女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2024年度

東ソー・エイアイエイ株式会社 (製造業)

男性従業員の育児休業取得促進により、男女の垣根を超えた育児と仕事の両立を目指す

認定マーク

企業プロフィール

設立
2001年
本社所在地
富山県富山市
事業内容
体外診断用医薬品(診断薬)の製造
従業員数
102人 (うち女性 23人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、ユースエール認定

取組内容

仕事と育児の両立支援 短時間正社員制度 男性の育児休業促進

特徴的な制度・取組など

  • 育児休業の最初の5日間を有給化
  • 育児休暇・介護休暇を1分単位で取得可能に
  • 相談窓口と掲示板を設置し、仕事と家庭の両立支援の内容を周知

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インタビュー

  • 管理部 事務グループ
    グループリーダー
    佐々木 強さん(左)
    管理部 事務グループ
    金川 優子さん(右)

取組のきっかけ・経緯
男性の育児休業取得の促進によって、夫婦で仕事と育児を両立できるように

 2020年くらいの新聞記事で、2025年4月から厚生労働省が従業員数100人超の企業に対して男性従業員の育児休業取得率の目標の設定・公表を義務付ける方針を固めたことを知ったのが取組のきっかけです。

 当社には2018年まで男性従業員の育児休業取得者がおらず、男性従業員の育児休業取得を促進するには、女性従業員だけでなく、男性従業員にとっても育児休業を取得しやすい制度を整備する必要がありました。

 また、人事担当者自身が2児の母として子育てをするなかで、共働きの家庭において夫婦が仕事と育児を両立するには、男性の育児や家事への更なる参画が必要であると感じていたことも、男性の育児休業取得の促進をはじめとする、育児と仕事の両立支援に取り組む原動力となりました。

具体的な取組の内容

最初の5日間を有給とすることで、男性従業員の育児休業取得を後押し

 育児休業の最初の5日間を有給としています。男性従業員のなかには、育児休業を取得するか悩む人も少なくありませんでしたが、最初の5日間が有給ということが後押しとなり、育児休業を取得するようになりました。


柔軟に活用できる各種制度を整備

 子の看護休暇と介護休暇は、1分単位で取得ができます。これは、システムによって1分単位の勤怠管理を実施するようになったことで可能となっています。これらの休暇の取得日数の上限は10日(時間・分単位で取得した場合には、所定労働時間(7時間35分)×10日分)で、休暇を取得した期間は無給となります。

 このほかにも、子どもが小学校を卒業するまで利用が可能な、育児のための短時間勤務制度があり、1日当たり最大2時間まで所定労働時間を短縮することができます。また、交替勤務者以外の従業員については、フレックスタイム制度も導入しています。1か月間当たりの変形労働時間制であり、ある1日の労働時間が所定労働時間に満たない場合には、月内の別の日にその不足時間分労働することで、給与に影響することなく、柔軟に働くことができます。


相談窓口や掲示板の設置により、社内の制度を周知

 仕事と家庭の両立に関する相談窓口を社内に設置しています。直接窓口に相談に来ることもできますし、電話、メールでの相談も可能です。妊娠・出産の申出をした従業員に対しては、人事担当者から窓口の利用の声掛けをすることもあります。窓口は、例えば、子どもが生まれる予定があり、仕事と育児の両立支援制度にどのようなものがあるかを知りたい場合などに活用されています。社内の規則・規程類だけではわかりづらいため、窓口を利用する従業員に対しては、制度について取りまとめた資料を用いて、社内のルールや制度を丁寧に説明しています。各部署の上長も、従業員の相談窓口の利用を歓迎しており、気軽に相談できる環境が整っています。

 また、工場2か所には、会社が行っている仕事と育児の両立支援の内容を周知する掲示板を設置しています。掲示板には、社長から従業員に向けた、「我が社は育児と仕事の両立を目指しており、子育てを応援している。男性も遠慮せずに積極的に育児休業を取得してほしい」といった旨のメッセージを一番上に掲示し、その下には具体的な支援制度の紹介などを掲示しています。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
従業員の意識改革や採用にも好影響

 5年ほど取組を続けるなかで、育児に参画したいと考える男性従業員が増えたと実感しています。以前から女性従業員の育児休業取得率は100%を達成していましたが、男性従業員の取得率についても、2021年から継続して100%を達成しています。

 また、仕事と育児の両立支援を進めたことで、子育てをしている従業員だけでなく、会社全体でワーク・ライフ・バランスの実現に向けて、効率的に仕事をしようという意識が醸成されました。その結果、残業時間は月平均で3時間程度となっています。2023年にはユースエール認定を、2024年にはくるみん認定を受けました。これらの認定や取組を学生にアピールすることで採用応募者は増加し、直近3年間で14名の若手従業員が入社、定着率は86%となっています。仕事と育児の両立支援を進めたことによる、効率的な業務の意識醸成、採用応募者数の増加、従業員の定着率向上等により、育児休業を取得する従業員の仕事をカバーできる体制が整うという効果も出ています。

今後の課題・展望
すべての従業員にとって働きやすい会社に

 これまで、特に男性従業員の育児休業取得の促進に取り組んできましたが、今後は、育児休業終了後も男性従業員が育児に参画しやすいような制度の整備にも取り組みたいと考えています。

 また、仕事と介護の両立支援にも注力していきます。若い従業員が増えている一方で、当社には40代・50代の従業員も多く在籍しています。現時点で、介護休業を希望する従業員は少ないですが、これから、介護のために仕事を休みたいと考える従業員は増えていくと予想しています。介護は終わりの見えないものであり、柔軟な働き方や一緒に働く従業員の理解と協力が不可欠です。すべての従業員が利用しやすいような制度にしたいと考えています。

 育児、介護など、さまざまな制約を抱える従業員が増えていくと思います。どのような従業員にとっても、働きやすい、働き甲斐のある会社にしていきたいです。

従業員の声 制度利用者の声画像

男女問わず、育児休業が取りやすい職場に

カップ製造グループ カップ製造係 班長
草野 公佑さん

育児休業を取得したことで、家族の絆が強まった

 2013年に当社に中途で入社しました。現在は、三交替勤務で、体外診断用医薬品の生産設備の運転業務を行っています。当社では、3~4名ほどから成るチームで、工場の1フロアの業務を担当しており、私は約10年前からそのうちの1チームで班長を務めています。

 2023年に第4子が生まれてすぐのタイミングで、1か月間の育児休業を取得しました。現在中学生である第3子までの出産・育児のときは、男性の育児休業取得はあまり一般的ではなく、育児休業は取得しませんでした。第4子の出産に伴い、育児休業の取得を決めたのは、同僚が育児休業を取得したことを知り、妻に相談したところ、取得してくれると助かると言われたためです。休業期間は、妻と第4子の体調、家庭と仕事のバランスを考えて決定しました。育児休業の最初の5日間が有給となるのは、助かりました。

 以前から家事などはやっていましたが、育児休業期間中は、特に妻に睡眠時間を確保してもらうため、夜中の授乳を行いました。大変ではあったものの、夜中の授乳は幸せを感じられる時間でした。また、育児休業時は冬季で雪が多かったため、第1子と第2子の通学の送迎や、当時怪我をして松葉づえが必要な状態であった第3子の通院の送迎を行いました。上の子どもたちは大きいので、第4子の世話や家事を積極的に手伝ってくれ、家族の絆も強まり、育児休業を取得して良かったと思います。


育児休業がさらに取得しやすくなるように

 私が育児休業を取得している期間は、シフトの調整によって、他のチームに仕事をカバーしてもらいました。育児休業の取得に対しても、同僚からはお互い様だと理解してもらえたことは大変ありがたかったです。また、私に続いて、育児休業を取得した男性従業員もいます。社内における男性従業員の育児休業取得が浸透してきていることを実感しています。

 実際に育児休業を取得し、産後すぐの育児の大変さを妻と一緒に経験することは重要であると感じています。同僚にも、是非、育児休業を取ってもらいたいと思っており、そのためにも、男性従業員でも当たり前に育児休業を取得できるような職場の雰囲気づくりや、日ごろからの仕事のバックアップ体制の整備が不可欠であると思います。班長として、こういった雰囲気づくり、体制の整備を他の班長と協力して進め、より良い職場にしていきたいと考えています。

(データの取材時点:2024年7月)

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