女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2017年度

健祥会グループ (医療、福祉)

退職理由を限定しない柔軟な再雇用制度を通じて、即戦力となる人財を確保しています

認定マーク

企業プロフィール

設立
1979年
本社所在地
徳島県徳島市
事業内容
介護、福祉、教育、保育、 医療業
従業員数
2,940人(うち女性2,009人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、えるぼし(認定段階3)

取組内容

仕事と育児の両立支援仕事と介護の両立支援再雇用制度女性活躍推進

特徴的な制度・取組など

  • 退職理由を育児・介護に限定しない再雇用制度を設け、個々に判断し、柔軟に再雇用を実施。
  • 高齢者福祉から障がい者福祉、幼児教育、人財育成まで、グループ全体での幅広い事業と地域展開を活かし、職員一人ひとりの柔軟な働き方を可能な限り実現。

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インタビュー

  • 業務執行理事
    常務理事
    中村 晃子さん

取組のきっかけ・経緯

 健祥会グループは、介護・福祉、そして教育・保育に携わる事業者として、「利用者ニーズに応える」「上司・部下・同僚に応える」「地域のニーズに応える」を3つの行動指針に掲げ、利用者へのサービス、職場環境の整備、地域への貢献に取り組んでいます。そのために、性別も職種も国籍も家庭環境も異なるさまざまな職員が、何の区別も縛りもなく柔軟に働き、それぞれの能力を最大限に発揮できるような職場づくりを進めています。

 私たちの事業は「人」が「人」に向き合う仕事ですから、「福祉は人 人は心」を会是とし、「人財」を大切にしています。もともと女性が多く働いてきた福祉や保育の現場は、女性の活躍なしには立ち行きません。設立当初から当グループには、性別や年齢の区別なく、無理なく長く働き続けてもらうために、家庭と仕事の両立を支援する職場風土が育まれてきました。現在、グループ職員全体のおよそ70%が女性、管理職における女性の割合も45.8%にのぼります。女性の育児休業取得率は、正規・非正規ともに100%で、育児休業後の職場復帰率は100%です。また、すべての職員に、やる気や能力次第で施設長や管理職へとキャリアアップしていく道が開かれています。

 介護・福祉業界では人材不足が恒常的な悩みです。良い人財に長く勤めてもらうために、当グループでは、職場環境の充実を図るとともに、やむを得ぬ理由で退職した職員の再雇用を行ってきました。そして現理事長となった2013年8月から、明確に制度として位置づけ、再雇用を推進しています。

具体的な制度の内容

 当グループの再雇用制度は、退職理由を育児・介護に限定せず、やむを得ぬ理由で退職したすべての職員に適用され、成否や条件は、本人の在職中の経験、実績、および待遇、離職後の経験、保有資格等を考慮して、個々に判断されます。また、専門性を広げ、磨くために他の職場にチャレンジしたケースでも、これをスキルアップ、キャリアアップのための素晴らしい経験であると捉え、こうした職員が再びグループで活躍してくれることを期待し、直接声をかけたり、ホームページでも再雇用制度があることを広報しています。グループ全体での退職者の再雇用実績は、2019年4月~2022年3月末で計133人です。

 実は、育児や介護を理由とする離職はそれほど多くはありません。育児・介護は当グループの本業であり、専門職であることを生かして、在宅介護サービスの利用と自宅での介護を上手く調整しながら仕事を続けている職員もいます。また、短時間勤務制度の利用者も多く、それぞれの事情に応じて柔軟に、早出・遅出の勤務シフトを組んでいます。

 さらに、4社会福祉法人1医療法人から成り、多くの事業所を抱える当グループでは、法人を越えての対応も可能です。職員の事情に合わせて勤務地や業務の内容を変えることもできるため、かなりの柔軟性を持って相談に応じています。中には、配偶者の転勤に伴い、他県所在の施設に異動して、働き続けてくれている職員もいます。1日4時間だけなら働ける、農業をやっているので閑散期だけ働きたいなどといった希望にも、地域の人財活用という観点からできる限り対応しています。まずはパートタイム・有期で働いてもらい、本人の事情が解消されて正規職員として働ける状況になれば、スキルや資格に応じて、非正規雇用から正規雇用への転換も行っています。2021年度、グループ全体で22人が、パートから正規へと雇用転換しています。

制度導入による効果等

 再雇用制度を通じて戻ってきた職員は、グループへの理解が深く、円滑に職場に復帰し、頼もしい戦力になっています。引き続き、これまで以上に再雇用を推進していきたいと考えています。

 企業風土として設立当初から年齢や性別の壁のなかった健祥会グループ。女性に対して特別な待遇や取組を実践してきたわけではありませんが、子育てに優しい職場環境づくりに積極的に取り組む企業として、グループ内の社会福祉法人健祥会および緑風会は、徳島県の「はぐくみ支援企業認証」を受けています。さらに2017年4月には、徳島県内で初めて、女性の活躍推進が優良な企業として「えるぼし」認定を取得しました。

 今後も仕事と家庭を両立しながら意欲を持って働ける職場づくりを推進し、頑張る職員を力強く応援していきます。

今後の課題・展望

 健祥会グループでは、女性職員の育児休業取得率をはじめ、女性の活躍に関して高い数値を誇っていますが、家事も育児も女性だけがすべき仕事ではなく、ワーク・ライフ・バランスの実現のためには男性の育児支援が欠かせないと考えています。今後、まだまだ少ない男性職員の育児休業取得や短時間勤務制度の利用を促し、組織をあげて男性の育児を後押ししていく方針です。

 また、職員が心身ともに健康で気持ち良く働き続けられるよう、健康増進のために積極的に投資する健康経営を推進しています。人間ドック受診費用の補助やメンタルヘルス対策、事故防止のためのリスクマネジメントなど、健康で安全な事業所づくりを進めていますが、2016年度にはこれらの取組が認められ、全国健康保険協会から「優良健康づくり事業所」として認定されました。

 介護業界は決していいイメージばかりではありませんが、職員のワーク・ライフ・バランスや健康管理の取組を進め、そのイメージを変えながら、多様な人財が期待と希望に満ちて集まってくる業界にしたいと思っています。

制度利用者の声 制度利用者の声画像

頑張ったら頑張った分だけ認めてくれる
~離職したことで良さを再認識

社会福祉法人健祥会 特別養護老人ホーム 健祥会たんぽぽ
管理栄養士
難波 由佳理さん

子どもの看護のために退職、その後も常に声をかけてくれました

 私は2001年に、健祥会グループの老人保健施設に専門職(管理栄養士)として入職しました。その後、育児休業を2回取得し、2人の子どもを育てながら働いていましたが、子どもの看護に専念する必要に迫られました。休職を奨められたものの復帰の時期が見通せなかったこともあり、2010年にいったん退職しました。退職後も、管理栄養士としての勉強を続けていましたが、研修の場などで前理事長にお会いする機会には「いつでも帰ってきなさいよ」と声をかけていただいていました。子どもが2人とも中学生になったのを機に、2017年2月に特別養護老人ホームに復帰し、現在、施設利用者様の栄養管理を担っています。

親としてしっかり仕事をしている姿を子どもに見せたい

 一度退職してみて、あらためて健祥会グループの良さを知ることができました。まず、介護の最先端知識や技術をいち早く得ることができます。そしてみんなで切磋琢磨して学ぶことで、仕事に取り組む気持ちも自然と変わり、成長してゆくことができます。また、頑張ったら頑張った分だけ、管理職や施設の人たちが見てくれており、ちゃんと評価してくれるので、仕事へのモチベーションが高くなります。ある機会に、「電話対応一つにしても違う」と評価していただいたときには、人との接し方、社会人としての常識や基礎となるものを、健祥会グループで教えていただいたということを再認識し、感謝したものでした。

 現場に復帰し、専門職として失っていた自信を取り戻すべく、この一年はひたすら目標に向かって頑張っていますが、その頑張りを見ることで子どももまた、成長していると感じています。親としてしっかり仕事をしている姿を子どもに見せられる今を、とても嬉しく思っています。

掲載年度:2017年度(2023年2月更新)

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