女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2024年度

社会福祉法人篤豊会 (医療、福祉)

従業員が働き続けたいと思える環境づくりを進めて、将来の管理職を育成

認定マーク

企業プロフィール

設立
1977年
本社所在地
石川県加賀市
事業内容
医療、福祉
従業員数
780人 (うち女性 620人)
企業認定・表彰等
えるぼし(認定段階3)、プラチナえるぼし

取組内容

女性活躍推進

特徴的な制度・取組など

  • 女性のライフステージに寄り添った、短時間勤務制度や時間単位の有給休暇取得制度等の導入
  • 管理職へのインセンティブを増やす新たな手当の導入
  • 自己研鑽を後押しする奨学金代理返還制度の導入

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インタビュー

  • 本部事務局
    宮下 道明さん

取組のきっかけ・経緯
女性従業員の活躍推進を法人内の課題として認識

 当法人では、福祉業界の中でも特に女性従業員比率が高く、女性が約80%を占めています。そのため、女性が働きやすい、活躍しやすい職場づくりを法人内の課題として考えてきました。また、従業員からも「仕事と家庭を両立したい」という意見が増えており、そういった要望に応えるためにも、女性が活躍しやすい職場づくりは重要な取組であると考えています。

 さらに、当法人の理事長が女性であり、実際に家庭と仕事の両立に苦労した経験を持っていたことも、取組が進んだ理由の1つです。当法人では、女性活躍推進につながる取組を優先的に進めるべく、従業員の声を反映しつつ、トップダウンで取組を推進しています。

具体的な取組の内容

女性のライフステージに寄り添った制度の導入

 女性従業員の中には、ライフステージによって働き方を変化せざるを得ない場合があり、そういった変化に寄り添った支援を進めています。具体的な取組として、従業員一人ひとりが出退勤時間を調整可能な短時間勤務制度を導入しており、所属部署と相談しつつ、時間単位に縛られない、希望に沿った勤務時間の設定が可能です。また、有給休暇についても、時間単位で取得が可能であり、従業員の希望に応じて分散させた取得も可能です。このような取組は、働き続けやすい職場環境の整備につながり、将来活躍する従業員の確保とともに、従業員間のワーク・ライフ・バランスの相互理解につながっています。


管理職に対して新たな手当の導入

 福祉の業界では、管理職となったことで業務管理の仕事が増えて業務負担が上がるものの、夜勤業務等がなくなることでかえって給与が減る場合があります。当法人でも、それにより管理職へ昇進することを好意的に考えない従業員が増えていました。そのため、当法人では管理職昇進に対するインセンティブを増やし、ネガティブなイメージを払拭することを目的として、わかりやすく管理職手当を導入し、給与のベースアップを実施しています。


従業員の自己研鑽を後押しする奨学金代理返還制度の導入

 当法人では、管理栄養士や介護福祉士といった有資格者の人材確保が課題となっています。そのため、従業員の奨学金返済に関する精神的、身体的な負担を軽減し、キャリアアップや資格取得等の自己研鑽に取り組んでもらいたいという考えから、奨学金代理返還制度を導入しました。本制度は、当法人が定める一定の資格を取得している場合に奨学金の代理返還が可能となるもので、新卒採用、中途採用にかかわらず、全ての正規職員が対象です。

 本制度は、従業員とのコミュニケーションの中で着想を得て検討が始まり、導入に至った例です。当法人では、このような従業員のワーク・ライフ・バランスを踏まえた制度の拡充も併せて進めています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
従業員の職場環境の満足度が向上

 女性活躍に関する取組の効果として、女性従業員の勤続年数は年々増加しており、令和元年度の9.4年から、令和5年度には11.6 年に上昇しています。また当法人では、通常の採用ルートに加えて、従業員の紹介による入社も多く見られます。これは福祉業界全体の課題であり、当法人の課題でもある人材確保にポジティブな影響を与えています。このような影響は、当法人で働く従業員が一定の満足感を感じていることを示しており、当法人で働き続ける人材を増やし、将来の管理職候補の育成につながると考えています。

今後の課題・展望
男性従業員を含めたさらなる人材育成

 当法人では、これまで従業員のライフステージの変化に柔軟に対応し、従業員が働き続けやすい職場づくりを進めてきました。特にこれまで女性従業員の働く環境の支援に注力してきましたが、今後は女性、男性にかかわらず、従業員が活躍できる仕組みづくりを進め、将来の管理職候補の育成に力を入れていきたいと考えています。

従業員の声 制度利用者の声画像

法人内の「お互い様文化」、「助け合う文化」に支えられました

看護師
黒宮 愛恵さん

理事長や施設長の推薦を受け、看護師長の立場に

 2004年に看護師として入社し、これまでの複数回の出産を経験しています。その都度、産前・産後休業や育児休業、短時間勤務制度を利用しました。2016年から看護師長として、現場を管理する立場となり、現在に至ります。看護師長になる際には、育児との両立や業務への負担から引き受けるかどうかとても悩みましたが、看護師の仕事に使命感をもって働いていたため、理事長や施設長から推薦いただいたうれしい気持ちが強く、引き受けることにしました。看護師長として短時間勤務制度を利用し、出退勤時間を変更してもらうことで、これまで働き続けることができています。

 当法人では、長く働き続けている従業員の方が多く、過去にこのような制度を利用した方も多いため、誰かが制度を利用する際には、「お互い様文化」、「助け合う文化」が根付いていると感じています。そのため、従業員が制度を利用しやすい風土があり、私も他の従業員に制度の利用を勧めています。

今後のキャリアについて

 これまで働く中で、ケアマネージャーの資格を取得し、特別養護老人ホームでの業務や在宅看護での業務等を経験しました。同じ業務だけではなく、幅広く福祉について学ぶ機会を与えてくれた法人にはとても感謝しています。今後はその経験を活かし、法人全体の新規採用者への新人研修や従業員の施設内の定期研修の講師として人材育成に関わり、法人に貢献したいと考えています。

(データの取材時点:2024年12月)

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