女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2024年度

株式会社ヘルスケアシステムズ (サービス業(他に分類されないもの))

全ての従業員にとって「本当に働きやすい会社」を目指す

認定マーク

企業プロフィール

設立
2009年
本社所在地
愛知県名古屋市
事業内容
医療法人/サービス業
従業員数
70人 (うち女性 47人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、えるぼし(認定段階3)、プラチナえるぼし

取組内容

女性活躍推進 テレワーク フレックスタイム制 短時間正社員制度

特徴的な制度・取組など

  • 在宅勤務、フレックス勤務、短時間勤務を活用し、柔軟な働き方を実現
  • 男女公正な昇進基準のもとで管理職に占める女性比率が37.5%に
  • 長時間労働を生み出さない仕組みづくりで女性の活躍を後押し

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インタビュー

  • 代表取締役社長
    瀧本 陽介さん

取組のきっかけ・経緯
女性を軸にした「働きやすい会社」づくり

 名古屋大学発のベンチャー企業として2009年に設立された当社は、従業員の約7割が女性であり、特に名古屋本社では女性従業員が8割を超えているため、女性従業員の活躍なしには会社が成り立ちません。そのため、女性従業員に継続して働いてもらうために、女性を軸にした「働きやすい会社」づくりが必要でした。また、女性従業員の約6割、半数以上に子どもがいるので、仕事と家庭の両立も当社にとっては重要な課題です。

 加えて、当社では私自身を含めて、取締役など経営層に共働き世帯や子育て世代が多く、経営層が女性の活躍を最重要テーマの一つと認識していることも、取組の推進を強く後押ししていると思います。

具体的な取組の内容

柔軟な働き方を可能にしながら、密なコミュニケーションを重視

 当社ではフレックスタイム制を導入しているほか、リモートワークと出勤のハイブリッド勤務が可能であり、個人に合わせた働き方ができます。柔軟な働き方は、女性従業員が当社での勤務を長期間継続するうえで、プラスに働いてると思います。

 ただし、当社は検査事業を行っていることもあり、リアルのコミュニケーションや迅速な確認・相談が必要になる場面も多くあります。そのため、「対応可」「打ち合わせ中」「作業中」「離席中」といったステータスを可視化できるバーチャルオフィスを活用し、名古屋本社と東京支社のほか、在宅勤務地の札幌、福井と、働く場所が異なっていても気軽にコミュニケーションがとれる場を構築しています。また、当社では上長との1on1面談を毎月実施し、業務管理以外にキャリアやプライベートの相談もできるような仕組みを設けていることに加え、相談しやすい人により気軽に相談できる環境を作るため、上長以外の従業員との1on1も推奨しています。


男女公正な昇進基準により女性管理職比率が向上

 従業員の約7割が女性という当社でも、女性従業員の管理職への登用については課題認識を持っていました。そのため、2022年10月から部署ごとの評価基準について課題を検証し、男女公正な昇進基準となっているか精査して、2024 年1月から新しい評価基準の運用を本格的に開始しました。新しい評価基準では、育児や介護のための短時間勤務であっても不利にならないような評価設計となるよう工夫しています。具体的には、短期目標を設定し、その達成度を評価する「成長評価」と、企業人として必要な行動項目を評価する「行動力評価」の2つが評価の基準となっています。「行動力評価」は中長期的な育成の目安になるので、評価面談時には将来的なキャリアに関する希望の聞き取りを行って、今後の人材配置・育成計画の材料として活用できるようにしています。

 そうした評価制度面での取組に加えて、管理職になることに対して女性従業員が抱く不安を少しでも軽減することも大事だと考えています。そのため、管理職の業務内容、役割、権限を明確化して管理職候補の従業員へ伝え、管理職としての役割を前向きに担ってもらえるよう心掛けています。また、男女ともに育児休業からの復帰前後には面談を実施し、仕事と家庭、育児との両立を会社としても積極的に支援したいという意思を伝えています。

 こうした取組を進めた結果、女性管理職比率30%以上という2024年7月末までの目標を達成し、女性管理職比率が37.5%になりました(2024年8月時点)


少ない残業時間が女性従業員の活躍を後押し

 当社ではフレックスタイム制の導入に加えて、会社全体で業務を平準化し、長時間労働者が出にくい環境整備に取り組んでいます。具体的には、不要な残業の抑制について日常的に社内で周知するとともに、上長との毎月の1on1で過重労働の有無を確認しているほか、総務部が従業員の残業時間を毎月集計し、一定時間以上残業している従業員については上長に報告し、業務の見直しなど状況の改善に努めてもらうよう促しています。

 会社全体で少ない残業時間を維持・継続することは、結果として、勤務時間に制約のあることが多い女性従業員の活躍を後押しすることにつながっていると思います。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
大学発ベンチャー企業では初めての「プラチナえるぼし」取得

 全ての従業員にとって「本当に働きやすい会社」を作ることを目指して各種の取組を進めてきた結果、大学発ベンチャー企業としては初めて、2022年10月に「プラチナえるぼし認定」を取得することができました。女性を含めて、多様なバックグラウンドを持つ従業員一人ひとりの「働きやすさ」と「働きがい」をサポートする制度を整えてきたことが「プラチナえるぼし認定」の取得という形で高く評価されたことをうれしく思います。これまでに実施した採用面接では、「えるぼし認定」取得について応募者から評価されたこともあり、効果を実感しています。

今後の課題・展望
しっかり稼ぐ女性従業員を増やす

 当社では男女公正な評価・昇進基準を設けていますので、結果として、男女の賃金の差異は最新の数値が89.9%です(対象期間:2023年1月1日~2023年12月31日)。今後も、業務で実力を発揮し、しっかり稼ぐ女性従業員が増えることは引き続き会社の目標にしたいと考えています。その目標のためにも、男女ともに従業員の得意な部分を最大限に伸ばして、本人が向いている業務で活躍できるよう会社として後押しすることが重要だと感じています。

 また、当社には育児をしながら仕事をしている従業員が多数いますので、今後は仕事と育児の両立支援の経験を活かしながら、仕事と介護の両立を支援することが会社としての課題だと考えています。

従業員の声 制度利用者の声画像

明るい雰囲気と良好なコミュニケーションが魅力

研究開発部 課長
西脇 奈菜子さん

週に1度の在宅勤務で柔軟な働き方を実現

 私は2019年3月に中途採用で当社へ入社し、名古屋本社の研究開発部で、大学との共同研究の推進業務のほか、国や自治体の補助事業の運営業務などを行っています。

 産前産後休業・育児休業を経て2023年に復職し、現在は在宅勤務制度を週に1回程度利用し、2歳の子どもの育児をしながら仕事をしています。在宅勤務をしていると従業員間のコミュニケーションが課題になることも少なくないと思いますが、当社の場合は職場の雰囲気が明るく、密なコミュニケーションが根付いていることや、バーチャルオフィスの活用などもあり、働きやすさを実感しながら柔軟な働き方を実現できています。

 また、残業時間が少ないことも男女を問わず働きやすさにつながっていると思いますし、短時間勤務制度を比較的長く利用している女性もいるので、当社では個人の事情に合わせた柔軟な働き方が可能であることを実感しています。


今後は得意分野を活かしながら、新しい分野にも挑戦してみたい

 課長になることを打診された際、当社の代表からは「いつ辞めてもいいし、部下の責任を押し付けるようなことはしないから、管理職としての新しい役割を担ってみない?」と、非常に前向きな言葉をかけられました。また、周囲に、子育てをしている部長職の女性や、短時間勤務をしながら管理職に就いている女性、自分より年下で課長をしている女性がいたことにも背中を押されました。

 現在の業務では大学・大学院で行っていた血液の研究の知識を活かしながら研究開発の仕事をしていますが、当社の事業環境の変化を見据えながら、今後は新たな領域の研究や新規事業など自分にとって新しい分野にも積極的に挑戦してみたいと思っています。

(データの取材時点:2024年11月)

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