女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2016年度

グランコーヨー株式会社 (卸売業、小売業)

従業員全員が家族と過ごす時間を大切にし、ワーク・ライフ・バランスを保ちながら長く働ける職場環境づくりを

認定マーク

企業プロフィール

設立
1974年
本社所在地
神奈川県横浜市
事業内容
卸売業・小売業(学校教材、OA機器、事務用品等卸売他)
従業員数
23人(うち女性13人)
企業認定・表彰等

取組内容

仕事と育児の両立支援

特徴的な制度・取組など

  • 業務の閑散期である7~9月に土日を含めて連続10日間の休暇を設定。
  • 年次有給休暇は1時間単位で取得可能とし、就業時間中の中抜けについても柔軟に対応。
  • 地域の子育て中の女性などが働きやすいよう、パートタイムとして短時間、短日数から働ける環境を整備。

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インタビュー

  • 代表取締役
    大庭 公善さん

取組のきっかけ・経緯

 当社は学校教材や事務用品等を扱う商社ですが、学校向けの商品が中心であることから、卒業式や始業式のある3月、4月が一番の繁忙期である一方、夏休み期間である8月や年末年始は閑散期となり、繁閑の差が非常に大きいという特徴があります。このため、以前から閑散期に従業員全員が連続休暇を取得するようにし、メリハリのある働き方を実現してきました。また、子ども向けの教材を扱っている企業であることから、従業員の仕事と育児の両立やワーク・ライフ・バランスについて企業の理解や配慮がないのはおかしいと考え、従業員の仕事と家庭の両立をできる限りサポートしてきました。

 自社の取組や配慮が本当に従業員の働きやすさや子育てのしやすさにつながっているのか、十分な配慮がなされているかということに関して、指標や外部からの評価のようなものが欲しいと考えていた時、たまたま、横浜市が実施する「よこはまグッドバランス賞~働きやすく子育てしやすい企業」(※1)の表彰式に参加する機会がありました。当社でもいろいろな取組をしていたので、どのように評価されるのか知りたいと考え、平成25年度に応募したところ認定事業所として認定されました。それ以後、8年連続で同認定を取得することができています。企業の健康経営にとどまらず、働く従業員自身の健康管理にも着目し、あらゆる方面から社内制度を充実させるための取組を進めることとしました。

(※1)毎年、積極的な女性の活躍推進やワーク・ライフ・バランスの推進を図るために、女性も男性も働きやすい職場づくりを進める中小事業所を認定。

子育て中の従業員を支援するため取組・制度等

 既述の通り、繁閑の差が大きいこともあり、当社では7~9月に土日を含めて連続10日間の夏季連続休暇を導入しています。また、子育て中の女性が働き続けやすい環境を整備するため、主に請求や経理業務を担当するパートタイム勤務については、1日4~5時間、週3日間から勤務可能とし、子育てが一段落したら少しずつ勤務時間や日数を増やし、いずれはフルタイムで活躍できるようにしています。そして、子どもの授業参観や保護者会、家族の介護等、少しの時間で済む用事については、一時的な中抜けを認めることにより、柔軟に対応しています。年間20日間付与する年次有給休暇は半日単位で取得可能で、内5日までは時間単位年休として1時間単位で取得することができます。休暇や中抜けについては、原則として1週間前までに社内のスケジュール共有・管理ソフトに登録することにより、社内で情報共有を図っています。

 これまでは、セールス担当とパートタイムの内勤担当をペアにして業務をしていましたが、一方が休むとお客様にも迷惑がかかり、もう一方の従業員の業務も滞ってしまうため休暇の申し出をしにくい、といった従業員の声がありました。そこで、セールス担当と内勤担当を複数名から構成するチーム制とし、急な休み等の際にも他の人でカバーできる体制にしました。同時に、それぞれの仕事に対してサブ担当を定め、誰がその仕事をフォローするかを明確化しました。

 さらに業務の効率化のため、発注内容を共有するアプリを1年掛かりで制作し、注文内容を電子化して管理・運用できるようにしました。

 従業員の健康づくりのために、2022度から通常の法定検診に加えて歯科検診を実施し、従業員全員が受診しました。

制度導入による効果等

 「よこはまグッドバランス賞」で8年連続で認定を受けたことにより、求人募集をすると当社を志望する育児中の女性が大幅に増えました。離職率も低く、当社で長く働く人が増えています。

 また、チーム制としたことで、従業員同士のコミュニケーションが活発化し、社内全体が活性化しました。営業情報の共有等も積極的に行われるようになったことにより、営業活動も効率化され、売り上げが伸びています。1時間あたりの付加価値(=企業として時給)が2016年の1,973円から比較すると2022年決算時は2,976円、約34%向上しました。同様に正社員の平均年収も34%程度向上しています。

 加えてコロナ禍で、学校用品を扱う業態では考えられないと思われていた在宅ワークを採用しました。納品先である学校が休業していた間も先生たちは出勤されていたので、当社だけが在宅勤務をしても良いのかという、かなり大きな葛藤がありましたが、効率化と同時に「密にならないために健康面や衛生面の優先順位を高くする」という考えに至りました。

 スマートフォンで勤怠を記録できるようにしたり、在宅用PCを配布して会社のシステムにアクセスできるようにしたことで、直行直帰または在宅勤務を可能にしました。商品を積載して納品現場に向かう際も会社へ立ち寄る必要がなく、従業員の負担軽減に役立っています。

 従業員間のコミュニケーションの活性化や休暇取得時等のサポート体制の確立によって、チームだけでなく個人の生産性も高まりました。社内に風通しの良い雰囲気があり、和気あいあいとした関係の中で業務を円滑に行うことをお互いが心がけているため、勤続年数が長い点を見ても働きやすさを実感してもらえているのだと感じます。

今後の課題・展望等

 子どもの行事や看護等による休暇取得や中抜けは一般化しており、従業員の誰もが気兼ねなく休暇を取得できています。男性の育児休業取得を呼びかけているのですが、対象となる従業員が少ないこともあり、育児休業ではなく年次有給休暇を取得する従業員が多いのが実情です。しかし、当社は子ども向けの文具や教材を扱う企業でありますし、今後、男性の育児休業取得をより積極的に促していきたいと考えています。

 近年従業員の価値観は多様化が進んでいると感じます。組織も柔軟に変わらなければいけないと考えていますが、様々な価値観を持つ従業員が互いに理解し、同じ方向を向いて仕事をするためには、徹底的にコミュニケーションを図ることが必要です。勤続年数の長い従業員が多いということは、当然その間にさまざまなライフイベントがあり働き方のニーズも変化します。労働時間を増やす・パート社員から正社員へのキャリアチェンジなど、多様な価値観を持つ従業員が共有できる企業理念や考え方について、全ての従業員と徹底的に話し合う機会を持っていきたいと考えています。そして、従業員とのコミュニケーションを踏まえて、常に変わり続けられる組織でありたいと考えています。

制度利用者の声 制度利用者の声画像

子どもの成長に寄り添える
環境に感謝しています

営業部
佐藤 健明さん

多忙な前職から子どもの教育に関わる仕事へ

 私は2012年10月に当社に入社しました。前職は飲食店の店長として勤務していましたが、土日は出勤日となっており、非常に多忙な毎日を過ごしていました。2011年12月に第1子が誕生しましたが、職場は非常に多忙で、休暇も思うように取得することはできなかったため、せっかく誕生したわが子の子育てに十分携わることができず、もっと子どもと関わる時間が欲しいと考えて転職を検討していた時、当社の求人広告に「子どもの教育に関わる仕事」とあったため、興味を持って応募しました。

 2014年9月に第2子が誕生しました。そして、2016年4月にそれまで育児休業を取得していた妻が職場復帰したため、育児は夫婦で分担し、朝は私が二人を連れて保育園に登園していました。また、体調不良等による保育園からの急な呼び出しについても、妻と私の仕事の状況に応じ、私が早退することもよくありました。平日に開催される保育園の懇談会等にも積極的に出席しています。

 第3子が生まれ、小学生と保育園児のパパとなりましたが、直行直帰ができる体制に変わったおかげで、朝は子どもを送り出してから在宅で事務作業をして、直接納品先に向かえるので、時間的に余裕ができました。当社では、半日単位で年休を取得することができるため、子どもの行事等は半休を利用して参加しています。事前にチーム制の中で業務連携が取れますし、休暇の申し出はこれまですべて希望通りに、気兼ねなく取得できています。

家事育児は一通りできるようになりました

 前職では、土日やクリスマス、盆暮れ等、家族で一緒に過ごしたい時期は勤務日でほとんど休暇が取れなかったため、クリスマスや年末年始、夏休みの長期休暇を家族と一緒に過ごせるようになって、本当に嬉しく感じています。前職では、仕事:家庭のバランスは、9:1程度に感じていましたが、今では年間を通じてみると半々程度となっており、とても望ましいバランスになっていると思います。子どもの成長に寄り添いながら、今では家事育児はすべて当たり前にできるようになりました。趣味で続けているビーチバレーの練習がある日は、子ども3人を連れて出かけて、妻が1人の時間を持てるようにしています。このような環境で働けることに感謝しています。

掲載年度:2016年度(2023年2月更新)

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