組の結果、係長クラスに占める女性割合が 27.3% (平成 28 年度)から 29.8% (平成 30 年度)に上昇し、課長クラスに占める女性割合も 20.8% (平成28 年度)から 23.3% (平成 30 年度)に上昇しました。また、平成 29 年 6 月には同社初の女性執行役員も誕生しました。

職場風土の改善

 同社では、 「制度や仕組みを変えても社員の意識が変わらなければ行動は変わらない」という考えのもと、社長から女性活躍をはじめとするダイバーシティの推進に関するメッセージを定期的に発信するほか、数値目標を設定し、 「えるぼし認定」等の国の認定制度に積極的にチャレンジすることで女性活躍に対するモチベーションを維持しながら各種取組を展開しています。
 女性従業員の仕事と育児の両立支援を目的として、平成 19 年 12 月に事業所併設託児所を設置( 4 年後には新築移転して定員を増員)したほか、柔軟に休暇を取得できるように半日休暇や 1/4 休暇を導入しました。さらに、女性の活躍を支援するための健康管理の取組として、婦人科系がん検診の導入、女性のためのヘルスアップセミナー、日帰り健康セミナー等を実施しています。

取組にあたって苦労した点・課題

 同社では、近年女性の管理職比率が着実に増加していますが、さらに増やしていきたいと考えており、将来的には、同社の従業員の男女比率と同等の 50% を目指しています。しかし、現在は管理職の候補となる40 代の女性従業員が少ない状況であるため、指導的立場に就く部長クラス、役員を継続的に増やしていくことが今後の課題です。
 また、全社的に育児休業取得後に復職する風土は醸成されてきましたが、男性従業員の育児と仕事の両立に対する意識改革についてはまだ十分ではないため、今後、男性従業員の育児休業取得者を増やしていくことが課題です。

今後の展望

 今後同社では、男性従業員の育児休業の取得者数を増やすことでイクメン、イクボスを着実に増やし、男性従業員の意識改革をより一層進めていく予定です。また、女性管理職候補者を育成するため、全女性従業員を対象としたワークショップを展開し、 早い段階から管理職を意識できる職場環境づくりを進めることとしています。あわせて、鹿児島県内に女性活躍の輪を広げるため、積極的な働きかけを引き続き行う予定です。
 同社では、全従業員が二人称、三人称の視点を持って互いに尊重し、互いを受け入れることで、個々の強みを生かし、継続的にイノベーションを創出しながら社会への責任を果たせる組織作りを今後も進めていくこととしています。

受賞企業のコメント

執行役員
長利 京美

 この度は大変名誉ある賞を受賞し、光栄に存じます。
 弊社は、約 20 年前から優秀な人材確保のために、理系女性の採用に活路を見出そうと考え、女性が働きやすい職場環境つくりのために現場の声を拾い、一つずつ改善を重ねて参りました。その結果、現在では、女性比率が 5 割を超え、 また、優秀な男性の獲得も可能となりました。
 また経営理念として「私も幸せ、あなたも幸せ、みんな幸せ」というスローガンを掲げ、トップ自らがダイバーシティ推進を宣言してメッセージを発し続けることで、自分の視点だけでなく、相手の視点、社会の視点を持つことの大切さを組織に浸透させたことが組織の意識変革を大きく推進しました。 今回の受賞は、関係者の皆様のご協力による官民一体の取組の成果と考えております。これを励みとして、なお一層の努力を重ね、社会全体に女性活躍の輪が広がるよう、微力ではございますが、引続き尽力いたしたいと存じます。

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