女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2024年度

全日本空輸株式会社 (運輸業、郵便業)

従業員一人ひとりがいきいきと働ける職場を目指して、仕事と介護の両立支援を推進

認定マーク

企業プロフィール

設立
1952年
本社所在地
東京都港区
事業内容
運輸業
従業員数
16,192人 (うち女性 10,069人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定、えるぼし(認定段階3)、ダイバーシティ経営企業100選 / 新・ダイバーシティ経営企業100選

取組内容

仕事と介護の両立支援 短時間正社員制度

特徴的な制度・取組など

  • 最大で1年間の取得が可能な介護休業制度
  • 介護を事由とした短時間勤務制度・短日数勤務制度
  • 仕事と介護の両立支援制度の周知
  • 仕事と介護を両立しやすい職場づくり

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取組事例ダウンロード 

インタビュー

  • DEI推進部
    田中 啓介さん(中)
    渡邊 舜さん(左)
    労政部
    谷口 由香さん(右)

取組のきっかけ・経緯
従業員一人ひとりが活躍できる職場環境づくり

 当社では、介護と仕事の両立を含め、ライフとワークの両立を支援するための取組を広く実施しています。

 こうした取組は、全従業員がいきいきと働き続けられる環境づくりを進めるため、2007年に、人事部に「いきいき推進室」が設置されたことをきっかけに開始されました。「いきいき推進室」は、2015年にグループの経営戦略の一つとしてダイバーシティ推進が位置付けられたことを受け、「D&I推進室」に改名され、さらに、2020年4月には職場におけるダイバーシティ推進のための専任部署「DEI推進部」として人事部から独立しました。現在、「DEI推進部」は、制度面の整備を担当する「労政部」とともにライフとワークの両立支援に取り組んでいます。

具体的な取組の内容

介護をしながら仕事を続けるための支援制度を整備

 当社では、介護を理由とした離職を防止するため、仕事と介護の両立支援として以下のような制度を設けています。さまざまな事情を抱える従業員が働き続けられるようにすること、両立できるようにすることは、人財への投資の一環と考えており、積極的に取組を推進しています。

・介護休業制度
 法定期間を超えて、通算で124日間まで取得可能ですが、1回に限り延長も認められており、最大で1年間の取得が可能です。

・短時間勤務制度、短日数勤務制度
 介護を事由とした短時間勤務制度を整備しています。また、当社には、業務の特性上、勤務時間の短縮が難しい部門も多くありますので、そうした部門を対象とした短日数勤務制度も設けています。短時間勤務制度、短日数勤務制度のどちらも利用期間は1年となりますが、最大5年まで延長が可能です。

・介護日と介護休暇日制度
 介護日:介護事由のある社員に1年につき通算12日(月間3日限度/無給)まで取得できます。介護短時間勤務制度、介護短日数勤務制度を取得しているものは対象外です。
 介護休暇日:就労形態に関わらず、介護事由のある社員に1年につき12日(無給)まで取得できます。

 介護は、どのくらい続くか見通しが立ちにくいものです。これらの両立支援制度は、従業員が介護に集中するための制度というよりも、介護をしながら仕事を続けるための環境づくり・準備のために利用していただくものと想定しています。なお、当社では、介護と仕事の両立支援制度のほか、事由を問わずに利用できる休暇制度を整備するなど、さまざまな事情を抱えた従業員が働き続けられる環境づくりにも取り組んでいます。


両立支援制度の周知と職場の意識醸成にイントラネットを活用

 当社グループでは、仕事と介護の両立支援制度の周知のために、イントラネットに「DEI Online」というサイトを開設しています。「DEI Online」には、仕事と介護の両立に関する基礎知識や支援制度、相談窓口について掲載しており、従業員であれば誰でもサイトへのアクセスが可能です。

 また、仕事と介護の両立には、上司や同僚の理解・支援が重要となります。そこで、管理職のリテラシー向上のため、「DEI Online」でeラーニングを受講できるようにしています。現在までにグループ全体で約2,000人が受講しています。


DEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)について考える機会の提供

 当社グループでは、年に1回、「DEIフォーラム」を開催しています。「DEIフォーラム」は、職場に寄り添うDEI推進を経営視点で加速するとともに、エンゲージメント・生産性の向上による組織力強化を目的として毎年開催しています。10回目の開催となった2024年度のフォーラムでは、『Let's Update!』をテーマに、従業員一人ひとりが自身の価値観や行動をアップデートするきっかけとなるような様々な企画を実施いたしました。フォーラムの様子はオンラインで国内外へ配信されるとともに、約30ヶ所の事業所にてパブリックビューイングも開催し、約1,400名のグループ社員が参加しました。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
仕事と介護を両立する従業員への職場の理解・支援が促進

 社内において、仕事と介護を両立する従業員への社内の理解は進んできていると考えています。年に1度、従業員に対して、DEIに関する意識調査を実施しており、「両立支援」についての設問の回答スコアは年々上昇していることから、職場における理解を促進するための取組の成果が出ているのではないかと感じています。

今後の課題・展望
両立支援制度の更なる充実化を目指して

 育児とは異なり、介護をしていることをオープンにする人は多くありません。そのため、当社グループでは、仕事と介護を両立している従業員の数や実態を正確に把握できていませんでした。より従業員の実態や社内の課題に即した両立支援を行うために、現在、介護をしながら働いている従業員の数や実態の把握を進めています。アンケートの結果、当社グループの従業員のうち、約1割が介護をしながら、さらに、数百人の従業員については、介護に加えて育児をしながら仕事をしていることがわかっています。こうした従業員にもいきいきと働き続けてもらうために、ライフとワークの両立支援の更なる充実化に取り組んでいきたいと考えています。

 また、今後、仕事と介護を両立している従業員へインタビューを実施し、その内容を社内に紹介することを検討しています。これまで育児に関してはこうしたロールモデルの共有をしてきましたが、介護ついては取組が進んでいません。仕事と介護を両立する従業員の体験を共有することによって、同じように介護をしている従業員やこれから介護を経験する従業員に、仕事と両立していくビジョンを提供していきたいと考えています。

(データの取材時点:2024年12月)

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