女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2016年度

株式会社長岡塗装店 (建設業)

従業員の相談に乗り、働き続けるために必要な制度や支援を整備しています

認定マーク

企業プロフィール

設立
1965年
本社所在地
島根県松江市
事業内容
建設業(塗装、建築等)
従業員数
26人(うち女性8人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、均等・両立推進企業表彰

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援男性育児参画

特徴的な制度・取組など

  • 従業員の相談に乗り、いきいきと働き続けるために必要な制度や支援を適宜導入
  • 働きやすさ、制度の利用しやすさに配慮し、フレキシブルな制度を設計
  • 育児・介護をしている人だけでなく、すべての従業員が公平に制度の恩恵を受けられるように配慮

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インタビュー

  • 常務取締役
    古志野 純子さん

取組のきっかけ・経緯

 当社では約20年前、若い従業員が入社して数年で辞めていくのを見て、このままでは会社が存続できないと考え、従業員が仕事に誇りを持って、長く働き続けるために行動を起こすことが必要であると考えました。特に、少子高齢化の問題は都市部より地方の方が深刻であり、せっかく当社に入社した若手の従業員がどうしたら定着するのか、いかにして育成していくか、課題を感じていた頃、ある若手の男性従業員から相談を受けました。その従業員は共働きでしたが、配偶者が運転免許を持っておらず、突発的な子どもの病気の際の通院付添いや保育園の費用等の負担が大きく、このまま働き続けることが難しい、という内容でした。たまたま両立支援に関する外部セミナーに参加し、そこで紹介されていた関連制度で当社が導入できるものはすべて導入し、従業員の子育てを支援することにしました。一方で、育児だけでは不公平だと考え、まだ社内からの介護に関する要望はない段階でしたが、介護に関しても同様に制度を拡充しました。また、全従業員に対して、当社の事業において必要となる技能士の国家試験及び各種資格取得を奨励し、その経費を負担することとしました。

 その後、2005年に当社で初めて、育児休業を取得する女性従業員が誕生し、その従業員の仕事と育児の両立を支援するために必要となる制度として、法定を上回る子の看護休暇制度や育児短時間勤務制度(次項で紹介)等を導入しました。以降も、従業員が当社で働き続けるために必要な制度を、必要性が生じた段階で都度検討し、できる限り十分なサポートができるように、多様な制度を導入するとともに、必要に応じて制度の見直しを行い、従業員がより働き続けやすい環境を整備しています。

子育て中の従業員を支援するための取組・制度等

 当社では、育児と仕事の両立を支援する制度として、子の看護休暇(高校卒業するまでの子1人につき5日間/年)は有給休暇とし、30分単位で取得できます。育児短時間勤務は小学校3年生終了まで利用可能です。始業・終業時刻の繰上げ・繰下げについては、子どもが小学校修了時まで、30分単位で1時間まで可能です。また、育児休業は3日間を有給とし、複数回の取得が可能となっています。特に、男性の育児休業取得を奨励するため、社内報による周知・広報を行っています。さらに、妊娠中、子育て中の従業員のために、休憩室を整備し、マッサージチェア、空気清浄器等の備品を整備しています。

 育児を費用の面から支援する制度として、本人及び配偶者の出産に際し、出産祝い金として10万円を支給しています。また、認可・無認可を問わず、保育料の1/3を補助しています(病児・病後児保育費用含む)。さらに、20歳までの就学中の子1人につき、月10,000円の子ども手当を支給しています。

 介護についても同様に、介護休暇は有給で、30分単位で取得できるほか、介護サービス利用費用の1/3を助成する等の制度を導入しています。

制度導入による効果等

 従業員が長く、いきいきと働き続けられるように各種の制度を必要に応じて導入していった結果、従業員の離職率は低下し、若手の従業員も育ってきました。建設・塗装の業界では、従事するために必要となる国家資格等が多数ありますが、資格の取得には数年を要するため、従業員が長く働き、資格を取得しながら技術を向上させていくことが不可欠です。また、そうやって育成した人材には、長く働き続けてもらうことが一層重要です。従業員の定着が進んだ結果、有資格者が増え、業務品質も向上し、業務の面でも多くの表彰を受賞することができました。

 また、当社の両立支援の取組が評価され、メディア等に掲載された結果、当社を志望する人が増え、優秀な人材を獲得できるようになりました。学校からの推薦も増え、これまでいなかった女性の現場社員も数名活躍しています。

 従業員のワーク・ライフ・バランスに配慮し、休暇取得を進めた結果、地域のお祭りや行事、消防団等に参加する従業員が増え、地域活動も活発になりました。
 働き続けやすい環境の整備とあわせ、これらの外部からの評価を受けて、従業員のモチベーションも向上しています。従業員それぞれが、自分の仕事に責任を持って注力した結果、現場での業務品質のみならず、原価管理等においてもパフォーマンスが向上し、同業者における全国の経営健全度ランキング(「全国仕上げ行専門業者経営健全度ランキング 2015年」)においてもベストテンに入る等、多方面で成果が出ています。

今後の課題・展望

 今後、育児や家族の介護等、さまざまな制約をもつ従業員は増えてくると思いますが、どのような人であっても働きやすく、働き甲斐のある会社にしていきたいと考えています。

 これは、いろいろな制度をたくさん利用できる会社、ではなく、皆が工夫することにより、楽しく働き続けられる会社が望ましいと考えています。このためには、従業員一人一人が自分以外の他人のことを考え、それぞれ自立していることが大切であると考えています。

 また、今後は育児についても、より男性の参画を進めたいと考えています。ちょっと参加するというのでは、育児にはなりません。当事者として育児することができるよう、会社としても必要な支援をしていきたいと考えています。

制度利用者の声 制度利用者の声画像

育児も介護も、手厚いサポートと相談できる
方々がいるので安心して働き続けられます

総務課
有本 裕子さん〈左〉

竹下 希さん〈右〉

困ったらいつでも相談に乗っていただけるのでとても安心です。(有本さん)

 私は2006年に当社で初めて産前・産後休業、育児休業を取得しました。育児休業を10か月取得した後、短時間勤務制度を利用して復職しました。復職後の働き方については、常務にいろいろと相談をさせていただいた結果、お昼休みの時間を少しずらして、その間に近所にある実家に戻って子どもの面倒を少し見る等、柔軟な勤務をさせてもらいました。その後、2009年に第2子が生まれ、産前・産後休業と11か月の育児休業を取得し、短時間勤務で復職しました。常務には、勤務時間や、子どもの急な体調不良の際の仕事の対応等、いろいろと相談させていただき、その結果、いろいろな制度を導入していただきました。これらの制度を導入していただいたお陰で、仕事と育児の両立がスムーズできており、本当に感謝しています。また、会社として、サポートしてくださる気持ちがあることが、大きな安心になっています。保育料の補助等も、大変助かっています。

 今後は、介護の問題が出てくるであろうと思いますが、困ったら相談に乗っていただけると思うので、大きな不安を感じてはいません。

30分単位の看護休暇はとても便利です。(竹下さん)

 私は2006年に入社し、そのとき既に子どもが一人おりましたが、2010年に第2子を出産しました。そして、産前・産後休業と8か月の育児休業を取得後、フルタイム勤務で復職しました。

 入社した時点で、育児と仕事の両立を支援する制度は充実していたので、とても助かりました。特に、子どもの看護休暇は30分単位で取得することができるため、朝の診察で30分、病児保育の迎えのため終業時間前の30分、休む必要がある場合にも、合計1時間の休みで済むため、非常に便利で使いやすい制度です。1日休んでしまうと、仕事面でも影響がありますし、他の方にも負担がかかりますが、30分であれば、大きな負荷はかかりません。子どもが高校卒業時まで使えることも大きな安心です。また、通常の保育料や、病後児保育にかかった費用も補助を出していただけるのでありがたいです。

 私も今後、介護のことが気になっていますが、既に介護を経験されている方も社内にいらっしゃるので、先輩方を参考に、仕事と両立をしていきたいと考えています。

掲載年度:2016年度(2024年2月更新)

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