女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

女性の活躍推進・両立支援総合サイトトップ > 女性活躍・両立支援事例集トップ(事例検索) > 企業事例

2024年度

社会福祉法人 青谷学園 (医療、福祉)

週休3日制の導入と所定外労働の削減や、管理職育成のキャリア研修により女性職員のキャリアアップを支援

認定マーク

企業プロフィール

設立
1982年
本社所在地
京都府城陽市
事業内容
障害者支援、障害福祉サービス事業
従業員数
101人 (うち女性 57人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定、えるぼし(認定段階3)、プラチナえるぼし

取組内容

女性活躍推進 女性管理職登用 短時間正社員制度

特徴的な制度・取組など

  • 管理職候補の女性職員がキャリア目標を立てて外部のキャリアアップ研修に参加するなど、自身のキャリアについて考える機会を提供し、上司とのキャリア面談を継続実施
  • 週休3日制の導入により、1日当たりの労働時間が延びたことで、定時退勤への意識が高まり、所定外労働時間が削減
  • 50歳以上の職員の要望を受けて職場の安全管理を行うなど高齢化対策に着手

データベース・両立支援のひろばを見る

取組事例ダウンロード 

インタビュー

  • 業務執行理事
    鈴村 由里子さん

取組のきっかけ・経緯
女性職員へのアンケートを行い、働き方に対する意識改革の必要性を認識

 2017年から働き方改革を始めましたが、当時は正規職員の男女比が男性3割、女性7割にもかかわらず、管理職6名のうち女性は2名しかいませんでした。

 女性職員にアンケートを実施したところ、「管理職や指導職は家庭との両立が大変である」、「自分に自信がないからなりたくない」という回答が多く、女性職員の意識から変えていく必要性を感じました。

 また、当法人では、2017年の働き方改革以前は小学校入学前までの子を養育する職員への深夜業の制限しかなかったため、小学生の子を養育する母親は夜勤ができず退職を選ぶことが多かったことから女性職員に長く働き続けてもらうことが難しく、平均勤続年数がなかなか伸びないという課題もありました。

 当時は、組織体制上も女性職員がキャリアアップを目指し、育児をしながら働ける環境の整備が不十分であり、所定外労働時間を削減して家庭生活と両立しながら働けるように制度改革に着手しました。

具体的な取組の内容

キャリア意識を高める取組を進めた結果、女性管理職比率が向上

 女性職員がキャリアアップを目指せる環境づくりとして、管理職候補の職員を中心に、役職に就くための行動目標を立てることから始めました。女性リーダー研修会や外部の研修に参加することで、他社の女性と交流する機会を設け、自身のキャリアを考える機会を提供しています。その上で上司と今後のキャリアについての面談を実施して女性の意識改革を促しました。

 数年かけて女性管理職の増員を目指した結果、2017年に2名だった女性管理職を2021年に5名に増やすことができ、女性の活躍がさらに進んでいます。子連れ出勤を認めるなど、子育てをしながらでも働きやすい職場環境を整えたことで育児短時間勤務のまま管理職に昇進した職員や、人事考課・昇格のタイミングが育児休業中でも、育児休業取得前の業務が評価され、休業期間中にリーダーになる職員もいます。


週休3日制の導入により所定外労働時間が大幅に削減

 働き方改革として週休3日制の1日10時間勤務を導入するとともに、子育て中や介護中の職員が働きやすい曜日や時間帯を選択できる制度もあわせて始めました。また、子育て中の職員は子どもが中学校を卒業するまでの間は、夜勤のない1日8時間、週40時間労働、土日休みの週休2日制の選択を可能としています。さらに7時間勤務の選択肢を追加したところ、小学生までの子を持つ親に好評で、多く利用されるようになりました。介護中の職員には短時間正規職員制度を規定し、8時間や6時間の日勤だけを選択可能にしています。

 所定外労働削減を推進するという理事長メッセージを発信して定時退勤を推奨しており、管理職を含めて所定外労働はほとんどありません。月平均の所定外労働時間は2016年に2~3時間でしたが、現在は1か月当たり9分(役員は除く)まで減らすことができました。

 週休3日制を導入したことで、自己研鑽のための時間ができ、業務に関連する資格取得に取り組む職員もおり、職員のリスキリングを法人として支援しています。


健康で長く働き続けられる職場をめざして高齢化対策を推進

 有期雇用の雇止め年齢を撤廃したことで今後は職員の一層の高齢化が見込まれます。また、シニア層が多い短時間勤務者にも社会保険が拡大されたことから、健康診断の対象者も同様に拡大しました。50歳以上の職員に職場環境アンケートを実施した際、「現在の職場における労働安全衛生に関するリスクや働く上で負担に感じている事項がある」という回答が3割近くありました。多くの女性職員に、長く活躍してもらい続けるため、そこで収集した改善要望はすぐに取り入れ、安全で快適な職場環境の整備を進めています。具体的には制服が暑いという意見を受けて、給食担当以外の全職員の制服着用を廃止し、私服を選択可能にしました。厨房や調理室などの暑さ対策のため、希望者全員にアイスリングを購入して配布しています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
女性管理職を増やすための取組を継続し、プラチナえるぼし認定を取得

 女性活躍推進法に基づく行動計画で目標を立て、そのための取組を着実に実施してきました。まず2016年頃から女性の平均勤続年数を6年以上に延ばすことと、女性職員の5割が指導職・管理職を目指す職場環境にするという目標から始め、2019年には女性管理職を4名以上、2021年からは女性管理職を5名以上に増やすことを目指し、達成してきました。

 女性職員がキャリアを磨き、長く働き続けるためのビジョンが見出せるような取組を進めた結果、2023年6月にプラチナえるぼしの認定を受けました。勤務時間の長さに関係なく働きぶりを評価する風土が浸透し、法人の中で女性の地位が向上していると感じています。

今後の課題・展望
治療と仕事の両立をサポートし、長く働き続けられる職場づくりを進めます

 女性の活躍が浸透する中で、最近では、女性が活躍するには女性特有の病気を含めた仕事と治療の両立支援が必要と考えています。特にがん対策は重点的に取り組んでおり、女性職員に正しい知識を身につけてもらおうと子宮がん、乳がん検診の啓発活動として小冊子「がん検診のススメ」の配布と館内放送による朗読などを行っています。健康意識を高めることでがん予防と早期発見につなげたいと考えています。

 こういった取組を進め、今後も職員が健康で長く働き続けられる職場づくりを一層進めていきたいと考えています。

従業員の声 制度利用者の声画像

キャリアアップを応援してくれる職場で、
チャレンジを続けていきたいです

指導職 主任
山田 優子さん

育児をしながらキャリアアップして指導職となり、人材育成に努めています

 2007年4月に支援員として入職しましたが、当時はリーダーというポジションがまだなく主任、部長と上がっていく仕組みでした。現在はまずリーダーとなってから、指導職である副主任、主任と段階を踏んで、管理職の次長補佐、次長となる制度に変更されました。

 第1子の産前産後休業・育児休業を取得した頃は妊娠すると辞める女性職員が多かった中で、私はこの仕事を続けていきたいという思いから復帰しました。仕事と育児の両立ができる環境が整っていたことと、職場の理解があったことで、働き続けることができました。

 育児休業からの復職後にはリーダーとなり、人材育成などに試行錯誤しながらも、上司や同僚などが相談に乗ってくれ、さまざまな経験を積むことができました。第2子の育児休業を取得した後、現在では主任となり、指導職として支援員を取りまとめる役割にやりがいを感じています。


次の目標に向かってさらなるスキルアップを目指します

 今年4月から相談支援に携わるようになり、相談支援専門員の資格の勉強をしています。相談支援専門員とは、利用者が必要としているサービスを生活支援員に提案する、利用者と生活支援員の仲介役のような役割の業務です。

 今は生活支援員として、現場を見ながら他の職員をフォローしていますが、男女の支援に対する考え方や、アプローチの違いを強く感じており、仕事に対する新たな発見に面白さを実感しています。自分が今までやっていきたことを活かして、利用者と生活支援員の両方をサポートし、みんなを笑顔にできるような相談支援専門員になれるようチャレンジしていきたいです。

(データの取材時点:2024年10月)

PAGE TOP