女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集

厚生労働省

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2023年度

ケーブルテレビ株式会社 (情報通信業)

男女の待遇差を解消し、一人ひとりの家庭の事情に合わせた働き方をサポートすることでキャリア形成を実現

認定マーク

企業プロフィール

設立
1987年
本社所在地
栃木県栃木市
事業内容
情報通信業(有線一般放送事業、電気通信事業)
従業員数
190人(うち女性86人)
企業認定・表彰等
くるみん認定、プラチナくるみん認定、えるぼし(認定段階3)、ユースエール認定

取組内容

女性活躍推進女性職域拡大女性管理職登用

特徴的な制度・取組など

  • 全正社員を総合職に転換することで、男女の待遇差を解消
  • 育児休業からの復職を支援するためのカウンセリングを実施
  • 社員一人ひとりの家庭の事情に合わせた勤務体系の設定

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インタビュー

  • 管理部人事総務課
    関口 夏実さん(左)
    阿久津 紀子さん(右)

取組のきっかけ・経緯
「社員満足なくしてお客様満足なし」という社長の考え方で取組が大きく促進

 2011年、震災と初代社長の急逝による混乱の中、当時社員だった髙田光浩が社長に就任しました。当時の当社は、女性の活躍等に関心があるとは言えない雰囲気だったため、社長は労働環境に関するさまざまな改革に取り組みました。まず着手したのは、「社員の不安の解消」と「お客様第一主義への意識改革」です。これらを実現するには「社員満足の向上」が不可欠であると考え、「社員満足なくしてお客様満足なし」という考え方も浸透させました。ちょうどその頃、労働局から「介護・育児関連制度をもう少し充実させてみてはどうか」という話があったことも取組を後押ししたと思います。これについては、まずは他社へのヒアリング等で情報を収集し、当社の現状を把握することから始めました。その際に、えるぼし、くるみん等の企業認定制度があることを知り、その認定基準を満たすことが、女性の活躍推進を含む働き方改革や制度の見直しにつながると考えました。一つひとつ地道に取り組んだ結果、職場環境も社員の意識も向上し、今では社員全員が生き生きと働いています。認定については、えるぼし認定(3段階目)、プラチナくるみん認定だけでなく、ユースエール認定や健康経営優良法人認定も取得することができ、2023年2月には、安全衛生優良企業マーク推進機構(SHEM)の「ホワイト企業ランキング」で全国1位を獲得することができました。

具体的な取組の内容
職種転換、カウンセリングや研修等で女性のキャリア形成を支援

 当社は、2012年に全正社員を総合職に転換しました。それまでは男性の一部が総合職、それ以外が一般職で、一般職は退職金制度に該当しませんでしたが、全正社員一律の待遇・制度になりました。これにより、初めて女性の主任が3人誕生しました。今では主任だけでなく、係長、課長代理、課長と大勢の女性が活躍しています。正社員登用も積極的に行っており、パート職から現在係長になっている人もいます。一方で、パート職を維持することも可能です。働き方に関しては、本人の希望を尊重しています。

 また当社では、震災の直後にメンタル不調を訴えた社員がいたことがきっかけで、メンタルヘルスケア推進体制を整備してきました。その一環として、あらゆる悩み相談を受け付ける窓口を設けました。悩み相談は、産業カウンセラー資格を持つ社員が対応しています。また、近ごろでは、キャリア形成に対する意欲が高まったことで、育児休業明けの働き方に悩む女性社員が増えているため、復職・キャリア形成を支援するためのカウンセリングも行っています。現在は、妊娠の報告を受けた時、産前産後休業を取得する直前、職場復帰の直前、復帰2か月後の計4回、厚生労働省の「育休復帰支援面談シート」を活用して会話し、子育てと仕事の両立を支援しています。このような取組を続けていく中で周囲の理解が深まり、「子育て応援企業」として前進することができました。

 その他、全社員を対象に月に1回実施している上司との1on1面談では、業務のことだけでなく、仕事と家庭のバランスについてざっくばらんに相談することができます。また、異動希望のような上司に言いにくい内容については、年に1度、非公開の調査を実施し、社員の心の変化に気付きフォローしていく体制を整備しています。

 さらに、当社は社員教育にも力を入れています。階層に応じて必要なスキルや心構えを学ぶ研修はもちろんのこと、コミュニケーション研修を実施し、役職と部署を超えた相互理解と心理的安全性を高めています。外部の研修は部署ごとに年間計画を立てて参加していますが、業務に役立つ研修は個別に希望し承認されれば、会社が費用を負担します。

取組の成果・取組を進めたことによる効果等
人生のターニングポイントでも辞めない女性がほとんど

 全正社員が総合職に転換したことで、男女の賃金格差は解消されました。また、事業が拡大し女性の活躍が求められる中で、人生のターニングポイントで辞める女性社員がほぼいないことが取組を進めた効果であると考えています。今後も、育児休業等を取得した女性社員にとって「戻ってこないと損」と思えるような土壌づくりを進めていきます。

取組を進めるにあたっての工夫・苦労
キャリアアップ実現のために、プライベートとの両立をサポート

 女性のキャリアアップを実現するためには、家庭との両立が必要です。当社では、仕事を続けながらプライベートも守る方法を考えることが大切だと考えています。そのため、社員の家庭の事情に合わせていろいろな働き方ができるよう工夫しています。例えば、育児短時間勤務では会社側で勤務時間を一律に決めず、社員一人ひとりと面談して意思を確認し、勤務体系を定めています。フレックスタイム制度もコアタイムなしで導入しています。

 年次有給休暇については、以前は休暇を取ることを言い出しにくい雰囲気が少なからずありました。また、有給休暇の必要性を説明してもなかなか取得率が上がらないことが課題でした。そこで、人事総務課では大胆な取組を提案し導入しました。会社が目標とする8割以上の年次有給休暇を取得した社員に対して、「有給休暇について正しく理解し協力している」とし、お菓子等のプレゼントを贈る制度です。有給休暇の過ごし方の一例を写真で紹介し、取得を推進する川柳を添えて提出した社員には、追加でプレゼントがあります。「有休で 子どもの行事 フル参加」「有休は 推しの力で リフレッシュ」など、楽しい作品がたくさん寄せられ、コミュニケーションの醸成にも一役買いました。取得推進が「見える化」されたことで徐々に取得率が上がり、今では年次有給休暇取得率は90%を超えています。今後は有給休暇を連休として取得した場合にプレゼントを贈るなど、変化させることを検討しています。同じことを続けるのではなく、工夫しながら継続することで、さらに有給休暇を取得しやすい雰囲気を作っていきたいと考えています。

今後の課題・展望
さまざまな取組を積み重ねて、自分らしい働き方ができる環境を整備

 管理職は依然として男性の人数が多いため、女性管理職をさらに増やしたいと考えています。育児・介護を終えた方を対象に研修を実施したり、キャリアプランを示したりすることで、どのようにキャリアアップしていくかを考えていただき、人材を育てていくことが必要だと考えています。一方で、管理職になることのみが女性の活躍ではないので、会社を通して自分らしい生き方を実現できるようにサポートしていきます。

 さまざまな取組の積み重ねによって女性活躍に対する社内の意識が変わり、結果にもつながっていると感じています。現状に留まることは衰退と同じですので、細かい課題に対して一つひとつ対策を立て、より働きやすい環境を整備していきたいと思います。

従業員の声 制度利用者の声画像

育児休業で得た経験を活かし、
人生のターニングポイントで悩む社員の
サポートができるようになりたいです

管理部人事総務課 主任
関口 夏実さん

社内異動をきっかけに女性活躍に対する考え方が変わりました

 私は2015年に入社し、カスタマーサービス部でお客様対応を行っていました。その後、2018年に管理部に異動し、新卒採用や社内の労務管理、福利厚生の検討・企画等に従事しています。異動の話をいただいた当初は自分にできるのかととても不安でしたが、当時の上司や管理部の上司と面談し仕事内容をイメージすることで、いろいろなことにチャレンジしたいと思うようになり、異動を決めました。入社当初は自分のキャリアをあまり考えていませんでしたが、異動後、社員の話を聞きそれぞれの働き方を知ることで、女性活躍に対する考え方が変わりました。今所属している部署は、社員の働きがいや幸せを生み出す使命があります。社員の満足度をどれだけ上げられるかを考えながら対応していきたいと考えています。

今後妊娠・出産を経て得た経験や気づきを、社員のサポートに活かしていきたいです

 私は2023年10月末から産前産後休業に入る予定です。妊娠が分かったときはうれしさが勝っていましたが、休業が近づくにつれて不安な気持ちも大きくなっていきました。そのため、育児に関する周囲の協力があることや、先輩に相談しやすい雰囲気があることにとても救われています。今までは、出産・育児等、自分が経験していないことに関しては調べたり勉強したりしながら社員の相談に乗っていましたが、これからは自分の経験が生かせると思うと新たな意欲がわいてきます。働き方に関する悩みを持つ社員に対して、これまで以上のサポートができるように頑張ります。

(データの取材時点:2023年10月)

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