女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2016年度

愛建電工株式会社 (製造業)

「イクメンレポート」の提出を促し、社外の男性の意識改革を推進

認定マーク

企業プロフィール

設立
1968年
本社所在地
愛媛県松山市
事業内容
製造業(オートメーションパーツ販売等)
従業員数
126人(うち女性33人)
企業認定・表彰等

取組内容

仕事と育児の両立支援女性活躍推進

特徴的な制度・取組など

  • 2007年に自社の今後10年、15年後の人口構成を予測して取組を開始
  • 育児休業からのスムーズな復職・継続就業を目的に各種の両立支援関連制度を整備し、取得後の復帰率は100%を維持
  • 配偶者のイクメンレポートの提出を条件に世帯主でない女性従業員にも家族手当を支給

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インタビュー

  • 代表取締役 専務
    高橋 拡行さん

これまでの経緯

 当社では以前、女性従業員は結婚や出産を機に退職するのが一般的でした。当社に限らず、この地域では大半がそうであったと思います。2007年に、当社の人口ピラミッドを作成し、10年後、15年後の人口構成を予測したところ、このままでは人材不足となってしまうため、女性従業員を含めた人材確保が非常に重要であることが判明しました。そこで、これを「愛建電工の2015年問題」ととらえ、「若年雇用」「女性の活躍推進」「シルバー雇用」を3本柱とする取組を開始しました。このうち、「若年雇用」、「シルバー雇用」は体制を整えて実施すれば実現可能でしたが、「女性の活躍推進」については、社内風土や考え方・意識の問題であるため、容易ではありませんでした。そこでまず、女性が出産後も働き続けることができることを示すため、両立支援関連制度を紙にまとめて示しました。そして、2008年に妊娠した女性に対して、退職せずに子どもを出産したら取りあえず復帰してほしいと説得し、何とか産前・産後休業、育児休業取得者第一号を迎えることができました。彼女はその後も仕事と育児を両立しながら継続就業し、以降は出産しても働き続ける人が増え、妊娠・出産による退職者はほとんどいなくなり、近年では育児休業取得後の復帰率は100%となっています。
 次の課題として、育児休業により1年以上休職してからの職場復帰は、ブランクが長すぎて現場感が失われてしまうということが問題になってきました。当社はベトナムにも工場がありますが、ベトナムでは育児休業は4か月~6か月程度が一般的であり、また、専務が以前滞在していた米国でも、早期復職が一般的でした。このため、当社でも希望する人が早く職場復帰できるように、と考えました。まずは事業所内保育施設の設置を検討しましたが、当社の規模では運営は難しかったため、地域で子育てをしていく仕組みを作ることを考えました。そして、2014年7月に地域における子育てや家庭と仕事の両立を支援する目的で、「特定非営利活動法人だんだん(以下、だんだん)」を立ち上げました。現在は拠点の統廃合等により閉鎖となりましたが、主に母親と子ども向けの教室やプログラム、及び従業員の子ども1人の保育を行っていました。

子育て中の従業員を支援するための取組・制度等

 当社では、できるだけスムーズに復職し、継続就業してもらうため、各種の両立支援関連制度を整備しています。子どもが1歳未満で復職した場合、週20時間勤務を選択することが可能です。その場合、1日の就業時間は自由に設定することが可能です。さらに、子の看護休暇(1人年間5日間、2人以上は10日間)は、時間単位で取得可能で、有給休暇としています。また、年次有給休暇はできるだけ自分のワーク・ライフ・バランス向上のために活用してほしいと考えているため、疾病休暇を1年当たり2日間設定しています。その他、本人の誕生日に取得できるバースデー休暇、勤続10年(1日)、20年(2日)、30年(3日)、40年(5日)に取得できるアニバーサリー休暇も導入しています。

 さらに、育児中の家庭を支援するため、家族手当(配偶者及び子どもを扶養している場合、配偶者15,000円、子ども1人3,000円。配偶者及び子どもを扶養していない場合、子ども:1人2,500円、2人5,000円、3人以上7,500円。シングルファザー、シングルマザーの場合は特別手当1万円+子ども:1人2,500円、2人5,000円、3人以上7,500円。)を支給しています。扶養していない配偶者に対しても、毎月イクメンレポートを提出することを条件に一定の支援を行っており、社外の男性に対しても意識改革を促しています。

制度導入や取組による効果

 各種の取組等により、表彰を受賞したり、メディアに掲載されたりする機会が多くなった結果、当社への入社を希望する人が増えました。特に2015年度は女性の応募者が増え、営業職を含む5名の女性を採用することができました。2007年に「愛建電工の2015年問題」を提起した際、目指す2015年の姿として、女性管理職及び女性営業職を増やしたいと考えていましたが、2015年に、当社初の女性課長が誕生するとともに、女性営業職も誕生したので、各種の取組が少しずつ実を結んできていると感じています。その後、女性営業職は当該営業部署の改変に伴い、現在は事務職として勤務していますが、女性課長は現在も活躍中です。

今後の課題等

 仕事と育児の両立支援については軌道に乗り、働きやすい環境づくりに努めていますが、若年層の採用や、介護離職が現在の課題となっています。仕事と育児の両立支援施策については、子どもは必ず成長しますし、一緒に生活しているので、必要な支援もある程度共通していますが、介護についてはケースバイケースであるため、どのような支援策が有効なのか等、これから考えて個々の事情に合った制度の見直しを進めていきたいと考えています。

制度利用者の声 制度利用者の声画像


総務部 経理課 課長補佐
小島 亜紀さん〈左〉

ワークライフバランス課 主査
入船 絵梨香さん〈右〉

働き続けて良かった(入船さん)

 私は当社に入社して12年目の2011年7月に第1子を出産しました。妊娠当時は、仕事と育児を両立させる事など考えたこともなく、また、同じ部署内にはそのような人はいなかったため、子育てしながら仕事を続けるということが全くイメージできず、退職を申し出ました。すると、専務から、「とにかく辞めないで、戻ってきてから考えてほしい」と言っていただき、翌年の4月、近所に保育園が開設するという幸運にも恵まれ、職場復帰しました。しかし、その夏には子どもが風邪をこじらせて1週間入院したり、それ以外にもしょっちゅう病気等にかかったため、復帰して1年目は仕事との両立はとても大変でした。子どもが1歳になるまでは、週20時間勤務とし、勤務時間はかなりフレキシブルに設定できたため、子どもの体調や仕事の状況等に合わせて勤務できました。1歳になってからはフルタイムで勤務しています。子どもが病気の時には、在宅勤務にしてもらったこともあります。

 2015年1月には第2子を出産しました。第2子の時には、産前産後休業・育児休業を取得して職場復帰することは既に当然のことと感じており、迷いはありませんでした。

 子どもが小さい時には頻繁に病気になるので、子の看護休暇はとてもありがたいです。また、女性が育児と仕事を両立させるためには、夫の理解・協力が不可欠なので、イクメンレポートの提出は、意識啓発として役に立っていると感じています。今では子供は二人とも小学生になりましたが、各種制度を活用しながら仕事と育児の両立ができています。

子育て支援の制度をフルに活用しました(小島さん)

 私は、入社16年目の2014年3月に第1子を出産しました。私が住んでいる地域では、4月の保育園入園児の募集を前年の10月から開始するため、生まれる前から申し込みをしていましたが、入園することができず、また当時は「だんだん」もまだ保育の仕組みができていなかったため、翌年の4月まで1年間育児休業を取得することとしました。業務の都合等により、子どもの保育園入園前に一時的に出勤することとなったため、子連れで出勤した時もありますが、職場内の人たちはとても理解があり、温かく迎え入れてくれました。そして4月からは無事保育園に入園することができ、フルタイムで復帰しています。

 保育園に預けて復帰して、一番苦労したのは、子どもの病気です。2歳になるまではとにかく頻繁に病気にかかり、復職後1か月で看護休暇は使い果たしてしまいました。その後も病児保育と年次有給休暇を使い、何とか乗り切りました。子供が小学校に入ってからも、周りのサポートも得ながら仕事を続けられています。

掲載年度:2016年度(2024年2月更新)

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