女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2024年度

株式会社第四北越銀行 (金融業、保険業)

女性の人財育成を強化して2030年目標の達成を目指す

認定マーク

企業プロフィール

設立
1873年
本社所在地
新潟県新潟市
事業内容
銀行業
従業員数
4,176人 (うち女性 2,283人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみんプラス認定、えるぼし(認定段階3)、プラチナえるぼし、均等・両立推進企業表彰

取組内容

女性活躍推進 女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 「女性活躍推進プログラム」により女性の次世代リーダー育成を目指す
  • 多様性のある経営人財の育成に向けて「女性取締役育成プログラム」を開始
  • 「TSUBASAクロスメンター制度」を活用し、新たな価値観や発想につなげる

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インタビュー

  • 人事部 兼
    第四北越フィナンシャルグループ
    人的資本戦略部 DE&I推進室 室長
    大倉 浩美さん
    上席調査役
    髙橋 瑞穂さん

取組のきっかけ・経緯
合併と同時に女性活躍推進を再スタート

 当行は、2021年に第四銀行と北越銀行が合併して誕生しました。第四銀行と北越銀行では合併以前からさまざまな女性活躍推進の取組を行っていましたが、合併を機に、第四北越フィナンシャルグループ内の企業が一体となって女性の活躍推進を再スタートさせ、現在、主に「女性活躍推進プログラム」と「女性取締役育成プログラム」の二本立てで、女性従業員の活躍推進に取り組んでいます。

具体的な取組の内容

「女性活躍推進プログラム」を通じ、管理職層への登用に向けて女性を育成

 当行では2021年から、リーダーに求められる意識やスキルを身に着けることを目的として「女性活躍推進プログラム」を実施しています。本プログラムは募集型であり、参加対象者は年齢を問わず主任以上の女性です。期間は1年3か月で、主な内容として「キャリア研修」「外部研修」「オンライン学習ツールによる自己学習」「個別キャリア面談」があります。

 「キャリア研修」は、外部専門家を招き、参加者各人のこれまでの仕事経験からキャリアビジョンや強み・弱みを明確にして、具体的なキャリア目標の設定やリーダーシップ力・思考力・企画力などの能力開発に取り組んでいます。

 「外部研修」では、新潟県内外の企業との合同研修を通じて異業種交流を行い、新しい価値観に触れる機会を提供するとともに、創造性の発揚や人的交流を促しています。

 「オンライン学習ツールによる自己学習」は、ビジネススクールが提供する経営に必要な知識やロジカルシンキング・デザイン思考などをいつでも動画で学ぶことができる自己研鑽メニューであり、育児や家事、趣味などと両立しながら自分のペースで学習できる環境を整えています。

 「個別キャリア面談」は、外部キャリアコンサルタントによる面談と人事部による面談の2種類があり、各参加者の今後のキャリアを一緒に考える機会を設け、希望するキャリアの実現に向けて後押しをしています。

 「女性活躍推進プログラム」を開始した2021年の参加者は15人でしたが、その後は参加希望者が増え、今年度は3期生として幅広い年齢・職位の25人が参加しています。主体性を重視したプログラムということもあり、研修では参加者が活発に発言するなど能動的な研修参加を通じた高い研修効果が得られているほか、プログラムへの参加をきっかけに支店長を目指すようになるなど意欲向上にもつながっています。


「女性取締役育成プログラム」を開始し、経営層への女性登用を促進

 2023年12月から、女性経営人財の育成の強化を目的として、「女性取締役育成プログラム」を開始しました。本プログラムは選抜型で、これまでのキャリア、マネジメント経験、保有スキルなどを踏まえて選抜し、経営人財に求められる知識・スキル・経験を身に付けるためのさまざまな機会を提供しています。現在、管理職を中心に約40名が参加していますが、随時選抜者の拡充を図りながら、経営人財としての意識改革など一歩踏み込んだ育成・支援を目指しています。

 「女性取締役育成プログラム」のカリキュラムは、実践を主体とするカリキュラムであることが特徴であり、「重要ポストへの戦略的配置」や「当社グループの会長・社長による講話とディスカッション」、「社外の女性経営者等による講話とディスカッション」、「未経験者が多い法人分野の研修」などの構成としています。

 「当社グループの会長・社長による講話とディスカッション」では、第四北越フィナンシャルグループの会長、社長からの講話のほか、当行グループの経営環境や経営戦略を踏まえたディスカッションを通して、経営人財としての資質の向上を図っています。

 「社外の女性経営者等による講話とディスカッション」は、業界を超えた知見を吸収して参加者の意識向上を図ることを目的としています。講師は県内外から招くとともに、民間企業の女性経営層に限定せず、これまでには新潟市の女性副市長による講演会も開催しました。

 「未経験者が多い法人分野の研修」では、コンサルティング事業部や審査部など本部専門部署へ一定期間トレーニー派遣することにより、ファイナンス案件の組成や企業審査業務などを実践的に経験する機会を提供しています。

 これらの課程を通じ、経営層に必要なスキルを習得するとともに、上位職への登用に向けた自信や意欲を高めることを目的としています。

 「女性取締役育成プログラム」はグループとしての新たな取組ですが、女性活躍推進プログラム修了者が女性取締役育成プログラムに選抜されるような好循環を生み出すなど、女性経営人財の育成と組織風土作りを加速させたいと考えています。


地方銀行の広域連携により新しい価値観や創造性を育む

 TSUBASAアライアンスは、千葉銀行、中国銀行、伊予銀行、東邦銀行、北洋銀行、武蔵野銀行、滋賀銀行、琉球銀行、群馬銀行、当行の10行が参加する地方銀行の広域連携の枠組みです。

 2022年より、TSUBASAアライアンス全行が参加し、「TSUBASAクロスメンター制度」の運用を開始しました。同制度は、将来の女性幹部候補のキャリア形成やリーダーシップ向上を目指す10行横断型のメンタリング制度であり、メンターは各行の役員、メンティは女性幹部候補で、必ず他行同士でマッチングします。

 オンラインによる面談を基本的に1年に5回以上実施しています。メンターが持つ知見をメンティが吸収したり、リーダーとしての視座向上を図るだけでなく、メンターにとっても、異なる価値観に触れる機会が新しい創造性の向上につながるなど、本制度はメンターとメンティ双方にとって非常に良い影響があると考えています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
「女性活躍推進プログラム」修了者から女性取締役が誕生

 次世代リーダーの育成という女性活躍推進プログラムの目的に対する成果としては、プログラムへの参加をきっかけに各人が自分らしいキャリアビジョンを明確にして、「銀行の支店長を目指す」「専門性を高めるために本部への異動やグループ会社への出向を希望する」など、参加者がキャリア形成において具体的な目標を持つようになっています。そして、本プログラム修了者からは、実際に支店長やグループ会社の社長など管理職層への登用者が輩出されています。現在、当行には女性支店長が18名いますが、そのうちの1名は女性活躍推進プログラムの修了後にグループ内で多様なキャリアの経験を積み、2023年6月に初めての女性取締役に就任しました。

今後の課題・展望
プログラム参加者の裾野を広げて、2030年目標の達成を目指す

 当行では、2030年までに女性取締役30%の達成に向けて、2026年度末までに女性部長職相当比率10%および女性管理職(代理級以上)比率27%の目標を掲げ、経営戦略と連動した女性活躍推進を目指しています。

 2024年7月にDE&I推進室が発足したこともあり、今後は、各種プログラムによる女性のキャリア開発に加えて、育児や介護・治療と仕事の両立支援施策の強化など、女性活躍推進を含むDE&I全体の推進に向けて積極的に取り組んでいきたいと考えています。

従業員の声 制度利用者の声画像

自分なりの管理職像を持ちながら柔軟にキャリアを歩む

人事部 兼
株式会社第四北越フィナンシャルグループ
人的資本戦略部 人的資本戦略室
外山 ひとみさん

自分にとってベストなタイミングでの女性取締役育成プログラムへの参加

 私は入行14年目で、最初の10年弱の間に3つの営業店に勤務しました。営業店では窓口業務、個人融資、法人融資等の業務を経験しました。2020年4月に人事部に異動してからは人財育成に関する企画業務を3年間担当し、現在は人的資本戦略室で人的資本関連の企画業務を行っています。

 当行では2023年12月から女性取締役育成プログラムを開始していますが、私自身も本プログラムに参加する機会を得て、これまでに社外の女性経営層による講義とディスカッションに3回参加しました。社外の女性経営層の方の講義を聞くことで得られた自分の意識の変化としては、管理職はこうあるべきだと構える必要はなく、個々人が自分なりの管理職像を持っていればいいと思えるようになり、管理職に対して前向きなイメージを持つようになりました。

 また、現在の業務では経営に近い環境で人的資本関連の会議の事務局を担当していますが、最近は重要な仕事を任せてもらえる場面が一層増えたように感じます。自分にとってはプログラムへの参加を通じて管理職に対するイメージが変わったタイミングと、担当する業務の幅が広がる時期がちょうど合い、相乗効果が生まれていると思います。


プログラムで得られたつながりを今後のチャレンジに活かす

 これまで女性従業員同士で管理職像や部下の育成等について具体的な話をする機会はあまりありませんでしたが、実際にプログラム参加者と話をする中で、管理職になりたいと思っている女性がこんなにいるということを知ったのは新しい発見でした。

 今は、一緒にプログラムに参加しているメンバーという連帯感が生まれたことで、お互いの興味、思っていること、登用試験の話、部下の育成に関する相談等を以前よりも気軽に女性従業員同士で話す機会が増えたと感じています。

 また、プログラムへの参加を通して新たな価値観に触れることやネットワークが広がることが、自然と自己肯定感を向上させ、業務への意欲向上やチャレンジにつながっていると考えています。これは自分だけでなく、他のプログラム参加者にも共通して言えるのではないかと思います。

 今後のキャリアについては自分自身で選択肢を狭めることはせず、置かれた環境で任された業務に精いっぱい取り組み、自分に向いていることなど自分自身の新たな面を発見しながらキャリアの幅を広げていきたいです。

(データの取材時点:2024年12月)

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