女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2017年度

株式会社シーボン (製造業)

高度な技術を身につけた従業員が再び活躍できるよう、ウェルカムバック制度を導入しています

認定マーク

企業プロフィール

設立
1966年
本社所在地
東京都港区
事業内容
製造業(化粧品の製造販売)
従業員数
733人(うち女性666人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、えるぼし(認定段階3)、プラチナえるぼし

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援再雇用制度男性育児参画短時間正社員制度

特徴的な制度・取組など

  • 出産や育児、介護などで退職した社員が、築いたキャリアを維持したまま再入社できるウェルカムバック制度を導入
  • 育児・介護事由等、又は60歳以上の場合に選択可能な、正社員のまま勤務時間を短縮できるショートタイム正社員制度により働き方の柔軟性を向上

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インタビュー

  • 管理部 人事課
    山下 日向子さん(左)
    白鳥 麻里子さん(右)

取組のきっかけ・経緯

 当社は「美を創造し、演出する」という企業理念を掲げています。「演出する」という言葉には、「女性の前向きで明るい生き方を応援したい」という思いが込められており、当社社員の約9割を占める女性社員が活躍できるような職場環境づくりに早期から取り組んできました。以前は、結婚や出産を機に退職する社員が多かったのですが、時代の流れとともにライフイベントを経ても働き続けたいと考える社員が増加しており、仕事と家庭の両立支援は優秀な人材を確保する重要な戦略となっています。

 2008年のマタニティ制服導入を皮切りに、それまで職場単位の運用で行ってきた両立支援を制度化していきました。2012年に高い技術を有する美容社員が、ライフイベント等で一度退職しても、再び働ける状況になった際に当社に戻りやすくするためのウェルカムバック制度を導入、そして2014年には正社員のまま勤務時間を短縮できるショートタイム正社員制度を導入するなど、「働くこと」「社会で活躍すること」をあきらめない制度づくりを行う一方、制度の周知・運用にも注力してきました。

 当社では、お客様に満足いただけるサービスをご提供するために、社員自身が仕事でもプライベートでも輝いてほしいと考えています。社員一人ひとりが育児や介護などのさまざまなライフステージに直面しても長く活躍し続けられるよう、多様な働き方を認め合える職場づくりに取り組んでいます。

具体的な制度の内容

 当社のウェルカムバック制度は、出産や育児、介護をはじめライフイベント等で退職した社員が、退職時のキャリアや処遇を維持しながら再入社することができる制度です。退職してから再入社するまでの期間は問いません。再入社の際には、各自のライフスタイルに応じて、正社員、ショートタイム正社員、パートタイムから選択することができます。ショートタイム正社員は、1日6時間勤務を週5日(週30時間勤務)の勤務となっており、短い時間でも正社員として活躍できるよう2014年に導入しました。ウェルカムバック制度を利用して再入社する場合には、ブランク期間を問わず退職時のスキルに紐づいた給与基準をスライドして適用します。正社員として再入社する際には、研修を受講する必要があり、住まいによっては宿泊を伴いますが、この研修には、再び働く自信を持ってもらうために、フェイシャリストとしての技術や知識をブラッシュアップするという狙いがあります。

 また、当社の店舗勤務の正社員はシフト制の勤務ですが、ショートタイム正社員及びパートタイムはシフト制ではなく勤務時間と勤務日を固定することもできます。育児や介護を担っている社員が仕事と家庭を両立しやすくするための配慮であるとともに、各店舗の責任者がシフトを組みやすくするための工夫でもあります。当社の多くの店舗では、一日や一週間を通じて繁忙の波があまり大きくないため、育児中で夕方以降や土日の勤務が難しい社員も、平日午前中の繁忙時間帯で活躍することができます。

制度導入による効果等

 2012年のウェルカムバック制度導入以来、現在は約100名の社員が再入社し活躍しています。年月をかけて磨いた高い美容の専門技術を有する社員が再入社し、即戦力として活躍してくれることは、人材確保の面で非常に有効です。さらに、旧知の社員が戻ってくることを、長く店舗に通っていただいているお客様が喜んでくださることもありがたいと感じています。育児が落ち着いた40代以降に再入社した社員が、子育て世代の勤務が難しい夕方や土日の繁忙時間帯をカバーするケースもあります。また、新卒や中途社員の採用時には、仕事と家庭を両立するための柔軟な制度やその実績について、質問を受けることが多くなりました。女性活躍推進の取組が認められ、「プラチナえるぼし」認定を受けたことも、アピールになっていると感じています。

今後の課題・展望

 近年は、「男性の育児参加促進」と「仕事と介護の両立支援」に注力しています。社員の女性比率が約9割の当社において、社員が活躍を続けるためには、パートナー等家族の協力が不可欠と考えています。社内で「男性育児だより」を定期的に発行し、男性社員本人や社員の配偶者がどのように育児に奮闘しているかを紹介しています。また、当社でも介護に直面する40~50代の社員が増えてきており、仕事と介護の両立支援は喫緊の課題です。社内報で、仕事と介護を両立している社員の働き方などを紹介し、不安を払拭できるような発信を行なっています。

 さらに、人生100年時代と言われる今、定年を迎えた後も働き続けられるよう、当社はセカンドキャリア支援についても、かねてより取り組んできました。現在65歳以上のベテランの社員は13名在籍しており、嘱託社員として第一線で活躍しています。当社では55歳以上の社員たちへ向けて今後も長く活躍していただけるよう、セカンドキャリア研修の実施をしています。研修においては、経験も世代も異なる仲間の世代特徴を理解し、同世代の仲間と交流する時間を設け、働くことに対する意識強化や社員同士の横のつながりを構築できるよう取り組んでいます。

 また、多様な働き方を推進する一方、職場にはさまざまな勤務形態の社員が在籍していますので、社員同士がお互いの立場を理解し合うことによる、働きやすい職場づくりが必要となってきます。当社では、家族をオフィスや店舗に招く「C’BONFamily Day」を開催して、社員同士がお互いの環境や立場を理解し、お互いをサポートし合えるような職場風土づくりを目指しています。今後とも様々な世代の社員一人ひとりが輝きながら活躍し続けられる職場づくりを推進していきます。

制度利用者の声 制度利用者の声画像

やりがいのある仕事に戻りたくて、ウェルカムバック制度で再入社しました

フェイシャリスト
山﨑 未希さん

一度仕事を離れて、フェイシャリストの仕事が好きであることに改めて気づきました

 私は新卒で入社してから5年半、フェイシャリストとして勤務していましたが、夫が当社の店舗がない地域へ転勤になったためやむなく退職しました。短期で別の仕事に就き、出産後は育児に専念するなどして、3年間フェイシャリストの仕事から離れていました。関東地方に戻り、子どもが1歳を迎えたことを機に、ウェルカムバック制度を利用して3年2か月ぶりに再入社しました。現在はパートタイムとして、1日6時間半、週5日の勤務をしています。再入社を決めたのは、退職後別の仕事をしましたが、フェイシャリストの仕事ほどのやりがいを感じられず、改めて、フェイシャリストの仕事が好きで、お客様と家族のように近い距離で接することができることにやりがいを感じていたということに気付いたからです。

 仕事と家庭を両立しながら活躍している先輩方を身近で見てきたので、私も育児をしながら働くことが自然にイメージできました。パートタイムで産前産後休業や育児休業を取得している先輩方が多数いることも、とても心強く感じています。再入社してからは、保育園の送迎に合わせた勤務時間や、土日祝日を固定の休日とするなど、仕事と家庭の両立がしやすいよう職場で配慮していただいています。また、子どもの病気などで急にお休みをする時もありますが、職場のみなさんに温かく助けていただいています。

やりがいのある仕事を続け、キャリアアップしていきたい

 再入社後、今までのキャリアを活かして仕事ができることにとても満足しています。長年店舗に通ってくださるお客様に信頼していただき、お役に立てることが私のやりがいになっています。一度退職しフェイシャリストの仕事から離れたことで、 「誰かの役に立ちたい」という思いがより一層強くなりました。仕事をすることで社会とのつながりができ、子どもにも優しく接することができるようになったと感じています。また、夫も私の仕事を応援し、家事や育児を積極的に分担してくれていることも励みになっています。今後は、仕事と家庭を両立しながら、いずれは正社員に戻り、キャリアアップを目指していきたいと思います。

掲載年度:2017年度(2024年2月更新)

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