女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2024年度

ヤスハラケミカル株式会社 (製造業)

現場管理職の理解の促進と事例の積み上げを通じた制度活用の推進

認定マーク

企業プロフィール

設立
1959年
本社所在地
広島県府中市
事業内容
テルペン樹脂事業、化成品事業、ホットメルト接着剤事業、ラミネートフィルム事業
従業員数
233人 (うち女性 54人)
企業認定・表彰等

取組内容

仕事と育児の両立支援 短時間正社員制度 男性育児参画

特徴的な制度・取組など

  • 育児短時間勤務制度(小学校3年生まで)
  • フレックス勤務制度
  • 在宅勤務制度
  • 育児休業体験談の募集・提供
  • 有給休暇積立制度(毎年付与される有給休暇のうち、未消化の日数から5年間毎年8日を、最大40日まで積み立てることができる制度で、家族の介護や本人の私傷病時に使用できるもの)

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インタビュー

  • 総務部長
    高橋 忠幸さん

取組のきっかけ・経緯
従業員の働きやすさ・働きがいの追求

 当社は2011年7月から、従業員の働きやすさ・働きがいの追求をするなかで、仕事と家庭の両立に関する制度導入などの取組を始め、働き方の改革や女性の活躍推進に関する従業員アンケートや従業員エンゲージメント向上の研修を実施してきました。また、「広島県仕事と家庭の両立支援企業登録制度」に登録し、取組をPRしています。

 従業員に働きがいを感じながら生き生きと長く働いてもらうためには、制度面の改定だけでは十分でなく、従業員が主体性をもって取り組むことが重要で、そのためには業務においてサポートし合える体制作りや、従業員自ら目標を持ち自信に繋げられるような仕組み、そして従業員が活発にコミュニケーションを取れるような組織作りが必要です。このような取り組みが、従業員のモチベーションや幸福度を高め、仕事のパフォーマンスも向上すると考えています。

 経営層をはじめとして、「人のチカラ」を大事にするという意識が社内に浸透しており、一人ひとりの成長がヤスハラケミカルの成長につながると認識しています。

具体的な取組の内容

両立支援の取組の推進

・育児短時間勤務制度の導入
法定では子が3歳になるまでとされていますが、当社は小学校3年生の年度末まで利用できる制度としており、法を上回る内容となっています。

・働き方の柔軟性を高める制度の導入
フレックス勤務・在宅勤務を導入しています。※職種による


制度利用を促進する取組

・育児休業・産後パパ育休に関する相談窓口の設置
妊娠・出産を申し出た従業員に対して育児休業制度の説明や利用意向の確認を都度行い、安心して制度を利用できる環境を整えています。

・社内広報などの施策(推進ポスター配布・体験談の社内報での周知)
育児休業・産後パパ育休推進ポスターの配布、パパの育児休業体験談の社内報での紹介を行っています。

・総務部による現場や育児休業対象者への説明による意識改革
総務部長から各部門長への男性育児休業取得推進取組の説明と現場での理解と協力の要請や総務部人事課による男性の育児休業対象者全員への制度説明を通じて社内の意識改革を図っています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
男性の育児休業制度の利用促進に効果

 当社は24時間交替勤務の製造現場が中心の会社であり、休暇を取得する時には誰かがその穴埋めをしなければなりません。そのため従業員には、自分が休んだら周りに迷惑をかけてしまうという意識が根強く残っていました。

 上記の通り、総務部からの現場への丁寧な説明や働きかけにより、現場の管理職の理解を得ることができ、男性の育児休業制度利用者は増えています。2022年度の男性育児休業取得率は100%、2023年度は80%と高い水準を維持できています。また、当初は男性の育児休業取得期間としては2週間程の取得例が多かったのですが、最近は1か月以上の期間で取得する例も出てきています。


働き方の柔軟性を高め定着を図る

 女性の育児休業の取得率は100%となっています。また、結婚や出産のタイミングでの退職はゼロとなっています。育児短時間勤務制度に加え、働き方の柔軟性を高めるフレックス勤務や在宅勤務の導入により、ライフステージの変化に合わせた働き方の選択肢が増えたことによる効果と考えています。実際に子育てをしている従業員から、制度の利用のしやすさや働きやすさについてポジティブな意見をいただいています。

今後の課題・展望
一人ひとりの成長とキャリア継続に向けた取組

 当社の従業員一人ひとりの成長がヤスハラケミカルの成長につながるという認識のもと、生き生きと働けるような環境づくりが大切であり、育児や介護を理由とした退職者が出ないようにしたいという思いがあります。現行の制度も拡充の余地があると考えており、例えば、育児短時間勤務制度は小学校3年生までとしていますが、これをもっと延長してほしいという声があります。現在はフレックス勤務などの既存の制度を組み合わせることで対応できていますが、制度的な裏付けがあれば安心感も違ってくると思います。

 また、今後退職を選ばざるを得なかった従業員が再び当社に戻ってきやすい制度の導入を通じて、当社で培ったスキルや経験をムダにしない環境づくりをしていきたいと考えています。


お互い様の精神で従業員の成長につなげる

 当社は社内報で両立支援について「お互い様の精神で支えてほしい」ということを従業員にメッセージとして伝えています。現場の管理職にとっては、育児休業などの取得で一人でも抜けると業務の調整に苦労しますが、彼らも育児の大変さを理解しているため、取得には協力的な環境にあります。また、現場の従業員はカバーするためにスキルの向上などに取組み、一人ひとりの成長につなげることができます。長い目で見ると、両立支援の取組は、制度利用者の働きやすさ・働きがいの向上だけでなく、周囲の従業員の人材育成にも資するものであり、それがまた働き方改革にもつながるという好循環に至るものと考えています。

従業員の声 制度利用者の声画像

所属工場初の育児休業取得に

新居浜工場 製造課
原山 侑也さん

 2020年に入社し、当初は技術職として新居浜工場に配属されました。2021年に製造課に異動となり、現在はプラントオペレーターとして勤務しています。

 2023年8月にお盆休みや公休を組み合わせ、約1か月間のお休みをいただきました。妻も私も出産や子育てが初めてのことでいろいろ不安があったので、二人で育児をしようと決め、育児休業を取得することにしました。

 実は、新居浜工場では今まで男性従業員が育児休業を取得したケースがなく、私が初めての取得者となりました。交替勤務であるため、他の従業員のことも気になってはいましたが、私自身の繁忙期が過ぎていたことに加え、周囲のサポートもありスムーズに取得できました。普段から休暇の取得などが必要な時に柔軟に対応してもらえる環境が整っているため、仮に繁忙期であったとしても、育児休業を取得できていただろうと感じています。

 私が育児休業を取得した半年後にも一人、男性従業員による育児休業取得者がおり、初めての育児休業取得者が出ると、後の人たちも取りやすくなるというのを実感しています。

 二人目の子どものときも育児休業を取得したいと思っていますが、休業期間中は収入が減ってしまうため、期間とタイミングについては改めて検討したいと考えています。

(データの取材時点:2024年8月)

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